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月曜日の図書館21-30

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#はたらく

月曜日の図書館30 ひらいて

月曜日の図書館30 ひらいて

どこまでも続く一本道だった。アスファルトで舗装された、太い道路。景色は荒凉としている。通る者など誰もいない。一体誰が、何の目的で作った道なのだろう。
その先に、気球が見える。あたたかい空気をたっぷり孕んでいるのに、地面にくっついたままで、飛んでいく気配はいっこうにない。
人気のない道路。
飛び立たない気球。
この道をどんなに歩いても、気球は永遠に「その先」にあり、決してたどり着けないような気がする

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月曜日の図書館29 その他おおぜい

月曜日の図書館29 その他おおぜい

病院には、確か首吊りの器具が2つあったと思う。そこで老人たちは頭部を固定され、いーんと引っ張られる。気持ちがいいのか効果があるのか、感情の読めない顔をして、老人たちは引っ張られるままになっている。点滴を打たれている間、退屈を紛らわすのに老人たちを観察するのはうってつけだった。他にも腰やら脚やら、彼らはいろんなところを引っ張られており、みんな一様に表情がなかった。常連ともなると、病院に入ってくるなり

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月曜日の図書館28 まんべんなくない

月曜日の図書館28 まんべんなくない

気づけばいつもカレーを食べている。昼にカレーを食べて、夜も家でカレーを作り、何なら翌朝のごはんもカレーである。何を入れても同じ味になるのがカレーの良いところとも言えるし、スパイスや地域によって味が変わるのに全部まとめてカレーと呼べるのも良いところだと思う。
今日のお昼はタイ料理屋さんのグリーンカレー。ここのはいつもおいしすぎて、食べている途中で鼻水が出てくる。
タイもインドも行ったことはない。イン

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月曜日の図書館27 二面性

月曜日の図書館27 二面性

感染対策で30分しか滞在できませんよと説明したのに、おじいさんが15分くらい自分の身の上話をする。話を無慈悲に打ち切って本を出納しに行ったり、時間が来たらおじいさんを窓から放り出したりする選択肢もあるが、このときばかりは必殺「目をつぶる」を使うことにした。おじいさんは目当ての新聞記事をコピーして、にこにこしながら帰って行った。

わたしのマスクは白と黒、2色の布を真ん中で縫い合わせて作ってある。陰

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月曜日の図書館26 でも言いたい

月曜日の図書館26 でも言いたい

数日前からiPhoneがOSをアップデートできますと訴えてくる。できます、とさも選択の余地がありそうな提案だが、こちらに拒否する権利はない。古いバージョンのまま放っておくとアプリにも支障が出てくる。仕方がないので言われるがままアップデートしつづけ、何が良くなったのかいまいち分からないまま使いつづける。
そしてあるとき、これ以上アップデートできなくなる日がくる。そうなるともう新しい機種に買い替えるし

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月曜日の図書館25 あじさい

月曜日の図書館25 あじさい

職場の傘置き場に傘を置くときは、取られることを覚悟すること。高くてお気に入りの傘は、持ってこないか、各自のロッカーにしまうこと。だから傘置き場に置いてあるのは、たいていどこにでも売っているビニール傘だ。以前、穴の開いたビニール傘の捨て時がわからず、そのまま使い続けているうちに取られてしまった。取った相手はさぞがっかりしたことだろう。その傘には、油性ペンで落書きまでしていた。開いた穴をピストルで撃っ

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月曜日の図書館24 目覚めても

月曜日の図書館24 目覚めても

返却ポストの真下に蚊取線香が落ちていたので、持って帰って家で焚く。箱ほしさに喫茶店からもらってきたマッチは、擦ったらちゃんと発火した。近づけると、蚊取線香はおとなしく煙を出しはじめる。今日、人生で初めて蚊取線香に自分で火をつけました。もし今、地震が起きて、かわいいマッチもなくなったら、どうやって火を起こしたらいいか知らない。スマートフォンで検索しようと思い、めんどうくさくなってやっぱりやめた。

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月曜日の図書館23 レモン-ハイ

月曜日の図書館23 レモン-ハイ

クエン酸を風呂の床にばらまく。霧吹きで湿らせ、数分置いてから磨くと、垢が落ちるのだそうだ。本当に落ちているのかどうか、よくわからない。床が溶けて(?)表面がねたねたしているような気がする。心もとない。落ちていると信じるしかない。地球にやさしいナチュラルな掃除方法は、人工の洗剤のようなはっきりした答えをくれない。
手についたクエン酸をなめてみたら、ハイレモンと同じ味がした。

出勤途中に通る接骨院は

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月曜日の図書館22 丁稚奉公

月曜日の図書館22 丁稚奉公

職場の同僚の結婚式でもらってきた花束がいい具合に乾燥してきた。バラと、ユーカリと、あとは名前が分からない種類がいくつか。束ねて壁に飾る。
生きている花を上手に飾る自信はないが、枯れているそれは放っておいても様になる。ほどよく色あせて、つぼみは一生開くことなく呼吸を停止させ、そのまま部屋の一部と化す。
変わらないものが好き。
世話しなくてもいいものが好き。
式当日は受付を任されていた。名簿に名前を書

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月曜日の図書館21 ご賞味

月曜日の図書館21 ご賞味

見切り品のモロヘイヤを買ってきて、味噌汁の実にした。飲むとカビの味がした。
本当にカビが生えていたのか、カビ風の味がするだけなのか、悩むところだった。里芋もカビの味がするけれど、あれはカビではない。書道に使う墨汁もカビのにおいがするけれど、あれも違う。モロヘイヤも味噌とかけ合わせると、カビっぽい味になるのかもしれない。結局は迷っているうちに全部たいらげてしまう。寝る時間になって、お腹がしんしんと痛

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