THE SHOW MUST GO ON シナリオ
S1 店内・ステージ(時刻19:30過ぎ)
DJが奏でる大音量のダンスミュージック。体をくねらせるGOGO。
まばゆい照明と筋肉、筋肉、筋肉。六尺ナイトなので、全員褌。
スポットライトと共に登場するレイチェル。
タイトル
THE SHOW MUST GO ON
S2 元の店内
パフォーマンスをし出すが、マイクを握ると
レイチェル「ストップ!ストップ!・・・ちょっと止めて」
静かになるステージ。ショーのリハーサルである。
レイチェル「ゲオルグは?ここで登場でしょ。どうしていないの。何やってんのよ」
コースケ 「あ、さっき楽屋にいたよ」
レイチェル「いるのわかってるんだったら、さっさと呼んできなさいよ。リハーサルにならないでしょう」
コースケ、八つ当たりされる。ナオト、ポンと肩を叩いて「(ドンマイ)」
気まずい空気にいたたまれなく、
アレックス「あ…あたし呼んできてあげる。あ、いいのいいの」
と、足早に立ち去る。
レイチェル「まったく」
コースケ、気を紛らわそうとペットボトルを手渡す。
レイチェル「ちょっと、な~にこれ」
コースケ 「え、なにって。水…」
つかつかと歩み寄るレイチェル。
コースケ 「え…(気圧されて)」
レイチェル「坊や、水はね…常温!」
無視してコップを拭いているバーテン。そこに「ギャー」と悲鳴が聞こえる。
S3 控室前・廊下
やって来る一同。(バーテンは来ない。)
レイチェル「どうしたの!?」
アレックス「し、死んでる…」
一同 「え?!」
S4 控室・中
中を覗くと、ゲオルグが椅子にだらしなく腰掛けている。
コースケ 「本当に死んでる」
椅子の下はモザイク。(お漏らししている。)
鼻をつまむ一同。
レイチェル「え、ヤダ…これって」
死体の首には、何かで絞められた痕が残っている。
コースケ 「…殺されたってこと?」
S5 控室前・廊下
「ギャー」と廊下を飛び出してくる一同。
S6 支配人室・中
支配人 「え、なんだって?」
口々にまくしたてる一同。
支配人 「すまんが、ひとりずつ喋ってよ」
レイチェル「だから!警察、警察呼んでよ」
支配人 「今夜はイベントじゃない」
レイチェル「だから(じゃない)!」
支配人 「3時間後に開場なのに、いま警察なんか呼んだら中止になっちゃうじゃない」
レイチェル「え、だから(どういうこと)?」
支配人 「いま中止にしたら大損こいちゃうじゃない」
一同 「…」
支配人 「みんなのギャラも払えなくなっちゃうし?」
レイチェル「それは、ねぇ…」
一同 「…」
S7 控室・中
支配人 「あ~ぁ、こんな時に死ぬなよ、もう。空気読まないやつだな」
死体に毒づく支配人。
アレックス「あの、別に彼が悪いってわけじゃ…」
支配人 「じゃ、彼抜きということで。ショーやっちゃってよ。ね、よろしく」
レイチェル「え~~~~~ちょっと待って待って」
支配人 「なに?プロでしょ? ショー・マスト・ゴー・オンだよ!」
レイチェル「いや、それはそうかも知れないけど…殺されてんだよ」
支配人 「だから?」
レイチェル「だから…この中の誰かがやったってことでしょ?」
支配人 「そうなの?」
S8 回想・ステージ(時刻19:00ちょい過ぎ)
準備しているナオトやコースケたち。
アレックス「は~い、リハはじめま~す。よろしくぅ」
口々に「よろしくお願いしま~す」
レイチェルの声「だって、リハーサルはじまってから外部の人間は一切出入りしてないし」
S9 回想・控室(時刻17:30過ぎ)
コースケの声「僕が会場入りした時はゲオルグさん生きてましたし」
控室入りしたコースケ、ゲオルグに挨拶する。
S10 回想・控室(時刻18:50くらい)
アレックスの声「あたしたちが最後に見たのは控室出る時よね」
仕度が終わったアレックスたち、控室を出る。
