月が落ちる瞬間って一瞬なんだ。
6月5日、日曜日。オーストラリアNSW(ニューサウスウェルズ州)のバイロンとコフスハーバーを間にした位置から西に4時間ほど車を走らせた山奥の丘の上。そこは、丘に登ると人より遙かに小さく、親指一本のサイズのご近所さんが見える他は草原や木々が広がる自然に満ち溢れた場所。高い建物という言葉は存在しないような360度の空が広がる。
太陽が上がり太陽が下がる時間帯も、地平線から満月の日は月が上がるのも見える。満天の星空の中の流れ星、微かに見える天の川のような白いぼやけたようなものまで。6月に入り、霜が降るようになるということは0度に温度が下がることは、ほぼ毎日のようになった。
南半球のオーストラリア、実は雪が降るほど冬は寒くなる州もある。
オーストラリアではじめて寒い冬を越す
わたしは冬になると仕事を辞めて車でラウンド(旅)しながら次の仕事や居住地を探すパターンが2年間続いたのでオーストラリアで寒い冬を越すのははじめて。
上からニット帽、肌着、長袖、ユニクロの薄手のウルトラライトダウンを挟んで大きめのトレーナーを被る。下はロングレギンスに、ジャージの2枚履き。靴下も2枚。そして頑丈なワーキングシューズを履いたら完成だ。
オーストラリアに持ってきてよかったものと言えば、こちらでも都市では買えるかが、ユニクロのウルトラライトダウンは穴が開いてもあと2、3年は着続けたい。(本気で。)
月が地平線に消える瞬間は、まさに秒速
大きな声では言えないけど、仕事が終わってシャワーも浴びて一服すると
「やっと一日が終わったなぁ。」
って、ホッとする瞬間。外は凍える寒さでホットコーヒーもあっという間にアイスコーヒーになる。いつも臭いがと思いつつ車の中で吸うしかないんだけど。
6月5日は、満月でも満月に近いわけでもないような歪(いびつ)な形だったからそんなに気にするほどでもなかった。電気は家のもちろん電気のみなので、月のない日は真っ暗だが、月がある日は電灯がついているかのような明るさ。車の天辺にあった月が後部座席の窓側から見えるほど落ちてきた。後ろから光を感じて振り返ると、みるみるうちに月が平らな暗闇に呑み込まれていく瞬間だった。
綺麗な月も満月も、産まれてから何度も見たことはあるが、月が落ちていく瞬間を見続けたのは初めてだったと思う。月が上がって、下りていくなんて当たり前のことなんだけど、生きているうちに何度その瞬間を見れるのか、見ようとするのか。
オーストラリアの自然を感じて生活する中で、当たり前の毎日の瞬間をいくつ切り取れる人生であるのか。そんな毎日をどう続けていくのか。写真と共に思い出す記憶もいいけど、また数十年後に同じ記憶を辿れるようであればいいなと。月を見ながら、「あー、寒いオーストラリアで月が下りて消えていくのを見て感動したなぁ。」なんて。
日々、悩み、焦る瞬間に時間を追われながら特別でない日のこういう感動を言葉に表すことできっと忘れない記憶になると信じてメモメモ。 笑
なんといっても、酒が入ったらほぼ記憶喪失、少し物忘れの激しい年頃ですからね。