1年後の私に捧ぐ、ラブレター
百瀬七海として、文章を書くようになってから、今年の8月で12年になる。
この12年という年月の間には、いくつもの出会いと別れを繰り返してきた。今でも大切に続いている関係もあれば、残念ながら終わってしまった関係もある。
文章を書くことを、リアルな私の身近な人は誰も知らない。万が一話すことがあったとしたら、それは自分の書いたものが世に売り出されて、隠しておくのが困難だと判断したときだろう。そうなったとしても、私は自分が百瀬七海として文章を書いていることを話すのは、ごく限られた一部の人に対してだけだろう。
書くだけで楽しかった日々。
読まれることがどんなに幸せなことか知った日々。
私は、私の書いた小説がとても大切だし、この先もやっぱり、カタチに残しておきたいと思う気持ちを、消すことはできないだろう。
書くことは、私にとって消えない想いを許すことだった。
大好きで大好きでたまらない、忘れられない人への想いを、言葉で残したかった。
ただ、それだけが私が書き続ける理由だった。
だけど、12年もの間、たったひとりのあなたへの想いだけで、文章を書き続けていけるわけがない。
どんなにあなたを想っていても、記憶は薄れるし、一緒に過ごした時間は、確実に過去のものへと変わっていく。
それでも、あなたへの想いはいつだって、私の心の中でいろいろな景色を見せてくれる。
自分が、文章を書くきっかけになった初心を、私は忘れたくない。
今は、あなたを想う気持ちのためだけに書いているわけじゃないけれど、私はやっぱり彼あなたへの想いを書くということを、この先もきちんと続けていきたいと思う。
私が、自分の書いたものを、カタチにして残しておきたいのは、あなたへの想いを許してほしいからだ。あなたを想う私を、認めてほしいからだ。
もう2度と会えなくても、私はこの恋を許してあげたい。素直になれなかったあの頃の私を、叱ってあげたいし、抱きしめてあげたい。
幸せのカタチは人それぞれ違う。
あなたへの想いが届かなかったから、私は言葉にしてその想いを残しているけれど、もしこの恋が実っていたら、百瀬七海は生まれなかったのかもしれない。
だから、この恋があなたに届かなかったことを、悲しい出来事だなんて思ってないんだよ。
愛にはならない、そんな恋を、ずっと恋のまま、あなたを想える幸せな時間を、許してもらえたから。
マリナ油森さんの企画が始まりました。
こちらの企画を拝見したとき、今までの自分と、これからの自分で、私が1年かけてあらためて記しておきたいと思ったのは、彼への想いと百瀬七海でいる意味でした。
どんな風に言葉を綴っていても、私の原点になるのは、あなたへの想い。
書くことで、私が「百瀬七海らしさ」を大切にしたいのは、彼への想いを大切にしているのと同じ。
「百瀬七海らしさ」と「たったひとりの君に捧ぐラブレター」は、この先も私が文章を書き続けていく中で、変わらずに大切にしたいもの。
それに関して、この企画期間中、しっかりと自分の気持ちを見つめていきたい。
2020.7.7