おおきいこのように #書もつ
絵本「はじめてのおつかい」をご存知の方は、きっと多くいらっしゃるのでは。小さな女の子が、ひとりでおつかいに行って牛乳を買ってくる話です。
街なかの危険を描きつつも、主人公が自分を奮い立たせて買い物をする様子は、読み手が子でも親でも応援したくなります。僕自身、子どもの頃、ひとりで何かするというのはとても不安だったことを思い出します。
我が家の子も大好きな作品で、何度となく読み聞かせに登場しています。よくよく絵を見てみると色々なところにネタが仕込まれていて、読み進めるとそれらがきちんと回収されていることに気がつきます。
柔らかくて温かいタッチの絵が印象的な作品。その絵を描いている方による、キャンプの絵本を図書館で発見しました。
毎週木曜日は、読んだ本のことを。
はじめてのキャンプ
林明子
表紙には大きな荷物を背負っている女の子。まさか、キャンプって言ってもソロキャンプなの⁉︎と思いましたが、読んでみたら、みんなで行くキャンプでした。
主人公の家のお隣に住むおばさん(見た目はお姉さんですが・・)と、そこに集まる子どもたち(おおきいこ)がキャンプの準備をしているのを見て、主人公は「わたしもいく!」と奮起します。
年上の子たちが「やっぱり、小さい子には無理だ」と言うたびに、主人公は鮮やかにそれを否定して、驚くような展開になって。絵本ならではの展開に、いつのまにかキャンプに加わっているような気分になります。
テントを張って料理を作って、焚き火をして花火をして、テントで怖い話をして、眠る・・・普段の生活とは違うけれど、”おおきいこ”たちと同じように頑張る主人公を、ついつい自分の子と重ねて読んでしまいます。
この作家さんの絵本では、ちょっと不思議な体験も、優しい世界観で描かれている印象があって、これもそうでした。主人公に流れていく煙は、何だか笑っているようでした。
暗い夜に、一人でテントの外に出られるかどうか、それはキャンプができるか否かの基準のようでした。テントの中の誰も起きなかったから、意を決して外に出た主人公でしたが、テントに戻るとおばさんが起きていて「もう一人前ね」と褒めてくれるのです。・・・おばさん、きっと寝たふりをしていたのでしょう。
子どもは自分で決めたことは守りたいと思っているし、子どもにも意志があって、意地があるから、大人はそれを見守ることが大切・・なんて何かの本で読んだことがありましたが、この主人公の強い意志を見ていると、大人の決めつけのようなものも子どものチャンスを逃しているのかもなぁなんて反省しました。
キャンプに行けば成長する、なんて単純な結論を書きたいのではなくて、キャンプに限らず、ひとりでエイッと動けたら広がる世界があるのかもなと思いながら読みました。
またキャンプに行こうね、と子に伝えるつもりで選びましたが、この主人公のように伸び伸びと動けるような親になっているのかな・・と、ふと考えてしまいました。