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カワサキに、みどりなんて

突然ですが、みなさんはこんな名前のイベント、聞いたことありますか?
「全国都市緑化フェア」(緑化フェア、と略します)

国土交通省が提唱し、毎年、全国の都道府県や政令指定都市で開催される、都市緑化を推進するイベントです。

国民ひとり一人が緑の大切さを認識するとともに、緑を守り、愉しめる知識を深め、緑がもたらす快適で豊かな暮らしがある街づくりを進めるための普及啓発事業として、昭和58年(1983年)から毎年、全国各地で開催されている花と緑の祭典です。

公益財団法人都市緑化機構のホームページ

今年は、僕の生まれた街である川崎市で開催されています。昨年は、宮城県のもりの都こと仙台市で開かれていました。ニュース番組で見かける”皇室が植樹をされるイベント”(緑化祭と呼ばれます)も、緑化フェアが開催されている期間に行われています。


名称もちょっと独特で、”緑化”と”フェア”の間に開催都市名を挟んで付けられるのが伝統のよう。しかも川崎市は、都市名をひらがな表記にしています。

「全国都市緑化かわさきフェア」

市制100周年を記念して、ブルーインパルスが展示飛行を行ったのは夏でした。この緑化フェアもまた、市制100周年の記念事業として実施されています。メイン会場は市の東側・川崎区にある富士見公園。ほかに市内の大きな2つの公園を会場にして開催されています。

また、緑化フェア史上初の2期に分けた開催とのことで、現在行われている秋期間(令和6年10月19日〜)と、来年の春期間(令和7年3月22日〜)に分かれています。

”街なかのみどり”というと「公園」がその代表的な場所として思い浮かびますが、都市部では大きな公園を作ることがなかなか難しいものです。歴史的に「公園」として整備された場所が、進む都市化で”緑のオアシス”として珍重されているのが現状かもしれません。

「公園」には、実は広い定義があります。子どもたちが使う遊具のある場所も、自然を守るために山や森林を保存している場所も、さらには教育や保護・繁殖のために世界中から動物や植物を集めて展示している場所も、公園です。

緑化フェアのメイン会場「富士見公園」は、フェア開催に併せて数年かけて再整備されていました。数年前には、周辺にあった体育館などの施設も統合されて、文化とスポーツの総合施設として集約された「カルッツかわさき」が建てられています。(カルチャーとスポーツで”カルッツ”らしい)

会場の花壇。奥が、カルッツかわさき。

緑化フェアは、緑化祭のほか各都市の交流花壇の設置、緑化コンテスト、ワークショップなど、現在のみどりのことがわかるイベントです。コンテストにはいくつも種類があり、ベランダ緑化、みどりのコワーキングスペースなど時流に合わせたテーマで、作品の発表の場として活用されています。

緑化というと、単に土に植物を植えるとか、鉢植えを置くといったイメージでしたが、現在は壁面緑化に代表されるような、地面以外に緑を増やしていく手法が注目されているようです。

会場には、工事現場の仮囲いの塀に組み込まれているプランターや、アートと壁面緑化を組み合わせたようなコンテスト、スタジアムの外壁を使った壁面緑化の種類別展示がされていたりと、壁を見上げて緑を楽しむという新しい経験をしました。

顔ハメパネルに着想を得て鏡が埋め込まれた作品
草や葉だけではなく、木や竹を使う作品も
スタジアムの外壁の壁面緑化(庭のように石や木の素材も)

新しいなぁ…なんて思って見ていましたが、よく考えたら甲子園球場は蔦で覆われていて、元祖・壁面緑化の建物かもしれません。建設当時に蔦が覆う設計だったのかはわかりませんが、象徴的なみどりの建物である印象があります。

緑化フェアとはいえ、メイン会場も単なる公園です。日頃から、近所に住んでいる人たちが使っている公園でもあり、再整備されて遊具も新しくて大きくなって、より賑やかになっていたはずです。なかでも大型のアスレチック遊具は、とにかく賑わっていて楽しそうでした。

