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doomsday シナリオ

S1 エレベーター(25年前)

T 25年前… (25 years ago …)

監視カメラの映像。
男子高生が入ってボタンを押す。扉はなかなか閉まらない。
ときおり、外を伺う。どこか挙動不審。
結局、エレベーターには乗らず、廊下に飛び出していく。
無人のエレベーターはそのまま上がっていく。

T これが彼の最後の姿である。(This was the last time I saw him alive.)


S2 廃校・表(現在)

スマホで監視カメラの動画を観ている女。
学校を見上げる。


S3 廃校・廊下(2F)

やって来る女。写真を撮る。無人の廊下。


S4 屋上

やって来る女。貯水槽を見上げる。

T 43日後 高校生は貯水槽の中から死体となって発見された。
(43 days later, his body was found in the school’s water storage tank)

スマホで写真を撮る。間違えて連写してしまう。どれも無人の貯水槽。

T 自殺か他殺か、真相はわかっていない。
(Was it suicide, or murder ? No one knows the truth.)


S5 校長室

無人の部屋。やって来る女。
スマホで写真を何枚か撮る。
壁の電話に魅かれ、耳に当ててみる。当然ながら無音。
元に戻し、立ち去ろうとすると、鳴る電話。
女、恐る恐る手に取る。

女 「…もしもし?」
(…Hello ?)
母の声「(泣き声)」
女 「…」
母の声「私の坊やが、私の坊や、坊やが…」
(Oh, my boy…my sweet sweet boy…)
女 「…もしかして高瀬さんのお母さまですか?」
(Are you Takase’s mother ?)
母の声「(絶叫)」

驚いて電話を落としてしまう。
床に横たわる受話器から延々漏れてくる泣き声と呪詛。


S6 職員室

廊下から覗く女。中は無人。
通り過ぎようとすると、中に人の気配。
振り向くと、椅子に仮面の後頭部が見える。確かにさっきまで誰もいなかった。
ビクッとする女。男が動く気配はない。
恐る恐る近づく女。ヒーローの仮面を被った男がだらしなく椅子に腰掛けている。
ぼろぼろの服。上半身は裸で、傷だらけ。
苦しそうな声が聞こえるので、顔を近づける女。

ヒーロー「虐めて…虐めてください」
(Please…hurt me…)

どうしていいかわからない女。向かいのソファに腰を下ろす。
対峙するふたり。

女 「あなたが苦しんでいるのは、25年前の事件と関係がありますか?」
(Why are you suffering ? Could this be related to the incident 25 years ago ?)
ヒーロー「…」
女 「25年前、何か見たんですか?」
(Did you see anything back then ?)
ヒーロー「…」
女 「教えてください」
(Please, tell me the truth.)


S7 主観(25年前)

階段を昇り、屋上に出る。
ヒーローのものか、女のものかわからない喘ぎ声がする。

女の声 「これは過去なの、それとも未来?」
(Is it future? Or is it past? Someone is here.)


S8 職員室(現在)

ソファで眠っている女。うなされている。


S9 主観(25年前)

あたりを見回す。貯水槽に出る梯子を上っている高校生が見える。
梯子を上りきって、姿が見えなくなる高校生。
慌てて梯子に近づき、昇る目線。
貯水槽の元に辿りつくが、無人。


S10 職員室(現在)

うなされている女。向かいで、その様子をじっと見ているヒーロー。

ヒーロー「次に会うとき、私は私でない」
(When you see me again, it won’t be me.)


S11 屋上(25年前)

再び貯水槽。振り向いた目線に高校生。

女 「あなたは死んだはず」
(You’re supposed to be dead.)
高校生「僕は死んだけど、生きている」
(I am dead… Yet I live.)

そしてその奥に男の影。


S12 職員室(現在)

びっくりして飛び起きる女。


S13 主観(25年前)

男はkillerである。不気味に笑っている。


S14 職員室(現在)

ヒーローは消えている。部屋には女しかいない。
椅子には先ほどまで確かに誰かがいた温もりが残されている。
先ほど撮ったスマホの画面をチェックする。
無人だったはずの貯水槽の写真に高校生が写っている。
こちらを見ている。
異様な展開に震える女。
スクロールすると、静止画の高校生は動いている。
こちらに手を伸ばし、ノートの切れ端を渡そうとしているように見える。
スクロールする毎に近づく紙切れ。とうとう画面いっぱいになる。
“430” ” Two dates. And a time. Same time 2:53.”という文字。
震える女。
スクロールすると先ほどの廊下の写真。
無人だった写真。いまではおぼろげな姿が写っている。


S15 廊下

廊下に出る女。無人である。
写真を撮る。
モニターには女(影)の姿が写っている。
現実の廊下は無人。
シャッターを切る。モニターの女(影)は近づいている。
何枚かシャッターを切る。その度に女(影)は距離を詰めてくる。
しかし、現実の廊下は無人のまま。
恐怖にかられモニターを見つめる女。
スマホを下ろすと目の前に女(影)がいる。
ニタリと笑い、女の首を絞める。


S16 屋上

対峙しているヒーローとマスクの男。

マスク 「俺はお前の良心だ」
(I am your conscience.)

マスクの男が左手を挙げると、ヒーローの左手も彼の意思に関わらず挙がる。
ニタリと笑うマスクの男。

ヒーロー「お前はこの世にいてはいけない」
(You shouldn’t be here.)
マスクの男「消えるのはお前の方だ。この時、この場所で、すべては予言されている」
(No, you shouldn’t be here. This time and place has already been decided by fate.)

拳を交えるふたり。
ふたりのバトル。

拳と拳がぶつかる時、閃光が走り
空に巨大な穴が現れる。
渦巻いている穴に吸い込まれる男。
屋上に残ったのは…マスクの男。
ニタリと笑う。


S17 廊下

歩く女(影)。振り返り、ほくそ笑む。



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