来年は「カジュアル面談」って呼んで「面接」をしないで下さいね
お疲れ様です。もなきです。
スタートアップ企業の採用のお手伝いしたり、転職エージェントをしたり、HR×動画の事業立ち上げ等をやっています。
▼自己紹介は省きますので、詳細はTwitterとYouTubeご参照ください
さて、Twitterをやり始めた昨年は眺めるだけだった「Advent Calendar」という季節感あふれるやつですが、2019年度はありがたい事に「採用Advent Calendar」にお声がけいただき、3番目として書くことになりました。
(12/1のCaster石倉さん、12/2のピースオブケイク北上さんが素晴らしい記事を書かれていた直後ので、かなりビビりながら書いています。汗)
何を書こうかなと、直前まで真剣に悩んだのですが、今回はあえて
「カジュアル面談」
について考察していきたいと思います。お付き合いくださいm(_ _)m
①「カジュアル面談」を取り上げた理由
そもそも、何でカジュアル面談を取り上げようと思ったかというと、最近面接後フィードバックやTwitter上でよく聞く声がキッカケです。
・カジュアル面談に行ったら、がっつり志望動機を聞かれた
・カジュアル面談に行ったら、後日に不採用通知のメールが届いた
・カジュアル面談後に本応募を申し出たら、書類選考でNGと連絡がきた
・カジュアルに面談しませんか?とスカウトされたけど、持ち物は経歴書必須。まだ転職を考えているわけではないのに。 等々
個人側(転職を考えている/考え始め側)の不平不満は多く見られます。
とはいえ、僕も採用人事の経験がわりと長いので「そもそも、お会いするからにはどうしても自社に合うか合わないかの視点は持ってしまうよね…」という、企業側の気持ちはとても分かります。
ただ、それがカジュアル面談で呼んでおいて、志望動機やマッチする強みなどを直接的に聞く「面接」をやってよい理由にはなりません。言うなれば、合コンやマッチングアプリでお会いした人との初接点の際に
「僕と結婚したいと思う理由は何?」
「僕が必要としている結婚生活に、君はどんな貢献ができる?」
と聞いているようなものですから。。そんな「カジュアル面談もどきの面接」が、2020年は少しでも減ることを祈ってます。
また、短期的なゴールがある「採用」と異なり、中長期的に自社にマッチする人材と接点を持つための「採用活動」は、どんな会社でも続けていくべきだと思います。まさに「カジュアル面談」は、使い方さえ間違えなければ、「採用活動」の有効な1手段なので、正しい使い方をする企業が少しでも増えることを祈って、微力ながらnoteを書きたいと思います。
②そもそも「カジュアル面談」って何?
カジュアル面談という言葉は、Monapedia(もなきの経験則)によると、2014年~2015年頃から使われるようになってきた言葉です。Wantedlyやビズリーチなどによるダイレクトリクルーティングが少しずつ浸透してきたものの、人材紹介会社経由での「自社を明確に志望する人」との面接に慣れてしまっていた採用企業が「まずは転職潜在層となんとか一次接点を取ろう」と試行錯誤の末に「呼び出しの呪文」的に生み出され、共通言語化されていったのではと思っています。
ちなみに、「カジュアル」を辞書で引くと
「カジュアル」
形式ばらず、気軽で、くつろいでいるさま
と出てきます。つまり、カジュアル面談とは、
「カジュアル面談」
肩肘張らずに、気軽な気持ちでオフィスに来て、ざっくばらんに話そうよという企業側からの誘いをキッカケに対峙する接点
だと理解できます。この定義は結構大事なポイントで、ご来社いただく個人側を、緊張させてしまったり、考え込ませてしまってはダメなのです(カジュアルの反対語である「フォーマル」にさせてしまってはダメなのです)
③なぜ「面接」になってしまうのか
これは、採用に限らずですが、仕事があらゆる側面において「型化」されてしまってきたことに起因しているのではないかと思っています。
