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【撮影編】監督、これは愚痴じゃありませんからね #週刊MONDAYS #映画MONDAYS
※週刊MONDAYSは、映画『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』を観てくださった皆さんに贈る、特別連載……と銘打った、制作スタッフたちの思いの丈です。毎週月曜日にお届けいたします。
今週もまた来ましたね、あいつが。そう、月曜日です。みなさん、いかがお過ごしでしょうか?
映画『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』をご覧いただき、誠にありがとうございました!みなさまが劇場に足を運んでくださっているおかげで、東京の上映館では満席回も出るなど、嬉しいことが次々起こっています。……が、映画の上映期間というのは、本当に短いもの。できるだけ多くの人に、まだまだ観ていただけるよう、頑張ってまいりますので、応援をどうぞよろしくお願いいたします。
さて、週刊MONDAYS、前回は脚本編を、その前は企画編をお届けいたしましたが、第3回は、混乱を極めた「撮影編」をお届けいたします。
「1週間のタイムループ」の撮影ってどんな感じ? 実はあのシーンはアナログで…!?など、今回は撮影の裏側をお話しさせてください。
(文・制作担当/ 福田文香 編集/夏生さえり)
※本記事はネタバレを含みます。
作品をご覧になった後に、お読みください。
1週間タイムループをするという地獄設定
世に多くあるタイムループ映画とは異なり、本作は「1週間」をループする設定……。これまで企画編、脚本編でお話したとおり、今回の「仕事場を舞台にしたタイムループ作品」を作る上では1週間という単位がぴったり!というのは大前提わかっていました…が……。
制作の観点から見れば、何度「憎き設定め!」と思ったことか(監督へ:決して愚痴ではございません)。
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タイムループに気づくと衣装が変わる
「今って…何周目の何曜日の何時だっけ?」
撮影現場では「何周目!?」「何曜日!?」という質問が、よく飛び交いました。特に、衣装やヘアメイクは大混乱。
「1週間とはいえ普通に繰り返してるならほぼ7パターンだよね?そんなに飛び交う?」……そう思いますよね。私もそう思っていました。
でも、実はタイムループに気づいた人は、行動だけではなく「同じ曜日でもヘアメイクや衣装、行動が少しずつ変わっている」という監督の細かいこだわりがありました……。意識が変われば、きっと先週と違う服を選んだり、(仕事効率も上がって時間に余裕ができれば)おしゃれを楽しむ余裕ができたりと、変化があるはずだ、と。
そのため、単に曜日と行動の把握だけではなく「何周目なのか」も大事なポイントで、役者さんたちはもちろん、衣装やヘアメイクさんたちも全てを把握せねばならんのでした(ちなみに、吉川が気づいてからは、タイムループを30周以上繰り返しているという設定になっているので……衣装やヘアメイクの数も膨大に……。ひえ〜)。
衣装を把握するための衣装香盤も、この複雑さです。
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すべての担当者が、それぞれ把握して、万全の状態で挑んでいただきましたが、それでも現場は大混乱。なんども同じ曜日を繰り返し撮影していくうちに、「今、何周目!?」と確認の声が飛び交う羽目に。
でも、救世主・記録の山室さんが「その曜日の森山はネクタイ外してます」「もう少し寝癖がついてます!」と全てを把握し、救ってくれました。なむ。
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小道具も進化していってます
衣装・ヘアメイク・行動以外にも苦戦したのは「小道具」の準備。中でも特に「パソコンに写っている資料」を合わせることには細心の注意を払いました。
たとえば先輩・森山の作業画面には「ぽやぽやクエスト」のデザイン画面がうつっていますが、タイムループを繰り返すごとにバージョンアップしています(2度目以降、劇場でご覧になる方はぜひ確認してみてください)。その他、全員のパソコン画面にも注意を払いながらの撮影となりました。
全然写ってないアレも…
他にもこだわったもの、それは「時計」です。
こちらも監督のこだわりで「やっぱり仕事場での必須アイテム・腕時計を入れたい!」となり、画面に映り込む時計(腕時計もすべて!)も、時間を確認し、毎週同じ時間になるように設定をしていました。
ですが……残念ながら画面上には時計はそこまで映っていませんでした……(笑)。
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分単位での合わせが必要になるため、脚本の柱には何時何分と記載して撮影に挑みましたが……。あまりに確認事項が多いため、しばらくタイムループ物は控えたい、とこっそり思っているのはここだけのお話。
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ビルの停電復旧シーン
悪戦苦闘話はここまでにしましょう。
愚痴
吉川が木本事務所に向かう時、停電したビルが復旧するシーンがあると思うのですが、あれは「いっせーの!」とスタッフ手動でつけているという、鬼のアナログ手法。
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各フロアにそれぞれスタッフを配置し、電話でタイミングを揃えて手動でポチッと。当時、現場では思わず「おー!」と歓声が出ました。
鳩ポーズ
「ハトです」と手で鳩のようなポーズを見せ相手にタイムループに気づかせる劇中で何度も出てくる「鳩フラッシュバック方式」。来場者限定ポストカード(一部劇場で配布)で既に周知の通りかもしれませんが、あのポーズの角度や音の出し方には、監督の強いこだわりがありました。
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動画は、リハーサル初日に遠藤役の長村さんに鳩ポーズに関して何度も擦り合わせる監督です。「手をクロスして…」「角度はこう!」「必殺技みたいに!」と、しつこく指示を出していました。
このこだわりよう……、他のセリフに関してはある程度自由に、と言っていたのに、なぜだか鳩への尋常じゃないこだわり。それが、あのシーンの異様さを生み出したのかもしれません。
ちなみに、最初に、監督に「鳩です!」とやられた時は、製作陣一同、全員ポカーンとしてしまいました。
電話のシーン
「木本事務所の崎野です〜!」
「埋め合わせ埋め合わせって…いつ?」と、とても印象に残る電話のシーン。この木本事務所の崎野や、吉川の恋人との電話シーンは、なんと全て現場で一緒に撮影させていただいてました…!
一般的に、撮影時での電話のシーンはスケジュールなどの都合もあり
①どちらかが先に撮影して、それに合わせて撮る
②その場でスタッフが相手の声の役をやり、それを参考に撮る
③想像して話してもらい、撮る
のいずれかを取ることが多いのですが、今回は一緒に撮影をさせていただきました。
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しかも、電話があるシーンはそのシーンをまとめて撮った方が撮影の効率が良いのですが、本作においてはお芝居のことを考えて、可能な限り順撮り(映画やテレビドラマなどの撮影で、シナリオの冒頭から順を追って撮影を進める方法)にしており、電話のシーンも何日かに分けて撮っていたため、毎回お2人には来ていただいてました(涙)。
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先日の舞台挨拶で、池田さんが当時を振り返った際「同じ現場にいたのに自分だけ別部屋ですごく寂しかった」とお話されていて、改めて申し訳ない気持ちでいっぱいになりました (池田さん、すみません…)。でも、順撮りで一緒に撮影させていただいたからこそ、より臨場感のあるシーンをお届けすることができました!
池田さん、田森さん、本当にありがとうございました…。
以上、撮影編でした!
撮影をしていたのはちょうど今から1年前の10月ごろ。1年前はまだ困難の最中で撮影していたのに、今たくさんの方に見ていただけているなんて、とても感慨深いです。ご来場くださった皆様、本当にありがとうございます。
次回は、画面に写り込んでいるあらゆるものの秘密をお届けする美術編!
それでは、また月曜日!👐
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