神様たちのいるところ➃「玉杉」
「玉杉」
やっとのことで車に戻り、車の中に入りこんでいた数匹の大きなアブに悲鳴をあげながらも、私たちは次の場所へと向かった。見たことがないという私を友人が連れてきてくれたのは、樹齢1500年以上と言われる大きな杉の木。「玉杉」と呼ばれる、杉の大おじいちゃんである。
長い階段を息を切らして登ると、見たこともないような立派な杉が、青々と葉を茂らせて立っていた。青緑がかった、立派な幹である。
「こればっかりは、写真じゃわからない。実際見ないと。」
と友人が言う通り、写真に撮ってもこの途方もない大きさはわからない。直接見て初めて実感することのできる、偉大さだった。
1500年も生きるこの木からしたら、80年ちょっとの人間なんてひよっこのひよっこ。この杉は、1500年の間に移り変わっていくこの世の様をどうみているのだろう。この杉の木のまわりでくり返される、生と死、命の営みを。
「それでも、一緒に生きているんだよなあ。」
この大地の上で。
命の長い短いはあれど、アリも、猫も、人も、木も、岩も。
皆、同じ大地の上に生きている。
(⑤に続く)