ゲオルグはスマホをいじくっている。
S11 現在・控室(時刻20:00過ぎ)
レイチェル「犯行時刻はリハーサルがはじまる7時ちょい前から死体を発見した7時半の間…」
一同 「やっぱ嫌~」
支配人 「おいおいおいおい」
アレックス「だって、この中に殺人犯がいるってことでしょう~。仕事なんかできな~い」
じと~とお互いの顔を見回す一同。
一同 「いやいやいやいやいや」
「僕じゃないし」「あたしでもないし」と口々に弁明。
コースケ 「そもそも、その時舞台にいたし」
アレックス「あたしだって」
ナオト 「(激しく頷く)」
レイチェル「あたしだっ…」
コースケ 「レイチェルさんはバックステージにいた時間があった~」
アレックス「そうだ!空白の時間~」
レイチェル「バカ言わないでよ!」
コースケ 「出番までの間で犯行?」
アレックス「やだ~」
レイチェル「ちょっと!こういう場合、リハに参加してなかった人をまず疑うべきじゃないの?」
アレックス「例えば?」
レイチェル「し、支配人とか…」
支配人 「は?」
レイチェル「事件、隠ぺいしようとしてるし…」
支配人 「お前本気で言ってんの?」
レイチェル「……いえいえいえいえいえいえ、ちょっと言ってみただけですぅ。次回もまた呼んでくださ~い」
コースケ 「あ!」
レイチェル「なによ!」
コースケ 「バーテンさんは?」
レイチェル「え?」
S12 回想・ステージ(19:00過ぎ)
リハがはじまっている。微動だにせずコップを磨いているバーテン。
コースケの声「誰も彼なんか見てなかったでしょ?ちょっと抜けても気づかれなかったんじゃ…?」
S13 現在・店内
バーテンを取り囲む一同。
バーテン 「(鼻で笑い)あぁ、それならわたしには証人がいます」
レイチェル「誰よ?」
バーテン 「(不敵に笑い)ちょっと待っててください……」
一同 「…」
バーテン 「…」
一同 「(?)」
バーテン 「…ん、んむぅ…ふぅ…」
カウンターの中でもぞもぞ動き、チャックを閉める。
口を拭いながら黒服がカウンターの中から出てくる。
一同 「…」
コースケ 「…え、どんだけしゃぶってたの?」
レイチェル「バカ」
コースケ 「え、でも単純に凄くない?」
頭をはたかれる。
S14 時間経過・店内(時刻20:30くらい)
アレックス「開場まであと2時間半…」
コースケ 「それまでに犯人見つけないと」
ナオト 「(頷く)」
レイチェル「ねぇ、ここは犯行の動機から考えてみたらどうかしら」
コースケ 「動機?」
アレックス「誰かゲオルグに恨みを持っていなかったかってことね」
レイチェル「そう。捜査の定跡よ」
コースケ 「テレビの観過ぎっす」
レイチェル「おだまり!」
コースケ 「あー!!!」
レイチェル「(今度は)なによ?」
コースケ 「それなら、アレックスさん!控室でゲオルグさんと!」
アレックス「え、あたし?」
S15 回想・控室(17:30頃)
コースケ 「ちーす」
扉を開けると、パッと離れるゲオルグとアレックス。気まずい空気。
ふたりを交互に見るコースケ。
S16 現在・店内
レイチェル「怪しい!」
コースケ 「でしょ~?」
ナオト 「(頷く)」
アレックス「ち、違うわよ……」
一同の視線に耐えきれず、
アレックス「ふ、二股かけられてたから」
コースケ 「え、ふたり付き合ってたんすか?!」
レイチェル「いまそこじゃないでしょ!」
S17 回想・控室(17:30前)
アレックス「あたし知ってんだからね!他に付き合ってる人いるでしょ!」
暴れるアレックス。体格がいいので、振り回されるゲオルグ。
ゲオルグ 「なんなんだよ、ふざけんなって」
アレックス「なによ、ちょっとぐらい可愛いからって…ムグ」
キスでアレックスの口を塞ぐゲオルグ。アレックス、力が抜けてしまう。
そこに扉が開いて、
