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席が空かない
通勤電車における幸せというのは、自分が立っている目の前の席が空き、座れることだと思う。
その幸せのために、僕は電車に乗るたびに、出入り口から離れた“車内の中ほど”まで進む。
相当の満員電車でない限り、なんとなく手刀を切るような素振りや、申し訳なさそうな表情をしながら、グイグイと入って行く。
座っている人の目の前に立てれば、そこから各駅(メインはターミナル駅)で、表情には出ていないはずだが、さぁ立つか、さぁ席が空くかとワクワクする。
強者の通勤者の中には、あの駅で降りる人だ、などと顔を覚えて、車内のどこにいてもその人の前に立つという人もいる。
しかし、僕はそこまで記憶力もなく、他人の顔を覚えられないので、いつも一期一会の椅子取りゲームを楽しんでいる。
時折、とても運がいい日があって、僕が乗った駅の隣駅で目の前の席が空くことがある。その時、おそらく何人かがその駅で降りているのだが、傾向として僕よりも年上のおじさん、ということくらいしか特徴がなく、いまだに覚えられない。
乗り換え駅がいくつかあって、そのたびに目の前の人がムズムズと動くと、ここで降りるのですか⁉︎と気になる。結局降りないことがほとんどで、毎回ちょっと期待した自分をいなす。
ある時、僕の目の前だけずっと空かず、両脇の人が何度か空いたことがあった。僕ばかりが立ち続けているような気分になり、寝たふりのように整った顔立ちで目を閉じてじっとしている目の前の客を、見るとはなしに見つめた。
しかし、そんなことがあっても、椅子の前に立って待っていたい。
疲れて疲れて座らなければならない!などという日はほとんどないし、そんな日には、仕事を休むのが1番いいことを知っている。
あまり確率のようなことを考えたくはないけれど、平日5日間の往復、10回の乗車では、3、4回程度の勝率だろうか。あと二駅で目的地・・でも座ってしまう。
始発電車のある駅から乗るので、時間をずらせば始発にも乗ることができる。しかし、その電車も並ばなければ座れず、わざわざ座るために待っていた人たちだから、数駅乗ってすぐ降りてしまうような人はいない。
隣の駅で偶然席が空くのは、もっと先から乗ってきている人たちだからだ。だから、始発にはほとんど乗らない(し、乗れない)。
始発の電車は、朝は20分ほど前から行列が出来ているようだ。20分あれば、僕の乗車時間の半分は過ぎてしまう。来た電車で、乗車するのが有利なのだ。
昨日、帰りの電車で思いついて書いてしまったので、通勤電車ネタが連続してしまいました。差し替えようにもストックがないので、昨日の朝に書いていた、この投稿にします。
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