私が竹花貴騎氏騒動から思いおこす16年前の”ある企業”の話(2)
近未來通信とは?
16年前(2004年)といえば今と比べてインターネットを使って電話を行うことがまだ主流ではなかった頃、大手通信会社の回線を使わずにネット回線を使うIP電話が(2007年には)2800万回線に達する予想が出ていたほどの成長産業と注目されていた。その頃に地元の新聞で見つけたのが『近未來通信』の広告。大手と比べたらベンチャーの通信会社であるがスポーツイベントの協賛に積極的で知名度はある程度知られていた。
広告には『独立 副業 開業をお考えのあなたへ』と大きな見出し。名前は伏せるが有名女優や元野球選手が受話器を持ったポーズ写真。内容は中継局設置に投資してくれるオーナー募集の説明会場と日時のお知らせ。海外の中継局の存在が明記され既に事業展開の実績はあるようだった。(※今だったら『起業、副業ビジネスに最適!誰でも簡単にできます』と表現になるだろうが、オーナー募集だったら”起業”に当たらない思う。それでも当時は最先端の事業に惹かれて殺到した)
ちなみにオーナーシステムの概要。投資家には海外及び国内に一基地局あたり最低1,100万円を弊社の中継局(サーバー機器)設置費用として負担し”オーナー”になってもらう。会社は営業でIP電話利用者の顧客を獲得していくということでオーナーは毎月30万のメンテナンス費用を会社に払う以外は何もしなくてもいい。オーナーの収入は一ヶ月あたり中継局を通過した利用者からの通信費。メンテナンス費用を差し引いても通常なら60万、エリアが良ければ最大70~80万近く入り、最短で2年遅くても3年後には投資した分は回収でき残りはまるまる利益になると言う謳い文句だった。(後に通信事業実体がほとんどないことが判明され摘発される)
ただ弊社の”強み”は大手通信会社に対抗できる格安電話と売りにしていた一方で肝心の通信機器の宣伝は広告枠に1:9ぐらいの比で片隅に載っていた程度。一応テレビ電話機や独自のプリペードカードも販売していたし外国人に特化した販売戦略はあったよう(余談だが、プリペードカード”はとバス”でも販売していた)。ただ通信費の看板商品であるはずのテレビ電話機の代理店がほぼ存在しなかった。一般ユーザーではなく業務用に特化したのか.....何を売りたいのかがわかりにくい通信会社の印象を受けた。
LIMグループとは?
竹花貴騎氏の話を戻すが、Youtubeで竹花貴騎氏自身が出演し始めたのが2年前。それまでは自社のインスタグラムツールの宣伝から始まったようだ。『27歳で6カ国展開320名の経営者』『香港認定プロ投資家』と海外で大成功した実績を強調したタイトルに多くのユーザーが引き込まれる。騒動以前は竹花氏が出演した動画は再生回数が平均6桁。騒動になってからは再生回数は5桁まで減っているとはいえ経済系ユーチューバーとして影響力のあるインフルエンサーっていってももはや過言ではないだろう。
でも竹花氏が事業を起こした(6月に事業を売却したそうなのでこの表現)LIMグループになると会社概要や沿革といった企業情報はどこにあるのだろう?主力事業がインスタグラムツールなのか芸能事務所なのか動画配信事業なのか飲食事業なのかどれも曖昧な情報ばかりで不明瞭だ。
ましてや海外で実績をあげたとしてもこれだけ華々しく成功していれば既に海外メディアで注目を集めているはずなのに過去の実績を示す報道資料が見当たらない。急成長してるとはいえ日本より物価が安いフィリピンやベトナム、香港などといった場所ならどうやって100億近くの資産を築き上げたんだ?と疑がわれても仕方がない。