営業であれば、顧客との商談で「商談内容」「先方の課題」「ヨミ(受注確度と金額)」「ネクストアクション」をチームに報告するのと同じように。
カジュアル面談でも、面談後に採用担当を初めとした社内の人に「会話内容」「よかった点」「懸念点」「自社とのマッチ度」「ネクストアクション」が求められてきます。
それ自体は別に間違っている動きではないのですが、求められることが分かっていると、どうしても面談をする社員としては「あとで報告するために必要事項を確認せねば」となりがちです。それが、結果として「カジュアル面談の面接化」を生んでいるのだと思います。必要事項を網羅的に把握するには、「面接でいつも聞く質問をぶつける」方が、圧倒的に楽だからです。
あとは、単純に「カジュアル面談」と「面接」を切り分けて面接官に伝えていないという社内コミュニケーションの問題も勿論ありますね。
④僕が考える「カジュアル面談」のゴール
少し話はそれますが、今の時代、優秀な人ほど「転職」を前提に動いてはいません。副業やフリーランス、プロボノ(専門知識を活かした社会貢献活動)や起業やアライアンスなど、様々な形で自身の働き方のポートフォリオを構築しています。そんな優秀な方が、カジュアル面談で「面接チックな対応」をされたら、一瞬で冷めてしまい、その後その企業とのご縁を失うことにも繋がりかねません。
そんな令和の時代、僕が考えるカジュアル面談のゴールは
カジュアル面談のゴール
今後も何らかの形で「継続的」に関わり続けていきたいと思える関係性を「両思い」で構築できる
ことだと思っています。ポイントは「継続的」と「両思い」です。
ビジネスパーソンは、日々、色々な人と会う機会があると思いますが、極論的に大別すると
A:(今すぐ何かに繋がらなくても)末永く良好な関係性を築きたい人
B:そうではない人
に分かれます。
この、Aの方になることがとても大事で、その後の変化や取り組みをタイムリーに共有出来ているSNS上の関係性(FacebookやTwitterでの相互フォロー状態)を作ることが大切なのです。
カジュアル面談は、とかく「採用」の枠組みの中での出会いなので、フィードバックやネクストアクションを求めがちですが、「採用」に繋げることに焦りすぎず、両思いのビジネス関係性を継続的に持つための第一歩であるということを意識すべきだと思っています。これは、企業側においても、個人側においても、どちらも持つべき観点です。言わずもがな、ここで生まれた「継続的」な「両思い」の関係性は、採用に限らず今後の仕事人生の色々なところで活きてきます。
⑤相手の心を開いてもらう「カジュアル面談」
じゃあ、そんな
カジュアル面談のゴール
今後も何らかの形で「継続的」に関わり続けていきたいと思える関係性を「両思い」で構築できる
を成し遂げるためにはどんな面談をすればよいのか。「そもそも、それができれば苦労してないんだよ!」と思われるかもしれません。
細かいテクニック論まで話が進むと長くなりそうなので(そもそもテクニック論で語るべき話ではないと思うので)、ここでは概念的なポイントだけお伝えします(もっと詳しく知りたい方は、僕宛に「カジュアル面談しましょう」とお気軽にDMください。笑)
・共感
・好奇心
・自己開示
・初めと締め
ポイントはこの4つです。順を追って、簡単に解説します。
・共感
相手の経験や考えや志向に対して、否定することなく受け入れることです。これは、シンプルに聞こえますが意外と難しい。自分と全く考えが一致するわけがないからです。場合によっては「甘いな~」とか「違うんだよな~」と思ったとしても、相手の言葉を真摯に受け止めます。
・好奇心
全身で全力で、相手の話に集中し、興味を持って「もっと知りたい」という気持ちを持つことです。自分が好きな人だったら、どんなことでも知りたいと思ってしまうのと同じように、相手が何故そう思ったのか、何故その行為を取ったのかを、目をキラキラと輝かせて質問していきます。このキラキラがとても大切で、キラキラが甘いとその質問は「面接」や「詰め」と捉えられてしまうことも少なくありません。