コースケ 「ちーす」
パッと離れるふたり。
S18 現在・店内
レイチェル「そうだったの…」
アレックス「(涙目)…本気だったのに」
ポンと肩を叩くナオト。
コースケ 「…でも、どうして相手がいるってわかったんすか?」
アレックス「聞いちゃったの」
S19 回想・トイレ前(時刻17:00前後)
トイレに入ろうとするアレックス。
中から「(パンパン)」という音とゲオルグの喘ぎ声が聞こえてくる。
ゲオルグの声「あ、そこ、当たってる…」
S20 現在・店内
コースケ 「え、今日?」
アレックス「(頷く)」
コースケ 「ないわ~」
レイチェル「相手は?」
アレックス「わからないの…」
ナオト 「…」
レイチェル「なんで突き止めなかったのよ、愚図ね~」
アレックス「だって…」
コースケ 「あ、それ俺じゃないっすよ。だって、俺まだ来てないし」
レイチェル「あたしはその時間、絶賛変身中だったわ」
S21 回想・トイレ前
扉の前で悔しがっているアレックス。
控室の中からアレックスに声をかけるレイチェル。
レイチェルの声「アレクちゃ~ん。悪いんだけど、そこのトランク中に持ってきて~」
アレックス「え、あ…」
レイチェルの声「さっさとしなさいよ」
アレックスが扉の前から離れたところで、中からゲオルグが事を終えて出てくる。
レイチェルの声「アレクちゃん、証人よね?」
S22 現在・店内
一同 「…」
レイチェル「…え、あれ?なにこの空気」
コースケ 「え~と、ナオトさんは?」
ナオト 「…」
レイチェル「いや、黙ってちゃ…って、あぁ!!」
アレックス「え、なに?」
レイチェル「見て!」
一同 「え?」
レイチェルが指さした先はナオトのもっこり股間。
コースケ 「大きい…」
レイチェル「そこじゃなくて!」
アレックス「あぁ…」
ナオトの褌には白いシミが…
コースケ 「あ、一回出した痕跡!?」
さっと手で股間を隠すナオト。目が険しい。
アレックス 「あんただったの?!…え、でもどうやって」
S23 回想・ステージ(時刻19:20あたり)
踊っているアレックスとナオト。
アレックスの声「ずっとステージで一緒だったのに」
S24 現在・店内
レイチェル「簡単よ」
アレックス「え?」
レイチェル「リハの時、控室から出た順番は?」
コースケ 「えっと確か…」
S25 回想・控室(時刻18:50過ぎ)
コースケの声「先にアレックスさんで、次が僕で、最後が…」
先に出て行く、アレックス、コースケ。最後にナオト。
S26 現在・店内
アレックス「そうか!」
レイチェル「ね?」
S27 回想・控室(時刻18:50過ぎ)
控室を出るとみせかけて扉を閉め、ゲオルグを睨みつけるナオト。
S28 現在・店内
コースケ 「え、でも凶器は?」
レイチェル「それよ」
とナオトの股間を指さす。
S29 回想・控室
ナオト、褌をほどくとゲオルグに投げつける。
首に褌が巻きつき、キュッと絞まる。
レイチェルの声「控室を出る直前に殺害し」
S30 回想・ステージ(時刻19:00過ぎ)
準備しているアレックスとコースケに合流するナオト。
レイチェルの声「そして何食わぬ顔してリハに来た」
S31 現在・店内
レイチェル「10分もあれば充分だった…そうよね?」
ナオト 「…」
レイチェル「…」
ナオト出て行こうとするが、コースケが前に立ちはだかる。
ナオト 「…どけ」
コースケ 「なぜなんです?ナオトさん」
ナオト 「ガキにゃ、わかんないよ」
コースケ 「哀しいこと言わないでくださいよ…俺、ナオトさんのこと、いいなって思ってたのに」
アレックス「え、そうなの?」
レイチェル「いまそこじゃなくて!」
ナオト 「(冷笑)」
コースケを突き飛ばすナオト。
反撃するコースケ。揉み合いになる。
悲鳴を上げて隅に逃げるレイチェルとアレックス。
