20代後半で大企業を退職すると決断した理由
前回は、20代後半で大企業を退職しようと思ったきっかけを書きました。
今回は、これらのきっかけを経て、数ヶ月考えて退職を決断した「理由」について書こうと思います。
デメリットがメリットを上回った
新入社員として働き始めた時は、稼ぐことができるスキルや人脈、専門性があった訳ではありませんので、ポテンシャルをみて採用して頂いたと思います。
特に日系の大企業では教育制度も体系的に組まれていますし、私の会社もグループ会社に社員教育サービスを提供する会社があったり、財務職としても上位層が若手に講師として財務の専門知識を教える教育がありました。
最初の数年は、大きくて複雑な社内の様々な仕組みや社内システム、また会社のサービスであるシステム開発を理解するだけでも必死でした。
3年目頃からようやく自分が何をやっているのかわかってきて、4年目頃からSEさんと会話ができる(=IT用語を理解して話が通じる)ようになって、財務職としての視点もなんとなくわかってきた、というような感じでした。
最初の数年は、自分のこの仕事の出来でこれだけのお給料をもらえて、かつ福利厚生で住宅補助やリフレッシュ・自己啓発のための補助をもらえて、非常に有難いと感じていました。
ところが、長時間労働が続いてストレスで眠れなくなり、体調を崩し始めた4年目後半頃。
それまで、私のチームの上司とその上の上司が数ヶ月に一度異動により変わるという状況が続いており、いつの間にか私が担当業務歴が一番長くなり、仕事も"なんか回る"ようになり、他部署の方から相談や問い合わせがあるときは上司より先に私の名前があがる。
一方で、以前よりだいぶ仕事をこなしているにもかかわらず、お給料はほぼ上がらないに等しいうえ、体調は悪くなる。
このまま働き続けることは「コスパが悪いのではないか」と考えました。
もし、"将来こうなりたい"、”こういうスキルを身に付けたい"というものが今の仕事の延長線上にあったり、今の会社の他の部署で実現できるのであれば、必ずしも退職しなくても良いかもしれません。
私の会社にもやりたいと思っている"サステナビリティ"を推進する部署はありました。
それでも退職を選んだのは、「時間」の問題でした。
異動できるのは、会社の文化を見ていると早くても4〜5ヶ月以上後になりそうだと感じて、そんなに体調は持たない、かつ計画している大学院進学の準備も間に合わないと考えました。
会社への信頼がなくなった
4年目の4月。当時、事業部をあげて業績を成長させる取り組みをSEの幹部と財務を含めた関係するスタッフ部門で行なっていました。
通常業務にプラスαでその取り組みをしていましたので、残業は増え、部署の人は結構疲弊していたと思います。
その時の部長が年度始めの言葉として部署の人に伝えたのは、
「今、皆さんよく耐えて取り組んでくれている。SE幹部が財務を以前より頼りにしてくれている。あと少しで楽になるから、もう少し頑張って欲しい。」でした。
その時の私は純粋に、数ヶ月後はもう少し仕事量は減るかな、あの言葉を信じてみようと思いました。
しかし、上司が変わったり担当する事業部の体制が変わったり、と私の仕事は負荷が増えるばかり。
それに加えて、体調不良になった時に上司に年休取得したい旨を伝えても、休みをもらえず在宅で仕事をして欲しいと言われ。
それが数回続きました。
また、予算の組み方や予算を達成するために幹部や財務から現場に要望する内容やその方法にも疑問を持ち始め、徐々に賛同できなくなり、これ以上コミットするのは自分の価値観に反すると考えるようになりました。
1つ目で書いた他部署への異動についても、会社に判断や決定権がある状況では、必ずしも私がやりたいことができるかは分からないので、会社任せにせずに、自分で決断したいという気持ちが強くなりました。
(もちろん、すぐに自分がやりたいことができるほど甘くはないと思いますが、自分に決定権があり、自分で決断して行動した方が、納得感を感じられると思いました)
退職しても生活できる資金があった
退職を考える時、独立したりしない限り、多くの場合は転職先が決まっている状態かなと思っていました。私も転職サイトには以前から登録していたのですが、このような状態だったので、転職活動をする気力、体力、時間はありませんでした。
転職先が決まっていない状態でも退職を決断できたのは、数ヶ月以上働かなくても生活できる程度の貯蓄・資産形成をしていたからです。
もともと実家は決して裕福な方ではなく、一人暮らしを始めてからも不必要なものは買ったりせず、基本、質素な生活をしていて、お財布の紐は何回結んでいるのかという程かたい方です。笑
(上質なものや本物を好むので、クラシックコンサート等の芸術鑑賞や、着付けのお稽古をしたり、たまに美味しいお食事をしに行ったり、そこで一流のサービスを学んだり、興味のある分野を学んだりしていました。惰性で何かをすることがあまりない気がします)
自分の性格上、何ヶ月も働かない状態は耐えられない、また活動したくなるだろうと分かっているので、負の状態で無理に転職活動をするよりも、まずは形成した資産を使って体力と気力を回復させようと考えました。
まとめ
もちろん、今の仕事を続けるか否か、退職するならどんな状態で退職するのか等は、いろんな考え方・やり方があると思います。
"こうしないといけない"というものはないと思います。
自分の体質や価値観、状況に合わせて、自分なりの方法で、自分と物事と誠実に向き合って行動していくのが良いのかもしれないと実感しています。
今回は、20代後半で大企業を退職を決断した理由について書きました。
こういう考え方もあるんだ、こういう人もいるんだと少しでも感じていただけたら幸いです。