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体温
実家で、パンダマウスを飼っている。
名前の通りパンダのような柄をした小さいネズミで、ペットショップではなかなか見かけない比較的マイナーな動物だ。
とある動物園で、元々飼っていたデグーという齧歯類の動物と一緒のゲージで飼っているのを見て、我が家でも共生させられたら、と飼い始めた。
結局、あまり性格が合わず同じゲージで飼うことは無かったのだが。
私が昨日の夜実家に帰ったのは、来週帰省するまでにその彼の命が持つかどうかが怪しいからだ。
彼は夏頃から体調を崩していた。寄生虫に苦しめられていたらしい。
寄生虫はどうにか駆除できたものの、元々寿命が2年ほどしかないのでそれをきっかけにどんどん弱っていった。
毛がどんどん抜けていった。
ゲージの中に放り込んだらすぐに齧り付いていた餌も、全く食べなくなった。
ゼリーでさえ口にせず、ミルクの強制給餌(スポイトで口に流し込む)が始まった。
ゲージの中で暴れ回っていたのが静かになった。
体力はもう無いのか、ずっと眠っている。
掌に乗っけるととっても暖かかった体は、今ではもうあまり体温は感じられず、肋が浮いていた。
それでも頬を撫でると嬉しそうに首を傾ける癖はそのままだった。
変わっていく彼の、一番好きだったその仕草だけがそのまま残っていたのがむしろ見ていて辛かった。
時間が許すだけ抱っこしていてあげたかったのだが、万年冷え性の私が触ってしまうと彼の体温を奪ってしまう気がして、少ない寿命でさえ尽きてしまう気がして一度抱きしめて終わった。
身近な人間やペットの死を経験したことのない私に、確かに死が迫っていた。