土星の燃えるとき 「サターンリターン」1巻を読んで
20か21になったばかりのころ、本屋で立ち読みをしていて
「大人になるということは何かを失うことだ」という一文に出逢った。
そのころの私は働き始めたばかりで、『大人』になることを渇望していながら実際は何にも失いたくない子どもだったので、当然その文には猛反発した。「失わなくたって成長して変わっていけるはずだ、私は別のやり方を見つけてやる」ぐらいのことを思っていた。繰り返すが子どもだったのである。
喪失は自分の予期せぬ瞬間や形でやってくるし、それは回避したりコントロールできる