トンネルの施工手順(矢板工法)について【ゆとり技術士の日常】
資格合格のために勉強していますが、アウトプットすることで記憶に定着させることを目的に記事を投稿したいと思います。
今回はトンネルの掘削工法の一つである「矢板工法」についてです。
施工手順が分かりやすくまとめられた資料が見つけられなかったので、自分で絵を描いてみました。
現在の山岳トンネル掘削はNATMが主流ですが、NATMが登場する1980年代前半まで標準工法とされていました。
施工手順は以下のとおりです。(矢板工法といっても、その中で更に施工手順が分かれます。今回は底設導坑施工です)
1.導坑を掘削する。
2.上部判断面を掘削する。
3.アーチコンクリートを打設する。
4.状半部のアーチコンクリートの打ち継ぎ目を跨ぐように下半部を抜き掘りする。その箇所に側壁コンクリートを打設することで、アーチコンクリートが脚付される。
5.脚付を行ったら大背と土平を掘削する。大背と土平の位置は図4参照。
6.脚付の間に残されている地山部を抜き掘りし、側壁コンクリートを打設する。(黄色部分)
側壁コンクリートは7.5m~9mのスパンで打設し、目地材も設置します。
7.インバートを設置する場合は、ここから底版部を掘削する。
8.インバートコンクリートを打設する。
以上が、ざっくりとした矢板工法(低設導坑)の施工手順となります。
実際に掘削する場合は、地山状況により支保工を設置し、コンクリート打設まで掘削断面を保持しなければなりません。
掘削時の地山補強(図2)から、アーチコンクリートの打設(図3)までの合間に行う施工手順は下記のとおりです。
9.鋼アーチ支保工(H鋼)を立て込む。
10.地山状況に応じて矢板(木製、鋼製)を配置する。
11.型枠を設置し、アーチコンクリートを圧送管を用いて打設する。
コンクリートは切羽から手前側(坑口側)に移動して打設します。圧送管より上部は、コンクリートが十分に充填できません。
また、アーチコンクリートを先に形成してから下半分の側壁コンクリートを打設する(図6、11参照)ので、逆巻き打設になってしまい、旧コンクリートと新コンクリートの継ぎ目処理が困難となります。
図12のとおり矢板工法はコンクリート打設を複数回に分けて行うので、施工継ぎ目(水色箇所)が多くなります。
継ぎ目部は不連続面ですので、経年劣化により継ぎ目からの漏水やコンクリート表面の剥離が生じやすくなります。
覆工コンクリートは逆巻きでの施工となるので、ツメの処理が必要となります。
間違いなどがありましたら、教えて頂けると幸いです。
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