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英語力向上の軌跡:長男(13歳)の場合

バンコクにきて、ちょうど半年が経過した。この半年間の英語力向上の軌跡を書き記しておこうと思う。
まずは、長男(13歳)の場合。


バンコクに来る前の彼の英語力

主人が亡くなった年、彼がちょうど小学2年生の夏から2年間ほど、ECCジュニアの教室に通っていたこともあり、それなりの単語力はあった。また、最近では小学校でも英語の授業があるので、基本的な挨拶や、基礎となる単語はしっかりとインプットされていたように思う。そこにきて、日本では4月から7月までの1学期間は中学1年生として英語の授業を受けていたので、3人の中では一番英語力は高く渡泰したのであった。家や車での移動中に、ディズニーやハリウッド映画を英語でみさせられていたので、それなりに耳は英語に慣れていたと思う。小学校5年生で英検5級は取得したが、小学校6年生時に受験した英検4級はあと数点足りなくて不合格でした。

テストでは点が取れるがなかなか思いを伝えられないジレンマ

そんな長男なので、インターナショナルスクールに入学してすぐの英語力チェックのテストでは、いきなりクラス第2位の高得点を叩き出した。ある程度、単語も文法もわかるので、テストとなったら強い。しかもPCで受けるテストなので、設問に対する答えは選択式。そりゃ、高得点が獲得できたのも納得です。
学校としては、これだけ得点できるのであれば、英語の理解力があると認識した。しかし、だ。テストで点数を取れたのと同じぐらい、Verbalでのコミュニケーションができるかといったらそう言うわけではなかった。
かくいう私も、高校卒業後に渡米した際、テストの点数は良かったため、語学学校で一番上のクラスに入れられたのだが、全くもって英語が話せなかったため、苦労した経験がある。まだ中1の長男だったが、あの時の私と同じような状況に陥った。周りからの期待値は高いが、それに見合うだけの会話力がない。これには、本人も相当ストレスを感じたようで、うまく会話を進めることができない自分に、イライラする日々が続いた。
各教科の先生たちも、長男くんはテストの点数高いのに、あれ?こんなことも話せないの?!と思いながら長男に接していたのを、変なところで敏感な彼は感じ取っていたようで、それに対してもストレスを感じていたようだった。

なぜかクラスメイトから人気の長男

自分の不甲斐なさにイライラとはしていたが、なぜか長男はクラスメイトからは人気であった。彼の何がそうさせているのかはわからないが、学校に通い始めて1ヶ月も経つと、放課後、クラスメイトが自宅に訪ねてくるようになった。やれ自転車が壊れたから直してほしい、やれ紙飛行機を作ってほしい、やれプールに行くから一緒にいかないか、と、複数名が日替わりで長男を訪ねてきては、一緒に遊びに出かけた。先日、長女の件(Majority vs Minority、これはいじめ?それとも?)について書いたが、長男と長女ではここが決定的に違った。
長男は、比較的早い段階から、男友達と接する機会があり、彼は孤独を感じることはなかったように思う。自分自身との葛藤はあったものの、周りに仲良くしてくれた友達がいたのは大きい。女の子は、一緒に遊ぶとなると、ある程度のコミュニケーション力が求められ、楽しくおしゃべりできないと継続的に遊ぶのは難しいが、男の子は、言葉でのコミュニケーションが取れなかったとしても、同じことをしているだけで一緒に遊んでいることになるようであった。同じ団地に住む同じクラスの子たちが、長男のことを、近所に住んでるし、男の子だし、っていう理由だけで自宅に訪ねてきて、遊びに誘い出してくれたのはとてもありがたかった。

元々の耳の良さが彼を助く

親の私が言うのもあれですが、長男は元々とても耳が良い。絶対音感的なものがあるのでは、と感じています。彼の場合、頭の中に蓄積される情報はほとんどと言っていいほど耳から入ってくる。耳から入ってきた情報を、文字として読み、目から再度入れることで安定的に蓄積されているイメージがある。なので彼は、学校で授業をちゃんと聞いていれば、その後教科書を読むだけでかなりの確率で知識は定着する。ただ、彼の場合は、授業中に空想に耽ってしまいほとんど話が耳から入ってこないので、色々と工夫が必要なのだが。。。
閑話休題。
彼の場合、情報は耳から入ってきた方が蓄積されやすいので、インターナショナルスクールの環境は彼にとってはもってこいであった。なんせ、朝7時半から3時まで、英語しか耳に入ってこない環境ですから。それにプラスして、アフタースクールやクラブ活動で、週に3日ほど午後4時まで学校で英語漬けの日々。しかも、帰宅してからも誰かしらが自宅に訪ねてくるので、その子たちと遊ぶことによって午後6時ごろまで英語漬け。しかも、自宅でみるNetflixはDisneyチャンネルは、平日は英語のみ、と私がルールを設定したもんだから、家族と日本語で話す以外、彼は英語のシャワーを浴びていることになる。元々耳が良い彼は、LやRの発音の聞き分けも早かったし、ネイティブ特有の連なった言い方も割と早い段階で聴こえるようになっていた。
しかも、毎日英語が耳からはいってくるだけじゃなくて、EFLの授業では、文章として読み込むこともしっかりと行うわけで。
英語のシャワー+英語の読み込み=英語の蓄積、が毎日自然に行われたことで、長男の英語を聞く力と読む力は確実に伸びていった。

