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医者になる前にやってた肉体労働の話

自分が医師国家試験を終えてから医者になるまでの間に、日給8,000円の肉体労働をしていた時期がありました。文字通り何の資格もなくてできる軽作業系派遣会社です。ちょうどコロナの時期で卒業旅行にも行けないので、ほんなら働くかなと思って働いたのが始まりでした。

面接に行った時に履歴書を見せて「え?医者になるの?なんでここに?」と言われたのを覚えています。それもそのはずで、働いている人は高卒や少年院あがり、大学生で短期バイトをしている人たちの中で、医学生が紛れ込んだ状況でした。即採用され、それから怒涛の仕事が始まりました。

基本的に毎朝6時台に会社に集合し、タバコの煙モクモクのハイエースに飛び乗り、仕事場まで行くという生活でした。思い出に残った仕事を書いていきたいと思います。

◽️コンビニをつくる
「週刊〇〇を創る」シリーズのようなタイトルですが、本当に文字通りコンビニをつくる仕事でした。内容としては、コンビニ内の棚を開封し、組み立て、並べていくというものでした。片っ端から段ボールを解体し、図面通りに組み立てて、棚を並べていきました。棚の種類も結構豊富で、医者になった今でも棚の裏を見ては「この規格かぁ」と思う時があります。

◽️フードコートのキッチンをつくる
フードコートのある大型ショッピングモールでの勤務です。主な内容は、調理棚や業務用の鍋、カウンター、冷蔵庫などを運び入れました。この派遣先の会社の人が鬼のアスペ&短期でずっと怒鳴っていたのを覚えています。こんなゴミも世間にはいるんやくらいの気持ちで働いてました。

◽️小学校の図書室の本移動
これが地味にキツかったです。改築した小学校での仕事でした。1階の図書室の本を、4階に移動させる内容ですが、本の入れた段ボールの重いこと、リレー形式で運びまくっていましたが、腰をかなり悪くしました。

◽️ATMを運び出す仕事
これが結構面白かった仕事です。古いATMの機械を男4人で運び出す仕事でした。合法的に強盗をしてる気分で面白かったです。まずトラックを路駐し、駐禁を取られないように見張り役を1人つけます。その間に4人でATMを布で包み、ロープを巻きつけ、細い階段を滑るように下へ下へと運びました。仕事終わりに食べた近くの餃子が美味かったのを覚えています。

◽️何もしない仕事
これがたまにある当たりの仕事です。派遣会社に来る仕事には、例えば4日連続でこの場所でこの仕事をしてくださいというものがあります。この4日連続の仕事内容は、先ほどの小学校の図書室移動のように、4日かけて終わらせるというものになります。たまにこの仕事が3日で終わってしまうこともあるのですが、契約上給料を払うので、4日目のために椅子1つだけを残しておいて、4日目に現地までわざわざ行って、点呼をとって、椅子1つを移動させて仕事終了ということがありました。みんなで朝早くからハイエースに乗って隣の県まで小旅行してる気分でした。

◽️建設現場でプレートを敷き詰める仕事
これが究極にハードな仕事でした。給与もこれだけ12,000円でした。内容としては、建設現場で、建物の床にパソコンなどの配線を敷き詰める用のゲームキューブサイズの金属プレートを敷き詰める仕事なのですが、これ1つ5kg近くある上に、これが詰め込まれた段ボール50kgを運び入れないといけませんでした。運び入れ方もなかなかで、建設ビルってまだエレベーターが無いので、外付けのエレベーターでベランダから運び入れる形をとります。このエレベーターもアナログ式で、イメージとしては「千と千尋の神隠し」に出てくる剥き出しのアレです。あれを操作して担当のフロアまで運んで、そこからまた運んでという腰バキバキになる仕事でした。もう2度とやりたくないです。

さいごに
ざっと振り返ってこんな仕事ばかりしてました。面白かった思い出としては、最後の建設現場に入る際に安全ヘルメットと安全ベルトを必ず付けないといけないのですが、ヘルメットの血液型が違っていました。「これ違うんですけど」と派遣会社の上司に伝えた所、「ん〜すまん!今日だけA型になって!」って言われました。医者になってからはなかなかできないいい経験をしたと思います。

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