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月曜日の図書館41-50

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#図書館

月曜日の図書館51 白の中の白以外の部分

月曜日の図書館51 白の中の白以外の部分

飼っているカエルのケージの床に、近所の薬局でたたき売りされていた白いキッチンペーパーを敷くと、カエルはあっけなくデフォルトであるところの緑色に戻った。無漂白、地球にやさしいを謳ったキッチンペーパーを敷いていたときは、ひねこびた根付のような茶色だった。ナチュラルな環境の方がいいかもしれないと考えて土を敷き詰めていたときは、乾きかけの干物のような色になった。きれいな緑色は100枚98円の平凡なキッチン

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月曜日の図書館50 大人の自由

月曜日の図書館50 大人の自由

手を拭こうとして、ハンカチがないことに気づく。仕方がないので髪の毛をいじくったり、図書館によく来るおじさんたちのように体の両サイドでぱたぱたさせて何となく乾いた気分になった。
子どものころからの習慣で、寝る前にはいつも、明日持って行くものの確認をする。ハンカチ、水筒、肥後守、今年からはマスクが加わった。いつもほとんど無意識に、一連の必需品チェックを行っているのに、ときどきどういうわけかノイズが生じ

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月曜日の図書館49 いざというときは

月曜日の図書館49 いざというときは

館内整理の休館日を利用して、救命活動の講習がある。本棚の前に、たくさんの上半身が並んでいる。
消防署から来た講師のおじさんは、わたしたちを地べたに座らせて説明をはじめた。妊娠中のLちゃんがいすを持ってきて座ると、大丈夫です、他にもひざが悪い人がいたら無理しないでください、とずれた気遣いをした。
心臓マッサージをすると、上半身は小気味よくこきゅっ、こきゅっ、と音を立てて沈む。学生のころから唯一わたし

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月曜日の図書館48 ランゲルハンス島で自習を

月曜日の図書館48 ランゲルハンス島で自習を

うごめいている気配が2階にいても伝わってくる。数秒後には、ここも人が押し寄せてごった返すことになるだろう。なるべく密にさせないよう、素早くさばかなくてはいけない。腰を低くして、両手を前に構えると、T野さんからカンフーみたい、と笑われた。
土日の開館直後は、席を確保しようと、大勢の人がカウンターめがけて突進してくる。相手が希望する席番号を言い終わるか終わらないかのうちに該当する席札を引っつかみ、よど

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月曜日の図書館47 焦らないでよく見つめること

月曜日の図書館47 焦らないでよく見つめること

落ち葉がすごい。毎年こんなに降り積もってたっけ?とびっくりするほど道路に落ち葉が敷きつめられている。図書館のいわれが書いてある石碑の上にもこんもりと積み上がっているのを、わたしはスマホで撮った。
道路の一画だけ、まるで重森三玲の庭みたいにぴっちりと掃除されているエリアがあって、どうしたかと思えばおじいさんが竹ぼうきで掃いているのだった。おじいさんは超絶スローな動きで、葉っぱをちりとりに集め、ごみ袋

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月曜日の図書館46 どこにでもあるスコーン

月曜日の図書館46 どこにでもあるスコーン

海鮮丼を食べながら本を読んでいた。確か梨木香歩さんの本だったと思う。
食べ進めてしばらくすると、カウンター越しに店主が話しかけてきた。ふだん何をして過ごしてるんですか。そうやって本ばっかり読んでるんですか。テレビとか何を観ますか。
家にテレビはない、と言うと、軽蔑したような表情になり、え、じゃあ××が離婚したことももしかして知らないんですか、とたたみかけてくる。有名人らしいが名前すら知らない。今世

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月曜日の図書館45 記念日

月曜日の図書館45 記念日

朝、図書館までの道を歩いていて、突然足の裏に違和感を感じた。踏み出すたびにじゅり、じゅり、と変な音がして、ちゃんと地面を踏みしめられない感じ。
猫のうんこでも踏んだかなと思っていると、小さく痛みまで走った。観念して裏返して見ると、なんと画鋲が刺さっているではないか。引っこ抜いてまじまじと見る。つまみの透明なプラスチックの部分が、少し欠けて、朝日をきらきら反射した。

今日は人生で初めて画鋲を踏んだ

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月曜日の図書館44 リサーチ

月曜日の図書館44 リサーチ

電話に出ると無言で切る人が一定数いる。用事がないのにかけてくる理由は何か?ひまなのか。いたずらなのか。自分が外の世界とつながっていることを確認したいのか。
お気に入りの職員がいて、その人に当たるまでかけつづけているのでは、という説もある。その日、無言電話は4回あって、わたしはダメ、T野さんもダメ、S村さんもダメ、わたしがもう一度出てやっぱりダメだった。相手はひとりとは限らず、しかも普通に話してくる

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月曜日の図書館43 ACTION

月曜日の図書館43 ACTION

昇任試験が迫っているので一応勉強する。採用されたときにもらったハンドブックを初めて開く。文章が下手すぎて何も読み取れない。地方行政や財務や法律やいろいろな項目があり、それぞれの章を関連する部署が執筆しているのだが、どこもまんべんなく読み取れない。担当者はきっと、小学生のころに作文の宿題をまじめにやらなかったのだな。どんなふうに書けば相手に伝わるのか、よくわかってないのだ。

まるで役所の文章のよう

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月曜日の図書館42 まちづくり

月曜日の図書館42 まちづくり

広くてたくさん車線のある道路の、まんなかだけが薄いクリーム色に塗られている。バス専用のレーンであることを示しているのだ。レーンの側には一定間隔で停車場も設置してある。乗客は横断歩道をまんなかまで渡り、この停車場でバスを待つ。さながら路面電車のようだ。後ろも前も車がひゅんひゅん通り過ぎてゆく。
渋滞を避けて効率よく乗客を運ぶことが狙いで設置されたこの基幹バス構想は、しかし開発者が思い描いていたより世

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