長谷川白紙 × KID FRESINO 8月21日(月)/Zepp Shinjuku
新宿に着いたのは17時を過ぎた頃だった。
地下鉄の階段を上って外へ出ると蒸し暑い空気が肌にまとわりついた。
ゴーゴーカレーでチキンカツカレーの中盛りを(ガーフィールドがラザニアを喰らうがごとく)食べてからZepp Shinjukuへと向かう。
去年に行ったKID FRESINOのワンマンが人生で初めてのラッパーのライブ、そして初めての1人ライブ鑑賞だったけど、とても良かったので、もっと早くhiphopに親しんでいれば…と後悔した。なので今回は長谷川白紙とのツーマンライブ(ラッパーも対バンと言うの?)に、行くことを決めた。
KID FRESINO(以下フレシノ)はデビュー当時Fla$hBackSという3人組のグループを組んでいたけど、俺はその名義のアルバムを聴いてない。
(他の2人もHIPHOP界隈ででっかく名を残しているが、先にフレシノがダントツで有名になってしまった。UNIQLOのCMとかラップ興味ない一般層にも膾炙するようなスケールの仕事をしたりだとか)
もともとトラックメイクをやっていたり裏方志向だったのが友達とグループ組んで試しにリリック書いて、MCしてみっかという経緯でラップ歴10ヶ月(早過ぎる)にしてソロアルバムを出して、あっという間にBIGになって、俺のようなボンクラ人間の心を奪っていったわけで。才能しか感じない。
Zepp Shinjukuは歌舞伎町タワーの地下深くにあった。ドリンクコインで檸檬堂を受け取る。キャパでいうと俺のチケット半分以上後ろだったのに運良くかなりステージの近くに行くことができた。
ライブ始まるまでの30分くらい前から待機している間、聴いたことあるようなBGMがかかっていて、なんだろうと思ったらbeach boysの「pet sounds」だった。そのあとは知らないけどフワフワした感じの電子音楽のインスト。こういうのってその日の演者が選んでいるのだろうか。だとしたらフレシノと長谷川白紙どっちが選んでるんだろう?
開演時間を10分過ぎた後で長谷川白紙がステージへ。ぼそっと「長谷川白紙です」と呟いて曲が始まる。フレシノ目当てで行ったので特に予習していなかったが、超爆音だった。
七尾旅人の1stを5倍速く難しくしてエレクトロニカにした感じ?(意味不明)
どんな歌詞なのかもよく分からないが、ザクザクした演奏の合間から透き通った歌声が漏れ聴こえてくる。
最先端すぎるのか、聴いてても忙しない気分になってイマイチ自分には合わなかった。なんかライブの間ずーっと猛烈に60年代のどっしりした音楽が聴きたくなった。(ドアーズとかジャニス・ジョプリンとか)
3〜4曲目聴いてる時に近くのお兄さんが俺の肩に顎のっけてきて、最初「ステージのちかく行きたいからそこを退け」的なアピールかと思ったら、眼を開けたままめちゃくちゃ気絶していた。で、ちいかわみたいに「ワ……!…ワァ…!」って狼狽えてたら近くの別のスポーツマンぽいお兄さんが、介抱してスタッフ呼んで付き添って外へ出て行きました。
思いました。こういう非常時に俺は、なにもできない、まるで無力な俺は、髙木ブーのような存在なのだと。
そのあとちょっとその気絶事件を引きずってしまい長谷川白紙にのりきれなかったという思いもあります。てかマジでなんであの人気絶してんの?
《推定される可能性の一覧》
・長谷川白紙が脳揺らした可能性(ネウロのアヤ・エイジア的な)
・ステージ照明でポリゴンショックの可能性
・オーバードーズの可能性(トー横近いし)
結論:長谷川白紙はマジでILL。
長谷川白紙の終わった後にバンドのセッティングでまた30分くらい待った気がする。
静寂のなか、ドラムが、響き始めた。長谷川白紙が極限までガチャガチャしたエレクトロニカだったので、よりそう感じたのか、めちゃくちゃ生音だ!と思った。
現段階で最新のアルバムである『20,Stop it.』収録の「No Sun」からフレシノのステージがスタート。よくもまあ、こんな複雑なリリックを生で、滑らかにspitできるなと、絶句。最初の方は音源より心なしかフレシノの声が細く感じたが、バンド
の演奏の盛り上がりと共に徐々にラップのギアが上がって行った気がする。
フレシノがアルバムという形式で出している音源(1st〜4th、共作が2枚ほど)一通り聴いてみて「No Sun」は、一番フレシノのラップの上手さが際立っているトラックだと俺は思う。力強くて浮遊感のあるリズムの中からフレシノのリリックが建造物のように構築されていくのを見上げているような、聴いている人を遠くに連れて行ってくれるような雰囲気がある。これを生で聴けただけで本当によかったです。
2曲目も『20,Stop it.』から「come get us」
3曲目3rdアルバムの『ai qing』から「coincidence」
4曲目『ai qing』から「retarded」
めちゃくちゃ盛り上がった。これは前回のワンマンで生で聴いてから、良さを更に感じた。前方にいる人、みんなサビを熱唱していた。
アルバムの核となるようなシングルを序盤から連続でやるのが、出し惜しみない感じがしてめちゃくちゃ興奮した。あとやっぱ演奏がかっこいい。ドラムのシンバルが屋台のポテトみたいだし(ライブ行った人だけ分かる喩え)
「that place is burning」
ハナレグミとの曲。メロディーしっとりしてて良い感じだが、フレシノの常軌を逸した高速ラップパートがある。これを生でやるのか…!と思った。
「Looking For A Brand New Game」
洋楽カバー。めちゃくちゃ良かったのに途中で歌うのやめちゃっていた?なんでだろう。最後まで聴きたかった。当たり前だが演奏も超イカしてた。
詳しいセトリを全部覚えてるわけではないが、バンドセットだからか全体的に『20,Stop it.』『ai qing』からの選曲でした。
ステージ戻ってきた長谷川白紙との「youth」の共演からの「Rondo」へアルバムと同じ流れで終了。
洋楽カバーとかハナレグミ客演の新曲とかライブアンセムになりつつある「Rondo」とか最近のフレシノはラップの枠飛び越えたメロディーとの接近を感じさせる。でもそれは俺としてはかなりうれしい。
去年に行ったワンマンではアンコールなかったけど今回はあった!うれしい。長谷川白紙のファンもいるからサービスか?
『ai qing』から「winston」