Motivationって本当に大事

どれだけ英語が知識として蓄積できたとしても、それをOutputできるかどうかは、彼の場合は別問題であった。よって、当初から抱えていた、テストでは得点できる=英語の知識は蓄積できている、のに、会話はそれほどできない、に関しては、EFLに通い始めてから数ヶ月が経過しても劇的な改善は見られなかった。本人に、”英語で話したい”というとても強い意思が無かったようにも思う。別に会話ができなくとも、学校で授業を受ける分には問題ない。話せなかったとしても、EFLのクラスだから、と多めにみてくれることもあったと思う。
だが、この状況に、突如変化が訪れた。
長女のアメリカ人の友人(Majority vs Minority、これはいじめ?それとも?参照)には、Grade6に兄がいる。この兄が、非常にリーダーシップが強いタイプで、学校の行事のあらゆる場面で良い意味で目立っているのだ。うちの長男は、本来であれば中学1年生でGrade7なのだが、英語力が及ばないため、学校に無理をいって自主的に留年している。よって、ここでは、Grade6が長男の同級生となるのだ。
EFLを無事に卒業できたとしたら、現在Grade6の子たちと一緒に学ぶことになる。EFLの外に早々と友人を作った長女をみてた長男は、自分もGrade6の子と友達になりたいと考えたのであろう。しかも、関係的にはかなり近い。近所に住み、親同士は仲が良く、妹同士も仲が良い、とくれば、長男同士が友人になるのも時間の問題である。だが、時間だけでは解決できない壁がそこにはあった。英語である。ここにきて、長男が初めて”英語で話せるようになりたい”と切望するようになった。これは、願ってもないチャンスである。
長男からは、”これって英語でなんていうの?”という質問が増えてきた。長男が会話したい内容は、もっぱらゲームのことで、”マイクラでフレンドになりたいってなんていう?”とか、”ここの攻略法しってる?ってなんていう?”とか、まぁそういう類のものであったが、きっかけも内容もなんでもいい。大事なのは、長男の、お友達と会話がしたいという気持ちなのだから。
前述の通り、長男にはある程度、英単語・英語の知識がある。なので、話すこともキャッチアップは早かった。平日家でみるテレビは全部英語ではあったが、それまではさほど興味深く聞いていなかったように思う。だが、友人と話したいと意識してからは、映画の中の会話にも興味をしめし、”なるほど、そう言えばよいのか!”というような気づきが増えていったように感じる。Motivationによって突き動かされた彼、めきめきと会話力も身につけていき、今では、1日中一緒に彼と英語で会話しながら過ごせるようにまでなった。あっぱれである。

成功体験こそが継続の鍵

こうして、近所に友人ができたことで、長男も学校生活で付き合う人の範囲がグッと広がった。EFLだけではなく、Grade6の子たちとも交流を持つようになったのだ。そうなってくると、やはりEFLではなく、通常クラスに早く移りたいと思ったようで、学校の勉強も頑張るようになってきた。
四半期ごとの先生との面談で、長男は長文のReadingがあまり得意でないことは指摘を受けていた。学校以外でも、もっと長文に触れる必要がある、と。こちらにきて4ヶ月が経過した頃、私は大量に英語の本を購入した。今までも英語の本はあったのだが、読んでくれたいいな、くらいな感じで本棚に飾っておいただけで、子供たちは積極的に読むことはしなかった。
でも、今回は違う。大量に購入したのは音読をさせるためである。
英語圏ではどのようにするかはわからないが、私は日本の小学校で必ずやる音読には、ものすごい可能性を感じている。文字を読み、声を出して読み上げ、それが音として耳から入ってくる。一度で何度も美味しい勉強法ではかろうか。子供たちからは反発があったが、毎日の音読を彼らに課した。最初は嫌々やっていたが、Oxford Story Treeは簡単だったので、すぐに読み終えてしまった。次に、USBORNEのScienceシリーズを購入し1日1冊、同じ本を5日連続で音読させた。
ADSとADHDの混合で、かつ思春期真っ只中である長男は、私が勝手に取り決めたことにブーブー文句をいって、反発を繰り返したが、やらない場合は罰金を設け、嫌々ながらもやるように促した。
音読を1ヶ月ほど続けたある日、担任との面談があった。面談が始まるや否や、担任からこう聞かれた。
”君の子供たち、一体何が起こったの?!英語がすごく上手になってるよ!君はどんな秘密を隠しているんだい?!(What happened to your kids!  Their English is improving a lot, A LOT!!!  What's your secret?)”
ご近所のアメリカ人ファミリーと最近仲良くしていることと、音読を家でやらせていることを伝えた。担任からは、学校でも、彼らの英語力が向上するようにいろんなものを組み合わせてやってはいるが、それだけではやっぱり不十分で、家で自分で勉強したり、学校以外の場所で英語を話す環境を整えたりすることが本当に大事なんだよ、と。このペースで行けば、長男も長女も、来年度からは普通のクラスに移動できると思うので、引き続き良い習慣を続けてください、と。
担任からも、お墨付きをもらったことなので、今後も続けたいと思うし、何よりも、音読を始めたことで英語がスムーズに口から出てくるようになったようで、長男は言わなくても音読をするようになった。このような小さな成功体験を、いくつもいくつも重ねて、やがて自信をもって、英語でも自分の思いや考えを伝えられるようになってほしいと思う。

おしまい。


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百瀬朝子
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