have good chemistry
気がついたら3月。ここ数週間は天候のせいか、調子を崩している人が多かった。体調が悪いと、気分も落ちやすい。
先日、若い友人に誘われて食事に行った。聞いてほしいことがあると言う。
ビールで乾杯して前菜の盛り合わせをつまみながら、彼女はぽつりぽつりと話し始めた。
「いま付き合っている彼氏のことなんですけど。
彼、本当に優しくて、わたしが知らないことをいっぱい知ってて。仕事もできるし。眩しいんです。こんな人、今まで会ったことなかったかも。もし彼を逃したら、わたしダメになっちゃいそうな気がするんです。」
いいぞ、恋する乙女。思う存分、惚気てくれ(笑)。
でも、彼女の表情は沈んでいる。
「わたしの趣味の話も、うんうんって笑顔で聞いてくれるんです。
でも、たまにわたしの方を見ていない気がして。なんというか、二人の世界の広さが違いすぎるんじゃないかって、最近思います。彼は大海原にいて、わたしは今にも枯れそうな小川に這いつくばっているような気分になるんです。背伸びし過ぎたのかなぁ。」
物事のとらえ方や視点や興味、仕事や勉強してきたことなど、自分とは異なるもの、違う経験を人から共有してもらったり感じ取ったりするのは、好奇心が刺激されるからわたしは嫌いじゃないけれど、あまりにもかけ離れているとしんどくなるものなのかな。大好きな相手だしね。彼女は仕事や他の人間関係のことでも悩んでいるようだったし、気持ちがいっぱいいっぱいになって少し視野が狭くなっているのかもしれない。
素敵な彼氏に出会って、相手にふさわしい自分になろうとする気持ちってすごく大事。少しずつ近づければいいんじゃない?とアラフォーお姉さんは思う。「今にも枯れそうな小川に這いつくばる」なんて文学的な表現ができる彼女も、十分魅力的なのにね。
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彼女はわたしが何かアドバイスしてくれるんじゃないかと期待していたようだけれど、話を聞くことがわたしの役目だと思っているので、その日は美味しいご飯を食べて別れた。まぁ、役に立つようなことも言えないし。
そして。ここからは独り言。元も子もないことを書きます(許して)。
人には「相性」というものがある。育った環境や経験、趣味嗜好、性格やそもそも持っている性質などのバックグラウンドが近いと、無理なく相手のことを受け入れられるのではないかと体験的に思う。
人との関係において、それは超えられないものではない。でも、ショートカットするのは難しい。
彼女のお相手を直接知らないので何とも言えないけれど、もしかしたらそういう「相性」の部分で彼女は悩んでいるのかなぁと、今朝の通勤電車の中でふと思った。
暖かい春が来て桜が咲き始める頃、彼女に笑顔が戻るといいな。
【自分メモ】"have good chemistry"=相性が良い