・自己開示
相手に色々話してもらう中で、自分(面談をする企業側の人)の経験や考え方についても適度に開示していくことが大切です。できれば、共通する体験や悩みになぞらえて、自分自身の話を重ねることで、相手との心理的な距離感を縮めることができます。決して、マウンティングを取っていると思われるような、自慢話や主張の押しつけをしてはいけません。相手からも逆に「共感」や「好奇心」を持ってもらえるように、伝え方はアジャストして話すことが必要です。
・初めと締め
会社の採用状況、候補者の経歴によっても、その日のカジュアル面談の定義は微妙に変わることもあると思います。「今日はカジュアル面談で合否有無もないので、●●さんのことや私のことや、弊社のことについてざっくばらんに話したい」というような目的を最初に明確に伝達してから始めることはとても大切です。
また、締めの際にも「今日、ざっくばらんに話をしてみてどうでしたか?」を候補者の方に問いかけるとともに「今後どうしたいか」を双方できちんと対話することが大切です。よくあるのが、候補者の方はとても企業に惹かれたけれども、面談者は惹かれなかった場合。フワッと「本選考に進みたい場合は改めてWantedly経由でご連絡くださいね」みたいな感じで終わらせることがあると思いますが、それで結局書類選考NGみたいな対応になったら、候補者としてはモヤモヤしか残りません。何か、FITしないと思ったポイントや気になる点があったとしたら、それを知りたいかを聞いた上で、希望があれば伝えるべきです。あくまで、相手の今後のキャリア観や仕事に役立つ言葉にした上で。好きにだけさせておいて、告白したら秒で振るなんてのは、ただの残酷なモテ男(モテ女)の虚栄心なのです。
⑥大切なことは「テラスハウス」が教えてくれる
⑤ではちょっと抽象的な話になってしまい、ピンとこなかった方もいるかもしれません。言葉だけ真似してもできるものではないですし、結局はその会話をする際の「空気感」みたいなものが重要だったりします。
(僕も、日々これを模索し続けます)
そんな「空気感」をつかみ、「相手の心を開いてもらうコミュニケーション」を何で学ぶとよいか、という話で締めたいと思います。
それは、ずばり
「テラスハウス」
です。
結婚や恋愛をゴールとした「バチェラー」でも「あいのり」でもなく、テラスハウスなのです。
見ている人は分かると思いますが、テラスハウスは恋愛だけを目的としてシェアハウスに入居するというよりは
「夢を追いかける同居人たちから刺激を受けて自分も変わりたい」
と思う人達の日常の様子を、ただただ撮影している番組です。台本があるとかないとかよく騒がれていますが、僕の中ではそんなのはどっちでも問題ありません。毎週楽しみに、Netflixでテラスハウスを見ている理由は一つ。
どんな会話や問いかけをし、どんな反応を得ているか、を学ぶ
ここに集約されます。
相互理解が完成されていない相手との関係性を構築する上で、どんな会話や問いかけができるかどうかは、極めて重要になってきます。恋愛をゴールに置いていないテラスハウスでは、この「良質な問い」からどんな関係性の変化が生まれるかのヒントが溢れています。
伝えたいことが同じだとしても、言葉の選択一つで相手を傷つけてしまうこともありますし、聞き方一つで相手の好意を引き寄せることもあります。その全てが詰まった「教材」が、テラスハウスなのです。
これって、上で話していたカジュアル面談のポイントそのものじゃないですか?
このnoteを偶然にも見ていただいた方には、年末年始の空き時間、是非テラスハウスを観ていただくことをお勧めします。2020年のコミュニケーションスキルが劇的に向上することをここに約束いたします(ただし、補償はできかねますがw)。
以上、長文お付き合いいただきありがとうございました。
明日の採用アドベントカレンダーは
NewsPicks戸辺さん
です。お楽しみに!
それでは!
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