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お芝居と私の話

緊急事態宣言も開けて、少しずつ経済活動が再開されて来て、日常が戻りつつある。相変わらず、土日は自宅で大人しく過ごしているし(元々引きこもり気質だし急遽約束ができるような友人も少ない…)、会社もテレワーク併用が続いているけど。

SNSを見ていると劇場も動き出しそうで嬉しい。
大阪府?市?の劇場再開のガイドラインみたいなのも出ているし。
お芝居、見るのも演るのも純粋にまたやりたいのだけど、この期間、私にとって何なんだろうなというのをぼんやり考えていたので言語化してみようかなと思う。

生きる目的がなくなっていた。

始めたのは30歳も超えてからで、そんなに長くない。
時折書いているから今更隠す気もないのだけど、29か30歳くらいの頃(記憶障害を併発したのでよく覚えていない)、鬱を再発させていた。1度目の20代半ばの頃に比べれば全然軽かったのだけど、そのため、リハビリも兼ねてDTPオペレーションのユルい仕事をしてめちゃくちゃ淡々と生きていて。

心理学やセラピーやら何やらやっている内に人生に執着がなくなって「あーもうこの世飽きた…」と思うようになってしまいまして。(そ〜ゆ〜カウンセリング?ってだいたい、こだわりや執着を手放しましょうみたいな話になるねん…諦観)

どーせなら、貯金とか全部使って、諦め切ってたやってみたい事やってから死のう、と思ったのがはじまり。
金銭面で諦めたりしてたけど、飽きるほど生きてへんけど、死んでもいいならもうお金要らんやん、と。半ばやけくそ。

単調なDTP仕事を辞めて、またブッ壊れてもいいからと面白そうな広告制作の仕事へ再転職して、転職の狭間の有休消化でイタリア旅行に行って、夜間の演劇学校へ入学した。めちゃくちゃやがな。

制作会社で働きながら演劇学校は、ほんまにめちゃくちゃやった。残業で授業にでられない事も多かったし、駅から学校までの10分が歩けなくてタクシー乗るくらい、吐くほどしんどかった。
せやけど、死ぬ気があればどーにでもなりますね。

始めるには遅いけど、30からでも、40までやればキャリア10年になるさ、と、どこかで聞いた話に励まされたりしながら。

結局演劇が面白くて、演劇学校は2年目のもう少し本格的なコースに進級して、中間公演の稽古が忙しくなる頃に制作会社を退職。フリーのデザイナーをしながら続けることにした。

そして演劇学校を卒業して、微かなご縁を辿りながら、どうにか今だに続いている感じ。もっと先の景色が見たいものが見つかって良かった、と思っていた。

パンデミックで全部なくなった。

そんな感じで、数年経った今では鬱も寛解してるし、そこまで依存はしてないと思うけど、生き延びるキッカケになっていたものがコロナで断たれた。
しかも、3月の舞台に参加していたのでギリギリまで取り組んでいたものが、突然なくなって、しばらくは急に足場がなくなったような喪失感に襲われていた。

フリーランスでは十分な活動費が稼げなかったので印刷会社の派遣社員と兼業しながら、そのために時間をやりくりして頑張ってたのに。
小劇場なんてめちゃくちゃ3密やし、仲間たちとの飲み会だって濃厚接触。
仕事する意味も、何のために稼ぐかも、わからんやん。
虚無〜〜!!!!

どうやって生きていったらいいんやろう、と思った。
永遠に続く訳ではないから、友人や仲間たちにもまた会いたいし、また演りたいから、死にたいとまでは思わなかったけど。

ガイドラインが出た今でも、劇場が元に戻る目処はわからない。
座席数を減らしたら、ただでさえ赤字かプラマイゼロ程度にしかならない収益が、全然回収できない。
赤字でも払える範囲ならやりたいけど、続かないよね。どうしたらいいんやろ。
チケット代が上がれば、まだ無名の団体の集客は厳しくなる一方。
時間とともに色々な団体さんが色々考えて、解決モデルが出てくるのかな。

まだ先が見たいもの

私にとって演劇は、飽き飽きしてた今までの世界に新しい景色を見せてくれたもの。だった。
まだまだ上手くもないし、出来ないことばかりだけど、出来ないからこそ面白い、みたいなところあるじゃないですか。
だから、まだ続けていきたい。

このコロナの最中に所属していた劇団を辞めてしまったのだけど。
これは価値観や、大事にしたいものの優先順位の違いが苦しくなってきて演劇そのものを辞めてしまいそうだったので、コロナ後も続けるために、一旦自分自身の価値観に還ろうと思った訳で、演劇を辞める訳ではない。
まだ需要のある役者になれていないので、続けられるかはわからないけど、ご縁がいただけましたら。
もう少しこの世界での人生の続きが見たい。

コロナ後の演劇の世界と、自分の生きたい在り方、関わり方が上手く見つかればいいなと思っている。

人生に執着したいものがあるのは良いことですね。地に足をつけて生きるには。

ひとりきりで過ごす自粛生活をしていると、もうちょっと身近にそれを増やしたいと思ったけど。猫でも、恋人や家族でも。家の中に。

また会いたい友人や仲間や先輩、舞台裏の少し埃っぽい匂いも、袖の緊張感も、眩しい照明も全部全部愛おしいけれどね。

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