梓弓に寄せて
何となく語感が良くて好きなのですが、内容はなかなかに重たい和歌についてです
1.あらたまの年の三年をまちわびて今宵こそ新枕(にいまくら)すれ
現代語訳は
「(三年間という)長い間(あなたが帰ってくるのを)わびていましたが、ちょうど今夜、他の方と初めて枕を共にするところです 」
「にいまくら」という単語の艶かしさが印象的です
待ちくたびれた女性の諦めと引きずった恋心が窺えます🥲
2.あづさ弓ま弓つきゆ弓年を経てわがせしがごとうるはしみせよ
現代語訳は
「長い間私が(あなたを愛)したように、(新しい男を)親しみよろしくお願いします 」
語感が天才的な一首です
個人的な推しポイントは「弓」のリズムに乗った連呼と「うるはしみせよ」の馴染みのない音の連続です
思わず声に出したくなる♪
それはさておき内容的には、今でいうNTRに対して寛容な男性すごくね???思います
男性は分別もあって根は良い人なんでしょうね
3.梓弓引けど引かねど昔より心は君によりにしものを
現代語訳は
「(あなたが私の心を)引こうが引くまいが、昔から(私の)心はあなたに傾いておりましたのに 」
おしゃれですね
①で覗かせていた絶えない恋心を惜しみなく解放しています
こんな一途な愛をぶつけられたら、もし自分ならばイチコロです
4.結末
さて、結局この男女は結ばれることなくバッドエンドを迎えるのですが
愛する男性を待ち侘びた挙句、他の男性と結ばれる寸前に本命の男性が帰ってくる、というのはなかなかにドラマチックな展開ではありますが、当人からしたらたまったもんじゃないでしょうね
連絡手段の限られた時代では、今以上に身体的な遠さとカップルの破局は比例関係にあったのでしょうか
技術が距離を飛び越える時代に感謝しつつも、近すぎても遠すぎても上手くいかない距離感というものは難しいと思う今日この頃です😌