【書籍解説】「転職2.0」がとてもよかったので解説します
お疲れ様です。もなきです。転職エージェントをしたり、スタートアップ企業の採用のお手伝いをしたり、採用動画のプロデュースをしたり、YouTube(名もなき転職チャンネル)をしたりしています。
今回の「名もなき転職マガジン」は、先日にYouTubeでも紹介したのですが、Linkedin代表の村上臣さんが書かれた「転職2.0」という本がとてもお勧めだったので、そのご紹介をできたらと思います。
・今の会社は待遇はよいけれどもやりがいが少ない
・転職して次の会社が合わなかったらどうしよう
・今後どんな強みを身につけていけばよいか分からない
そんな風に考えている方は、このnoteや以下のYouTube、書籍を読んでいただければ、これまで抱いていたキャリアの常識が変わり、心をすり減らしながら我慢して働くことから一歩抜け出すことができますので、是非ご覧ください。
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【1】「ポスト終身雇用」の転職=転職2.0
皆さんは「仕事とは我慢して働くもの」という風に思っていませんか?
仕事のやりがい、年収、同僚との人間関係、ワークライフバランス、会社の将来性、通勤距離、などなど、何かに不満があっても、それを我慢しながら頑張るのが仕事である、その我慢の対価が給料である、そんな風に思ったりしてませんでしょうか?
実は、そんな時代は終わり、正しい転職の価値観と正しい転職の方法論を身につければ「誰もが我慢の必要のない、望み通りのキャリアを手に入れられる」と著者の村上さんは語っています。
かつての日本は「終身雇用」と呼ばれるように、どこかの会社に入ったら退職をするまでずっとそこで働くことが主流でした。そのため、個人よりも会社の立場が強く「個人は会社のために尽くすもの」とされてきました。個人がどのようにキャリア形成をしていくのかということさえも会社が握っており、何か不満があっても我慢して働かざるをえなかったのです。
しかし、労働人口の減少もあって、個人と会社の立場は逆転。キャリアの意思決定権は個人の元に戻り、自分自身でキャリアも働き方も選べる時代になりました。これは「ポスト終身雇用」なんていう風に呼ばれています。
そのような「ポスト終身雇用」の時代で、望み通りのキャリアを手にするためには、キャリアに対する考え方を根本的に入れ替える必要があります。これを、著書の村上さんは「転職1.0」から「転職2.0」にアップデートする、と表しています。
「転職1.0」と「転職2.0」を図解するとこちらのようになります。
本著では、この5つのコンセプトについて全て詳しく解説しているのですが、今回のnoteでは僕がこの「転職2.0」のコンセプトの中でも特に重要と考えた、
目的=自己の市場価値最大化(転職=手段)
行動=タグ付けと発信
に焦点を当てて解説したいと思います。
【2】自分株式会社の価値最大化
よく、自分の市場価値を高めよう、なんて話はTwitterとかネット記事とかでもみますよね。
本書では、この自分の市場価値を高める考え方として「自分株式会社の時価総額の最大化」という話をしています。
時価総額って、株の資産運用をしてるトレーダーとかじゃないとあまり聞きなれないかもしれないですが
時価総額 = 上場株式数×株価
と計算されます。
発行されている株式数が変化しない場合には、株価が上昇すると時価総額が大きくなり、株価が下落すると時価総額が小さくなります。株価が上がるのはその企業が好材料の発表をする、例えば業績がUPしたり、どこかの会社と業務提携の発表をしたりすると上がります。
つまり、時価総額は企業の価値を図る物差しして使われる指標なんですね。
じゃあ自分株式会社ってどういうことなのか。別に自分は独立して会社の法人登記をしているわけではないよって思うかもですが、これはシンプルにたとえ話です。
あくまで、自分自身が1つの会社だと捉えた時に、時価総額が上がる、つまり市場からの評価が上がって市場価値が高まることを「自分株式会社の時価総額の最大化」と表現しています。
この「自分株式会社の市場価値の最大化」に大きなインパクトを与えるのが「転職」です。転職は、あくまで市場価値を高める一つの手段です。
もう一度先程の図を見てみましょう。
これまでの「転職1.0」の頃、転職は1回するかしないかの頃は、転職における最大の関心ごとは「いい会社に転職できるか」でした。なので、1回の転職で一気に年収を上げることに意味があり、転職できたもん勝ち、入社してしまえばあとはなんとかなる、と考えられ、「転職自体が目的化」していました。
ですが、今は人生100年時代と言われているように、人間の労働寿命は伸びています。これまでは学校を卒業してから約40年で定年を迎えていましたが、今後はもしかすると50年、60年働き続ける可能性もあります。会社の平均寿命はここ数年は統計上、約23年〜24年くらいを推移しているので、労働人生の中でも2回、3回と転職するのが当たり前になることが予想されます。
