飲茶 『正義の教室』 読書メモ
自分がSFっていうジャンルに感じてる面白さって実は哲学の部分なんじゃないか
正義の教室
仮に「正しい、なんて存在しない」と主張するとしたらそれはその主張を正しいと考えている。つまり正しいから逃れることはできない。
正義の根拠は三つある。
平等、自由、宗教
功利主義は幸福になる人数ではなくて、幸福の量を問題にする。じゃないと多数決と一緒。
トリアージ。
ベンサムは快楽を数値化しようとした。
機械まで発明しようとして。
「太った豚よりも、痩せたソクラテスであれ」
パターナリズム、父権主義。
快楽数値化装置ができてAIが個人の幸せをコーディネートして管理する世界はまさに典型的なディストピアである。
SFは科学と哲学が混ざり合うから面白いのかも。
「臓器くじ」からの「水槽の脳」
パノプティコンシステム
「倫理」と言う名前の女の子が、「倫理的にダメです」って言うの、いいね。
強い自由主義と弱い自由主義
自由主義が行き着く先は、「バカな人間はしねばいい」なのだろうか。
下に合わせて優れた人の自由が奪われていいのか。
それが全体の停滞を招くのではないか。
無知のヴェール
ロールズの『正義論』
現実の存在を蔑ろにする宗教の正義の問題点。
絶対的な正義があると信じている者ほど歴史上人を殺してきた。
道徳を信じているが故に。
直観主義者は嘘つきにならざるを得ない。無限の「正義」を有限の「人間」が理解できるわけはないから
構造主義とポスト構造主義。
これがやっぱり一番しっくりくる気はする。
構造に囚われた思考をしている。
自分が属するシステムに依らない、『善い』と思う事を、都度選択していくことは結構難しいように思う。
初めての哲学関連の本。
昔から考え事をする性格で考えまくって来たことのような気がしたが目から鱗だったことも多い。
やっぱり先人はすごいな。
あと読みやすさが物語性や登場人物の個性によって格段に上がっていた。
結構すごい結末だね。