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僕と彼女のミッシング #言葉を宿したモノたち

彼女と僕の出会いは、お互いの一目惚れだった。
一目惚れしたのは、一瞬だけ彼女の方が早かったはず。
よく晴れた日曜日で、風も柔らかな春の日、僕たちは出会った。僕をまっすぐに見つめる彼女の視線には、一切迷いなど感じられなくて、僕も彼女に一瞬で恋に落ちた。

それからの僕たちは、晴れの日も雨の日も、暑い日も寒い日もよく一緒に過ごした。
雨が降れば、彼女が雨に濡れないように彼女を守った。
寒い夜、彼女が震えないように、彼女の身体を温めた。
僕たちは本当に日々、一緒に過ごした。
彼女の歌う歌が僕は大好きで、いつも聞いていた。
いろんな景色を僕と彼女は共有した。
ふたりきりの空間、僕はとても幸せだった。
彼女は時々、歌を歌いながら、僕のカラダを隅々まで洗ってくれた。
お腹が減ったら、もう食べられないとサインを出すまで、僕のお腹を満たしてくれた。

そんな風に幸せな彼女との時間は、もう2年以上続いている。
だけど最近、僕はひとつだけ気に入らないことがある。

それは、僕と彼女が大切にしていた僕たちの居場所に、他の人を連れてくることだった。
ふたりきりの空間だったのに、守りたかった僕たちの居場所が、少しずつ変わっていってしまうことに、不安を覚えた。

僕はいつも、彼女と同じ景色を見ることができるんだぞ!
僕はいつも、彼女に隅々までカラダをあらってもらってるんだぞ!

お前は、彼女の何を知っているというんだ?
僕ほど、彼女のことを知ってるヤツはいないはずさ。

だけど僕たちの居場所を、邪魔するアイツは、彼女の歌う歌を褒める。
僕だけが聞くことを許されていた彼女の声。
褒められて嬉しそうな彼女が、邪魔なアイツをまっすぐ見つめる。

おいおい、僕と彼女の大切な居場所でいちゃつくんじゃない!
そういうやつには、お仕置きだ。

プップーッ。


◇◇◇◇◇

参加しています。


◇◇◇◇◇

さて、僕はなんでしょうか?

最終日となる今回は、あえて選択肢を設けていません。

ぜひ、悩んでみてください。
マジメ解答、珍解答、お待ちしております。

2020.11.4

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いつか自分の書いたものを、本にするのが夢です。その夢を叶えるために、サポートを循環したり、大切な人に会いに行く交通費にさせていただきます。