no plan シナリオ

S1 研究所・前の道
T「どこか、そう遠くない未来…」

人目を忍んで歩いてくるユウ。
警報がけたたましく鳴るので、慌てて駆けだす。

S2 坂道
走ってくるユウ。立ち止まり、後ろを振り返る。
追っ手がいないのを確認して、安堵する。

タイトル 「no plan」


S3 イメージ
空に浮かぶ入道雲を背景に佇んでいるユウ。
目を閉じて、天を仰いでいる。

ユウの声「僕たちはどこから来て、どこへ向かうのだろう」


S4 トレッキングコース
歩いてくるユウ。周囲への警戒は怠らない。
神経を研ぎ澄ませた顔。汗がしずくになっている。
大事そうに背負っているリュック。
×      ×      ×
物陰から監視している目がある。
気配に気づくユウ。だが、姿は見えない。

S5 開けた場所
やって来るユウ。
待ち伏せしているカケル。
避けようとして、スグルに後ろを取られたことに気づく。
警棒を引き抜いて牽制する。
ロープを投げるスグル。ユウ、難なくはじく。
カケルがその隙にロープを投げ、ユウの利き腕を拘束する。
ユウは応戦しようとするが、すかさずスグルに全身を絡めとられてしまう。

S6 木と茂み
縛られて地面に転がるユウ。
リュックを漁っているカケル。スグルはやきもきして様子を伺っている。
ユウ 「…」
荷物に「触るな」と叫びたいが、かえってふたりの注意を惹き、ワクチンだとバレたくないので黙っている。ワクチンもわからないバカであってほしいと祈っている。
そうとは知らず、中にあった携帯食をバリバリ食べるカケル。
スグル「なぁ、俺にもくれよ」
カケル「おい、2m以内に近づくんじゃねぇよ」
と乱暴に押しやる。
尻もちをつくスグル。泣きそうになる。
カケル「ほらよ」
包みを放る。
キャッチしてむさぼり喰うスグル。
2、3日ロクなモノを食べていない様相。
カケル「がっつくんじゃねぇよ。みっともねぇな」
スグル「もっと無い?」
カケル「んー無いな。金もねぇし、シケた野郎だ」
ユウ 「…」
目線をリュックから外し、素知らぬ顔を決め込む。
カケル「…(目で探る)」
スグル「じゃ、もう行こうぜ」
立ち上がるが、カケルは動かない。
カケル「…何か隠してるな」
ナイフで脅す。
ユウ 「…」
無表情を装うが、汗がつたう。
カケル、身体検査をする。
何も無さそうだ。
今度はリュックを表から叩く。固い感触を見つける。
ユウ 「(無念)」
奥に手を突っ込み、衣類の底から包みを見つける。
中には小瓶が詰まっている。
ひとつ取り出し、凝視するカケル。
スグル「なんだいそれ」
カケル「(ユウに)お前、これどこで手に入れた?」
ナイフで凄むが、
ユウ 「…」
カケル「…」
スグル「なぁ、なんなんだよ。教えてくれよ」
カケル「(無視して)……盗んだな?」
ユウ 「…」
カケル「……お前、正気か?」
ユウ 「…」
カケル「何考えてんだ。ヤバいだろ、これ。誰の分だよ」
スグル「そんなに?」
カケル「あぁ。庶民には絶対回ってこないヤツだ」
ユウ 「…」
カケル「マジかよ。ヤバいぞ。おい、さっさとズラか…」
発砲音がして、崩れ落ちる。
スグル「え?」
ユウ 「(?!)」
カケルが手にしたワクチンの小瓶が地面に転がる。
ユウ 「(事態を悟る)」
次弾が飛んでくる。
スグル「ヒッ」
地面を這いずって、逃げる。
ユウも避けるが、
ユウ 「(目を凝らす)」
狙撃者の姿は見えない。あたりは静まり返っている。
ユウ、ロープで身動きが取れない。
カケルのナイフをつかもうとするが、うまくいかない。
焦る。弾が飛んでくる。
立ち去りかけたスグル、地面に転がるユウの窮状に、
スグル「(迷い)」
目が合う。
スグル「…」
ユウ 「…」
スグル、奇声を上げながら引き返し、ユウを自由にする。
弾が飛んでくる。
ユウ、リュックとワクチンを回収して立ち去る。

S7 トレッキングコース
一緒に逃げるユウとスグル。
無我夢中で駆けていく。
後ろを振り返る余裕などない。


S8 トンネル
逃げてくるふたり。マスクを外し、呼吸を落ち着ける。
耳を澄ますが、狙撃者の足音はしてこない。
物陰で安堵する。
恐怖で震えているスグル。
ユウ、水のペットボトルを渡す。
スグル「(驚き)…あ、ありがとう」
ユウ、黙って水を飲む。
罪悪感に駆られるスグル。
立ち去ろうとするユウに、
スグル「なぁ、どうなってんだよ、これ」
ユウ 「……さあな」
スグル「お前の、それ(荷物)なんなんだよ」
ユウ 「……。なぁ、こうなったのって、誰が悪いんだと思う?」
にたりと笑う。
スグル「…お前だろ?」
無視してマスクを装着し、歩きだす。
ついていくスグル。
ユウ 「ついてこない方がいいんじゃないか?」
スグル「…」

S9 側溝~浜辺
身をすくめながら、歩いてくるふたり。
狙撃者の気配はない。
まず先に川に降り立つユウ。
スグル「…そこ行かなきゃダメか?」
ユウ 「無理に来なくていいんだぞ」
さっさと行ってしまう。
スグル「待てよ、行くよ、行けば…」
発砲音がして、崩れ落ちる。
慌てて走り出すユウ。
走った先は――――隠れ場所の無い、浜辺。
絶望と躊躇。
後ろを振り返り、意を決して浜辺に降り立つ。
×      ×      ×
砂浜に身を伏せ、数を数える。
覚悟を決める10を数えて、走り出す。
×      ×      ×
走る。走る。走る。
弾が飛んでくる。
立ち止まらずに全力で走る。
そして――――頭を撃ち抜かれる。
浜辺に倒れ、動かなくなる。
×      ×      ×
死体に近づく足。
死体からリュックを剥ぎ取る狙撃者。
もはや何も見ていないユウの目。
ユウの声「なぁ、こうなったのって、誰が悪いんだと思う?」
じっと見下ろす狙撃者。表情からは何も読み取れない。
そのまま黙って立ち去る。

S10 イメージ
空に浮かぶ入道雲を背景に佇んでいるユウ。
目を閉じて、天を仰いでいる。
エンドクレジット




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