なので、場当たり的な1回の転職ではなく、戦略的に、逆算型の転職を重ねていく必要があるんですね。
【3】自分に「タグ付け」をして発信する
では、この市場価値を戦略的に高めていくにはどうしたらいいか、軸となる行動が「タグ付けと発信」です。タグとは、荷札とか付箋という意味で、SNSをよくみる人だとInstagramやTwitterでハッシュタグは馴染みがありますよね。要は、分類するための短いフレーズです。
ここで言う「タグ付け」を個人に対して行うということはつまり「個人を想起させるためのフックとなるキーワード」をつけるということです。
この個人に対してタグは、大きく分けて5種類あります。
①ポジション(役割)
②スキル
③業種
④経験
⑤コンピテンシー(行動特性)
市場価値は、このタグの「掛け合わせ」で考えます。タグの掛け合わせが希少であり、市場ニーズにマッチしていたら市場価値は高まります。さらに市場価値を高めたいと考えた時には、どんなタグをかけ合わせたらいいのかを考えて、そのタグが得られる仕事に転職をしたり、現職の中でそのタグが得られる仕事を任せてもらったりします。
ちょっとイメージしづらいかもなので、分かりやすく僕を具体例に見てみましょう。こんな感じですね。
コンピテンシーのところは、自分で書くとちょっと恥ずかしいですね。汗
このタグを明確にするつまり言語化して整理するだけでもキャリア構築に効果はあると思うのですが、さらにこれを発信することでメリットは増えます。
たまに、「今の会社を転職します」的なツイートに、色々な企業の社長や人事や転職エージェントから「一度お話しさせてください」みたいなリプライが並び、バズっているのをみたことある人、いるのではないでしょうか?
あれは、その「転職します」って発信をされた方が、これまで自分のタグを継続的に発信をしていて、先程の、ポジション(役割)、スキル、業種、経験、コンピテンシー(行動特性)などが一定理解されている状態だったから多くの方から引き合いが生じるんですね。
なので、フォロワーが多いから少ないからではなく、大事なのは「自分のタグに関連する一貫した情報を発信しているか」なのです。「SNSなんだから、好きにつぶやかせてくれよ」っていう意見もあるかと思いますが、別に自分自身の転職とかキャリアに繋げることを目的としていないのであれば、好きにつぶやいていて結構です。ですが、転職やキャリアを考えた際の一つのチャネルとしてSNSも加味したいと考えている人は、一貫した発信があることで企業が見つけやすくなります。
ちなみに、ここでLinkedInは実名だから発信には最適だよ、みたいな話が著者の村上さんからありそうなものですが、そこをあえて強調しないところも、僕がこの本にとても共感を持ったところです。
利用するSNSは、その方のタグによっても変わるものなので、これが最適、なんてものはありません。TwitterやLinkedInが合う人ももちろんいるでしょうが、例えばデザインや写真系の仕事をしている人であれば、Instagramの方が繋がるべき人に目を止めてもらいやすい可能性だってあります。
では、自分のタグをどうやって考えればいいのでしょうか。そして、今後自身の市場価値を高めていくために、どのようなタグを入手していけばいいのでしょうか。大きく分けて2つ紹介されています。本書では別の表現をされていますが、僕の言葉で置き換えると
①自分でタグ付けをすること
②他人にタグ付けをしてもらうこと
です。
①自分でタグ付けをする
「自分でタグ付けをすること」は、まずは職務経歴書を書くことです。職務経歴書って、転職活動のタイミングで慌てて書く人が大半ですが、転職をするしないにかかわらず、常にアップデートしておくことをお勧めします。個人的には、3ヶ月に1回くらいは、自分の中のルーティンとしてアップデートするといいんじゃないのかなと思います。
職務経歴書をかきあげると、先程のポジション(役割)、スキル、業種、経験、コンピテンシー(行動特性)の分類にしたがって、タグとなるものを書き出します。
タグの数には別に制限はないのですが、あまり価値のないタグをたくさんつける必要はありません。その方のキャリアによって、メインとなる一軍のタグがあり、それを補完する二軍のタグがあります。この、一軍や二軍は時代の変化に応じて戦略的に変えていくべきものなので、その意味でも必要となってくるのが「他人にタグ付けをしてもらうこと」です。
②他人にタグ付けをしてもらう
「他人にタグ付けをしてもらうこと」というのは、外部の視点から自分についてのタグ付けを構築していくアプローチです。本著では、知人や友人が「自分のことを第三者に紹介する時にどのように紹介するのか」を聞いてみる、というやり方をあげています。
他には、実際に転職しなくてもよいので、転職市場に出てみて、面接で自分のどこが評価されるのかを試してみたり、信頼できそうな転職エージェントと話してみてフィードバックをもらうというのもお勧めです。