レイチェル「ちょっと!あんたゴッツイんだから、少しはコーちゃん手伝いなさいよ」
アレックス「ムリ~~~あたし暴力ムリ~~~」
ナオト褌をほどいて、投げつける。
すんでのところでかわすコースケ。
ナオト 「(舌打ち)」
褌をムチのように使いこなす。打ちすえられるコースケ。
しかしコースケも褌で反撃に出る。股間を直撃され、悶えるナオト。
モロ出しの股間が見えそうで見えないふたりの体勢。
ナオト 「クソ!」
褌を素早く装着。コースケも褌を締め直す。
拳を交えるふたり。肉弾戦に。
お店の片隅で、ふたりの肉体美にため息を漏らすレイチェルとアレックス。
どっちが可愛いか寸評し合う。(アドリブで)
コースケ 「必殺!股間絞め~!」
ナオトの顔を股間で挟み、足を締め上げるコースケ。
ナレーション「説明しよう!股間絞めとは、ゲイが大好きな男の股間で口と鼻を塞ぎ、呼吸を止めるというなんとも羨ましい必殺技である!」
悶えながらも、嫌な感じではないナオト。
だが、ナオトも黙っていない。激しく首を左右に揺らしはじめる。
悶えるコースケ。でも悪い気はしていない。
ナレーション「説明しよう!これは高速に舌を回転して股間を舐め、相手を昇天させるという恐るべき必殺技!ドリル舐めである!」
コースケ 「ウッ」
ぐったりと床にへたりこんでしまうコースケ。
レイチェル・アレックス「あぁ(羨ましい!じゃなくて負けちゃう)!?」
自由になったナオト、すかさず襲いかかろうとするが、
コースケ、股間に手をやり体液を投げつける。
白い液体はナオトの目を直撃。目を塞がれ、のたうち回る。
ナレーション「説明しよう!なぜコースケの褌に白い液体がついているのか…未成年の良い子は保健体育の授業で習ってね♡」
ナオト 「…いっぱい出たな」
コースケ 「ナオトさんのテク、半端なかったっす」
ナオト 「それを逆手に取るとは…やるな。俺の負けだ」
コースケ 「ナオトさん…」
ナオト 「…殺すつもりはなかったんだ。でも、見てしまったんだ!」
S32 回想・トイレ前
レイチェルに呼ばれて、立ち去るアレックス。
トイレから出てくるゲオルグとナオト。ゲオルグは支配人に呼び止められる。
S33 回想・控室。
先に戻ってくるナオト。他には誰もいない。
テーブルの上にスマホが置いてある。何気に手に取る。当然、ロックがかかっている。
しばらく考えてから、「ちんこ」と入力してみる。
ロックが解除される。面白半分で中身を見ていたが、途中で顔が険しくなる。
スマホに保存されている何枚もの写真。どれも違う裸の男と映っているゲオルグ。
とんでもない形相になるナオト。
S34 現在・店内
ナオト 「(涙目)頭に血が上って、気がついたら俺は…」
S35 回想・控室
褌でゲオルグの首を絞めるナオト。むき出しのお尻。
S36 現在・店内
ナオト 「俺は、俺は…(号泣)」
一同、貰い泣き。
アレックス「愛、ね…」
レイチェル「いや、違うでしょ」
コースケ 「(涙目)残念です、ナオトさん…一回くらい掘って欲しかったっす」
レイチェル「(アドリブで突っ込み)」
S37 時間経過・バックステージ(時刻23:00過ぎ)
観客のガヤが聞こえてくる。
円陣を組んでいるレイチェルたち。
コースケ 「とうとう3人になっちゃいましたね」
レイチェル「…でも、ショーは止められないわ。いいこと。この3人で乗り切りるの。だって、私たちプロなんだもの」
アレックス・コースケ「(頷く)」
レイチェル「さ、ショー・マスト・ゴー・オン!」
スポットライトを浴びる3人。
歓声が起こる―――。
S38 ステージ
ダンスミュージックが流れ、踊るアレックスとコースケ。
筋肉にエロい褌。そして女王のごとく舞うレイチェル。
(エンドクレジット)
了
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