こんにちは、生まれた日 #書もつ
身近な間柄で、新しい命の誕生を聞くと、なぜだかわからないけれど、とても嬉しくなり、そしてとても安堵した感覚を覚えることがあります。もうすぐ生まれるよ、と聞いていたら尚更です。命が誕生する、それはとても単純なことだけれど、それまでにさまざまな出来事があるのです。
おめでとうございます。
僕は男だから、妊娠生活の大変さをほとんど知りません。だからこそ、想像するしかなかったのだと思い出しました。想像しなくなってしまうと、自分が父親になることがとても不安だったことも。
毎週月曜日は、読んだ本のことを書いています。この頃、タイトルに”書もつ”をつけるの忘れてました(笑)
アニバーサリー
窪美澄
読んで良かった。
幸せなタイトルに、新しい命が映る装丁。
物語の重苦しさとは違う、明るいイメージこそ、この作品の目指しているところなのだと実感しました。
世界の終わり、という有り得ないようなすぐそこにあるような、そんな節目を描き出すことで、生きていくことを実感させる物語には、何度も心が動きました。
死ぬことへの猛烈な不安と一抹の羨望、見事でした。
たったひとときの判断が、自分や家族の進む道を決めているとすれば、自分は果たして許されるのだろうか、そんなことを考える読み終わり。
記録的に早く梅雨が明けました。
性を明るみにすることで、命や仕事を強く見せる、そんな力強い作品でした。この作家さんを、いきなり読むことはなかっただろうなぁと思うくらいに、僕が経験してこなかった世界観。実生活ではまずないし、さらに小説としても選ばないような、なかなかにドキドキする内容でした。
因果応報という言葉がありますが、それなのでしょうか。それとも、主人公はさまざまな苦渋を味わいながらも、救われるのでしょうか・・それは、僕には最後の最後まで分かりませんでした。
一概に「幸せ」っていうけれど、それは本当に個人差のある話題で、他人から「それが幸せってもんよ」みたいな括りをされてしまうと、腑に落ちない時があります。読みながら、この主人公の幸せって、何だろうなぁと考えてしまいました。
男としては、本当に身につまされる思いもありつつ、あまり僕自身が男性性を強く出す場面を嫌っていたこともあるので、お母さん(子の親という意味で)ってめっちゃ大変よねと思っていたりしました。
タイトルとは裏腹に、なかなかに重たい物語ですが、新しい命とは果たして幸せなのだろうか・・ちょっとだけ緊張しながら考えられる作品でした。
この作家さん、とても心が揺れる作品を描くのが上手く、男性としてはなかなか分かり得ない世界を書くので、読み始めると、ドキドキしてしまいます。そしてこの作家さん、稲城にお住まいなのです。どこかですれ違っていたり、お店で隣にいたかも知れません。
生まれたての我が子の、小さな小さな手足を思い出して、ほっこりしました。infocusさん、ありがとうございました!そして、おめでとうございます!