どこも面接へ行けない、面接が通らない、転職エージェントからも求人を紹介されないということもありえますが、その際は現職で何をもっと頑張ることで、市場価値を高めるタグを得ることができるのかのヒントを得るようにしましょう。
【4】どんなタグを得ていけばいいのか
最後に、今後自分はどんなタグを得ていけばいいのか、そのためのヒントとなる考え方をご紹介します。
ここまでで、自分のタグが何なのか、何が第三者から見ても評価されるタグなのかが理解できました。ただこれは、あくまで「現時点での市場価値の把握」に過ぎません。今後、より自分株式会社の時価総額をあげていくためには、現在のタグに、どんなタグをかけ合わせていくべきなのかを考える必要があります。
①需要と供給を見極める
ここには、マーケット思考が必要です。つまり、市場の中での需要と供給を見極めるということです。例えば、
AI
ビッグデータ(Big Data)
クラウド(Cloud)
に強い人材をABC人材なんて言ったりしますが、最近はここにDX(デジタルトランスフォーメーション)に強いABCD人材の要素を、自分のタグと掛け合わせると効果的かもしれませんね。
②ベンチャーキャピタルの出資を見る
他には、例えばベンチャーキャピタルが最近出資している企業の特徴を調べてみる、というのも、今後需要が高まるタグを手に入れていく上で有効だったりします。ベンチャーキャピタルは、投資家から預かったお金をベンチャーに投資して、株価が上がることで投資からの回収額を最大化していくことを生業にしているので、投資する会社やその業界のビジネスモデルについて、少なくとも1回は精査しているはずなので、今後需要が高まるタグのヒントとなりえます。
【5】「転職」ではなく「移籍」する時代へ
いかがでしたでしょうか。本日はLinkedIn社長の村上さんの著書「転職2.0」について解説しました。
最後に、すごいマニアックですがこの本を象徴する、著者村上さんの一文を紹介したいと思います。それは
私自身、リンクトインに移籍して以降、様々なインタビューを受けるなど新たなチャレンジを繰り返した結果、(後略)
という一文です。みなさん、僕がどこに注目したか、気づきましたでしょうか?ここです。太字の箇所です↓
私自身、リンクトインに移籍して以降、様々なインタビューを受けるなど新たなチャレンジを繰り返した結果、(後略)
「移籍」というフレーズですね。多分、村上さんもそんなに意識して表現した一文じゃなかったんじゃないかと思います。
この「移籍」って言葉、普段はスポーツ選手くらいしか使わないですよね。でも、今後は僕らビジネスパーソンの転職もこの「移籍」という考え方になってくるんじゃないかなと思うのです。
スポーツ選手って、年俸だけじゃなく、活躍できる環境、出場機会、育成環境やチームメイト、指導者(監督やコーチ陣)などを総合的に加味して、所属するチームを毎年考えてますよね。今いるチームがベストであれば残留するし、そうでなければ「移籍」することを見据えて他チームの話を聞いて能動的に交渉したりをしているんです。
僕はバスケが大好きなので、バスケのプロリーグBリーグをいつも見ているのですが、一番大好きなチームは宇都宮ブレックスです。
(写真引用)https://livr.jp/monthly-member-add/H127646151
日本人初のNBAプレイヤーの田臥選手が、まだ現役でキャプテンを勤めているチームですね。
宇都宮ブレックスは強豪のチームなので、もちろんそこに所属していること自体すごいのですが、どうしても選手ごとに出場機会、つまりプレイ時間は差が出てしまいます。
なので、宇都宮ブレックスのチームはすごい良い環境なんだけれども、もっと試合に出て経験やスキルを積みたいと他チームに移籍し、花開いて活躍している元ブレックスの選手がたくさんいます。つまり、能動的に自分の選手としてのキャリアを考えて、アクションをとって行っているんですね。
僕らビジネスパーソンも、それと同じだと思うんです。自分自身の価値を最大化させることを念頭に、どこで、どんな経験やスキルを得ていくことがよりよい道筋なのかを考えて、自分のキャリアを考えていくべきなんじゃないかなと思います。
今回は、転職2.0の中でも、特にこの二つ
「自分の市場価値の最大化」
そのための
「自分のタグ付け」
ということに絞って解説しましたが、本の中では他にも役立つ考え方が詰まっていました。今後の自分の市場価値を最大化させるべく、能動的にキャリア構築をしていきたいと考える方はぜひ書籍を直接読んでみてください。
今後も、このnote(名もなき転職マガジン)では、転職やキャリアにまつわる話を発信していきたいと思います。ぜひnoteやマガジンをフォローください。尚、今回の内容は以下の動画でも見ることができますので、よろしければぜひ高評価とチャンネル登録お願いしますm(_ _)m
▼今回のnoteの内容について話した動画
それでは、みなさん。今日もよい一日を。
もなき