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UCI CX World Cup Dendermonde 2025 | エッセイ
サイクロクロス、ワールドカップの第8戦。
1月5日にベルギで開催されたこのレースは、史上最低のコンディションだったと言っても過言ではないでしょう。
スタート前からの雨のせいで、コースは泥道を通り越して、ほぼ沼。
CX(サイクロクロス)では、足が泥まみれになったり、ジャージの上着に泥が跳ねるのはごく普通のことですが、この日は選手の顔まですっかり泥に覆われていました。
「ヘルメットだけじゃ、誰が誰かわからん!」
と叫びながら視聴していたのは、私だけではなかったはずです…。
この日の凄惨さは、参加選手72名中、完走はたったの25名という数字からも想像していただけると思います。逆をいえば、大多数に圧倒的な差をつけて走りきったWout van Aertがどれだけの怪物であるか、ということの証左でもあります。
Wout van Aertは、ベルギ出身のサイクリストで、欧州全体においても大変人気の高い選手です。
ベルギ自体、サイクリングの盛んな国で、レベルも高いのですが、その中でもベストと謳われるWout van Aertの強みは、versatileであることしょう。
ロードレースではスプリンタとして活躍しながら、チームメイトのGC勝利に貢献し、コンディション劣悪の敷石の道でも弾丸のように疾走します。
Woutさえいれば大丈夫。
そんな守護神のような存在かもしれません。
もともとCXはやっていたようですが、すこし離れて、今シーズンからまた戻ってきたようです。
前日のレース(SuperprestigeシリーズのGullegem)では、2位のIserbytのミスで勝った側面もありましたが、このレースでは沼のコースをずんずんと進み続け、ゴールした時には2位に1:20という、圧倒的な差をつけての優勝でした(顔につけた泥も圧倒的でしたが…)。
今季参加予定のCXは、あと2レース。
そのうち、1/25のUCI World Cup Maasmechelenでは、オランダのスーパースタMathieu van der Poelと対決することになります。
ともに30歳。
サイクリングを含め、身体的に厳しいスポーツでのパフォーマンスのピークは、25歳頃かもしれません。そこから体力の低下を経験値で補い、30歳を過ぎるとそれでも及ばなくなる場面が多くなる気がします。
しかしRoger FedererやMark Cavendishのようなケースもあるので、一概には言えません(引退は40歳頃)。MVDPに関していえば、父親のAdrie van der Poelもその稀なケースの一員ですしね。
ロードレースのオフシーズンに場しのぎ的に見始めたCXですが、知っている選手や、レースの見所がわかるようになると面白いものです。
いつか、冬の休暇でベルギまで観戦に行ってみたいものです。