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アラノンのスポンサーシップ

「孤立から抜け出す」ということは、多くの家族にとってラディカルなコンセプトであり、具現化には大きなエネルギーを必要とします。感情的かつ物理的なリスクを抱えた新しいメンバーがアラノンのグループに留まり、自分自身の回復を求め続けるのは簡単なことではありません。本人の勇気と意欲はさることながら、フェローシップによる支えが不可欠になります。

アラノンのスポンサーシップは、そうした新しいメンバーをはじめ、すべてのメンバーが相互援助のために利用できるグループの大きな資源であり、プログラムの理解と実践を直接的に促進させる、貴重な機会であります。

スポンサーシップとは、スポンサーシップを導く人である「スポンサー」とスポンサーシップを受ける人である「スポンシー」が、一対一で、回復に必要な解決を得るために行う一連の取り組みのことを言います。スポンサーとスポンシーの関係性もまた、スポンサーシップと呼ばれます。

WSOのウェブサイトに掲載されているGot Sponsors?(スポンサーはいますか?)という記事によれば、アラノンのスポンサーシップに要件はありません。けれども「プログラムを使って生き、12ステップの実践から経験と力と希望を分かち合うことができるメンバーをスポンサーに選ぶことは助けになる」と書き添えられています。

スポンサーシップは通常、スポンサーを探している人とスポンシーを募集している人が揃い、お互いが合意した時点で成立します。そのような交渉、そしてその後の取り組みは個人的に行われるため、実情が見えにくいところがあります※。スポンシーが主体的にスポンサーになってほしいメンバーを探し、直々にスポンサーシップを申し込むというのは基本的な姿勢ですが、当然のことながら他にもいろいろな始まり方があるでしょう。

新しいメンバーの中には、誰かとこうした親密な関係性を築くことや、誰かが自分のために大きな任務を負うことに抵抗を感じる人がいるかも知れません。スポンサーシップは確かにチャレンジではあるけれど、義務や負担ではなく恩恵であり、スポンサーとスポンシーの両者にとって大いに役立ちます。そしてそれこそが、今も世界中で多くのメンバーがスポンサーシップに勤しむ理由であるでしょう。

フェローシップに身を置き、自分は決してユニークではなく、独りぼっちではないとを知ることは、私たちにとって大きな慰めです。しかしながら、フェローシップはアラノンプログラムを構成する一つの要素に過ぎません。もう一つの要素は12ステップであり、スポンサーシップはこの二つの要素をつなげます。次回より、アラノンのステップに入っていきます。

※2023年にWorld Service Conferenceがスポンサーシップに関する書籍を出版することを発表しました。現在スポンサーシップに関するメンバーの経験を募集しています。
https://al-anon.org/pdf/Sponsorship-Writing-Guide.pdf