プロセスをどう楽しむかに納得するまで向き合う。沢木耕太郎さんの講演から感じたこと
旅が好きな人に有名な紀行小説『深夜特急』。その著者、沢木耕太郎さん(以下、沢木さん)の講演を聴講しました。
この記事を書いている僕も、旅好き。かつて深夜特急を読み、はじめての海外一人旅として香港へ。夜市をさまよいあやしさに魅了され、路地裏の安宿の独特の雰囲気にわくわくしました。
実際に沢木さんを目にするチャンス! と今回参加。講演内容と感じたことを以下にお伝えします。
沢木さんは、講演の前日、仕事をせず休みにしたそう。もともと予定していた休みではなかったので、予定がありません。そこで、思いついたのが近所の古本屋めぐり。ある古本屋で、沢木さんが気になっていた本『僕たちの深夜特急』(著者、西牟田 靖)を見つけます。
僕たちの深夜特急は、深夜特急を読んだ西牟田さんが、深夜特急で記されているルートを可能な限り忠実にたどった旅行記。沢木さんはその本を購入し、読んでみると、あることに気づいたそう。その気づいたこととは? というのが、講演のテーマ。
今回の講演会は、JTB主催。300人以上入る会場は、ほぼ満員。幅広い年代の方が参加されているようです。沢木さんがこれまで関わってきた方々とのエピソードや、沢木さんがされてきた旅の話をユーモアを交えて話されてました。会場は、終始和やかな雰囲気。
”旅するとは点線を実線にすること”と語る沢木さん。例えば、深夜特急を読んだ人の頭の中にわくのは、あくまで旅のイメージであり、点線。実際に訪れて、はじめて実線になります。実線の太さや濃さは、人それぞれ。
沢木さんは、社会人初日に会社を辞め、点線すらない中を自ら点線をつくり実線にする人生を歩まれてきました。生き方にあらわれているように、点線そのものを自らつくることが沢木さんにとって大きな価値。
かつて、沢木さんは知り合いの足跡をたどる旅をしたことがあったそう。誰かの足跡をたどる旅なんて面白くないよなぁ、と当初感じていました。ところが、実際に訪れてみると、とても素敵で面白い体験に出会います。
結論として、沢木さんが気づいたこととは、”点線を実線にすることと、自ら点線をつくりその点線を実線にすることに、差はあまりないのかもしれない。点線を実線にしていくプロセスをどう楽しむことがより大切ではないか。”ということ。
僕がこの講演を聞いて心がゆれたのは、プロセスを楽しむために自分が納得するまで妥協しない姿勢。
沢木さんは、インドのとある地域に訪問する予定があるのだそう。単にその地域に行っても面白くない。ではどうしたら楽しめるのか。現地に向かうルートをいくつか考えましたが、まだ納得していないのでルートを考え続けています。社会人1日目で会社をやめたのも同じではないでしょうか。
もしかすると、楽しむ気持ちをおざなりにし、先に進んでしまうことがあるかもしれません。たとえば、点線がないことをするため模索したり、自分にとってわからないことをするときに、まずやってみることがありますよね。そのとき、楽しむ気持ちを忘れて、なんとなくながされてしまったり、やみくもに突っ走ってしまうことありませんか。
そんなとき、自分自身がわくわくしているのか、こうすればわくわくするかもしれないと、自身が納得するまで自身に向き合うことが必要なのでしょう。もし、修正してもわくわくしないのなら、戻る決断をすべきなのかもしれません。
楽しむ気持ちが大切ですよね。
(講演日、2018年1月13日)
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