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焦点を変える

いま、私たちの視線の先には何があるでしょう。

飲んでいるアルコホーリク。飲んでいないアルコホーリク。過去や未来。目の前にあるものではない、別の何か。これらは私たちの目を釘付けにします。そして恐らく、私たちは見ている対象に変わって欲しいと考えています。

そう考えるに至った理由は山ほどあります。アルコホーリクが飲んでいれば、その飲酒が止まることは私たちにとって何よりも大きな夢であり、憧れであり、目標であり、すべてを解決する救いです。それらを実現化すべく、あるいは過去の恐ろしい出来事の再現を回避すべく、アルコホーリクに注目し、関わり、とらわれ、それが人生の中心になってしまうのは非常に避け難いことです。

はたまた、私たちがこれほどまで強く待ち望んでいたことが実際に起こると、喜びや安堵はさることながら、これまでの反動から大きな期待と、やっと得たものを失うことへの恐れが生まれます。膨らむ期待は、自分が思ったようには変わってくれないアルコホーリクに対する要求や失望に変わり、恐れはコントロールや不感につながっていきます。

このように、いずれにしても私たちの意識はアルコホーリクのやること、やらないことに向きやすいものです。そしてこれが困った事態を引き起こします。なぜならそれは言わずもがな、アルコホリズムが飲酒をまったくコントロールすることができない、かつ治癒しないという性質を持った病気であるからです。

・WE DIDN'T CAUSE IT (私たちが原因だったのではない)
WE CAN'T CONTROL IT(私たちはコントロールできない)
WE CAN'T CURE IT(私たちは治すことができない)

アラノンでは、これらの文言のCause、Control、Cureのそれぞれの頭文字であるCを取って「三つのC」と呼んでいます。三つのCは、アルコホリズムが病気であることを根拠としています。

アラノンのプロセスの第一段階として「気づく」ためには、私たちの凝り固まった見方が(まずは少しでも)変えられなければなりません。焦点をずらしたり、増やしたりしてみることから始めたいと思います。次の記事では、三つのCの一つ目であるWE DIDN'T CAUSE ITを見ていきます。

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