これまでの遊具によくある”カラフルな鋼材”や”形の揃った木材”ではなく、天然の木を使った不規則な形をした木材が印象的でした。子どもたちの楽しそうな表情はもとより、周りで見ている大人たちもまたうれしそうで、同じ親として妙に感激し、うっかりすると泣いてしまいそうなくらい良い雰囲気を感じました。

エントランスの反対にあったフォトスポットは、華道家・假屋崎省吾が手がけたもの
過去に緑化フェアを開催した各都市の花壇も
芝生広場が広くて素敵
芝生広場の一角に、グリーンエキスポ2027(横浜市)の展示

高い建物が多い都市部にあって、芝生広場があるというのはとてもいいなと思います。単に緑を眺めるだけでなく、座ったり寝転んだりすることで、みどりに触れることができるし、柔らかい地面なので安心して子どもたちを遊ばせることもできます。

大阪にあるターミナル駅のすぐそばに広大な芝生広場ができたと、先日大きな話題になっていましたが、広場として芝生が選択できることの豊かさとか余裕みたいなものはきっとあると思うのです。


再整備に伴って、これまであった施設も生まれ変わって立派になっていました。中でも、この相撲場は目を引きます。(緑化フェアの会場ではあるものの、展示はかなり小規模でした)

川崎のイメージというと臨海工業地域の印象が強く、最近では「工場夜景」として映える場所になっていますが、かつてはみどりとは無縁な町のイメージだったはずです。メインゲートを入るとすぐにあった展示は、それを象徴したような工場と緑の組み合わせでした。

個人的意見ですが、金属系素材はもっと繊細だったら工場っぽくなったはず
現代アートっぽくて好き。軽トラを使った庭園展示。

秋というと、花というより紅葉のイメージでしたが、花壇や壁面には思いがけず色の鮮やかな花が多く咲いていました。この日のために準備し、調整していることを思うと、季節の違いを感じるのでした。

コスモスが咲き誇っていたメイン花壇の中にはいくつか鏡の柱が設置されていて、「自分を映り込ませて花と共に写真を撮れる」ようになっている…ということで撮ってみました。

カシャッ!

青いおじさん

顔を隠そうとするあまり、柱の背景と、自分の背負っている景色(鏡に映っている)に配慮が足りず、ぜんぜん緑化フェアっぽくない(笑)

正面の建物は中学校で、背後は競輪の施設という、なかなかのダイバーシティ(多様性)。鏡の柱はいくつもあるので、いろんな角度で試してみるのが良さそうです。

別の角度から。花壇の中に立つ青いおじさん。
会場のご近所に住んでいるミニブタにも出会う

緑化フェアは富士見公園だけでなく、中原区の等々力緑地(川崎フロンターレのホームグラウンドがある)と、多摩区の生田緑地(科学館や岡本太郎美術館がある)でも開催されています。

まずはメインの富士見公園に行けて良かったです。子どもたちも連れてきたかったけれど、またそれは別の機会に。

広々として綺麗になった公園。歩いているだけでも、楽しくなっていました。まして、芝生で遊ぶ親子の様子を眺めていると、近所に住めて羨ましい!と、みどりの存在価値を感じていました。緑化フェアのようなお祭り気分でもいいから、身近にみどりがあって良かった!と思えたら幸せですね。

みどりに触れることで、癒されたり豊かな気持ちになることは、忙しい日々を送る現代において、大切な時間なのだと改めて感じました。

仙台から川崎、そして川崎の次は岐阜で開催されるようです。緑化フェアは関東圏でなかなか開催されません。2027年には横浜で国際園芸博覧会が開催される予定ですが、一足先に川崎のみどりに会いに行ってみるのもアリだと思います。


最後にメインゲートの写真を。日が暮れて、ライトアップされたみどりも趣があります。


爽やかな緑のサムネイルは、infocusさんに作成いただきました。秋といえば紅葉ですが、みどりも花も見応えがありました。



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