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人生最初で(多分)最後の『EndlessSHOCK』が最高だった話。

数週間前、「日本一チケットが取れない舞台」として有名なミュージカル『EndlessSHOCK』をタイトルにある通り、人生で初めて観劇してきた。(因みに「(多分)最後」と書いたのは、11月のチケットを手に入れることができる気がしないからである。)

キンキファンになる前から長年、情報番組で流れてくる映像を見ては「どうして堂本光一さんは甲冑を着たまま血まみれで階段を転がり落ちているんだろう・・・一体どんな話なんだ・・・。」と疑問を抱き続けてきたが、ラストイヤーである今年、この謎に包まれた(?)舞台を楽しむチャンスを手に入れることができた。

以下、『EndlessSHOCK』(2024年梅田芸術劇場ver.)の感想を書き連ねていく。(ネタバレ注意!

苦しさと優雅さにあふれる演出

この舞台を観て、私が最も印象的だったのは、体力的にも技術的にも人間が表現できるギリギリを攻めたショーである。階段落ち前の殺陣のシーンや、クライマックスのシーン(和太鼓など)がそれにあたる。苦しみがあるからこその美しさを、私はこれらのシーンから感じていた。

この美しさはなんとも言語化しがたく、私の語彙力ではうまく伝わる気がしない。バレエの演目の1つ『瀕死の白鳥』を見るときの感覚に近い、というのが精いっぱいである。


そしてこの限界ギリギリの激しさとは対照的な優雅さで私の胸に残ったのは、階段落ち同様有名な堂本光一のフライングである。

フライングは劇中何回か取り入れられている演出なのだが、そのどれもが映像で見る何倍も優雅で、美しい。ポーズを保ったままのフライングを成功させるためには相当な体幹と集中力が必要で、かなりのエネルギーが一回飛ぶごとに彼の体に注がれているはずなのだが、観客である私はそれを一切感じなかった。

あのフライングの瞬間、光一さんに「俺、実は自力で飛べます。」的なことを言われたら、私はたぶんきっと信じていただろう。そのくらいの優雅さにあふれている場面だった。

ストーリー

華やかな演出も相まって、3時間の中で退屈することはなかったし、ストーリーの流れ自体はシンプルだったので話においていかれることは特になかったと思う。

そしてコウイチが亡くなるとはね!!ハッピーエンド大好き人間の私としては全く望んでいない展開で、驚きもしたし悲しかった・・・。(コウイチ・・・TT)

あの階段落ちのシーンがスタント的な見せ場だけじゃなくて、物語的にも大事な部分を担っていたことも意外だった。

それと、役名がキャストの実際の名前と同じであり(リカ除く)、作品の舞台がブロードウェイ・ミュージカルなのも相まって、現実とリンクしているように感じる部分がいくつかあったのも新鮮で面白かった。

キャスト(in 梅田芸術劇場)

全員の演技や歌に触れたいところではあるが、文字数がとんでもないことになりそうなので、今回主に取り上げるのは3人のみとさせていただく。

堂本光一(コウイチ役)

とにかく華がある。2幕でユウマの出番直後にショーを繰り広げる場面(
多分『Higher』)で特に彼のスター性をみせつけられた。

演技面の話をすると、セリフの話し方よりも、歌唱中の感情表現の方が個人的には好みだった。またコウイチとしてのセリフより、現代っぽい和訳が困難なシェイクスピア劇のセリフを違和感なく話していたので、現実味のない役にハマる人だと感じたし、彼の演じるシェイクスピア劇をもっとみてみたいとも思った。

上記(「苦しさと優雅さにあふれる演出」)の「限界ギリギリを攻めた演出」を用いた劇を24年間やり続けるメンタルが異次元である。みているだけで「これは絶対やりたくない・・・」と感じるシーンがいくつもあり、「彼(光一さん)は相当なM。」とおっしゃっていた井上さんの気持ちが今回生で観て初めて分かった気がした。

中山優馬(ユウマ役)

私はNYC世代ではないので、この劇を観るまで彼のパフォーマンスはあまり知らなかったのだが(ごめんなさい)、今回を機に好感度がとても上がった。歌や踊りはもちろん、全幕通して演技がすごく良かったからだ。セリフにとてもエネルギーがあって、ユウマの感情が真っすぐこちらに伝わってきた。

その演技のおかげで、全編通してどこか影のあるコウイチに対して、感情が真っすぐ表れているユウマ、という主人公との特性の差を感じさせてくれたのが面白かった。

綺咲愛里(リカ役)

可愛い。そして歌とセリフがすごく聞き取りやすい。

演技に可憐さはあれど子供っぽさはなく、嫌みのないヒロインという印象。「私はコウイチについていくことが幸せなの。」といった趣旨の発言が劇中であるのだが、綺咲さんの演じるリカは、別にコウイチについていかなくともミュージカルや私生活で成功して、幸せを掴めそうではある。いや、なにを幸せとするかは人それぞれなのだから、これはきっと私があれこれいう問題ではないのだろう。


特定のキャストに言及しない演技で印象に残ったのは、殺陣における相手の刺し方である。かなりのスピードで殺陣が行われているにもかかわらず、剣の刺し方と刺され方が上手く、とてもリアルだった。今回私は正面から観劇をしているのだが、他の向きから見たらどうなっているのかがとても気になった。


おわりに

ここまであまりまとまりのない文を長々と書いてきたが、今回の観劇に対する一番の感想は、
『EndlessSHOCK、生で観れて本当に良かった!楽しかった!』
である。

10数年近くテレビで眺めるだけだったものを実際に観ることができた、という感動と、生で観ないと分からない空気感が感じられたのがとても嬉しかった。

私がこれまでに観る機会が多かった学生演劇では絶対にお目にかかれない、お金のかかった舞台機構と派手な演出がとても魅力的で非現実を味わえたし、劇中の曲がどれも好みだったので、とても楽しい時間を過ごすことができた。


現在行われている博多座の公演、そして11月の帝国劇場での公演を終えると、この長い歴史をもつ劇に永遠の幕が下ろされる。

後継者が現れた場合、この永遠の幕はもう一度上げられることになるのだが、果たして現れるのだろうか?

もしもう一度この幕が上げられることがあるとしたら、きっと全く違う形での『EndlessSHOCK』になっているのではないかな、と個人的には思う。

ただ今はこのあるかもわからない未来の話は一旦置いておいて、『EndlessSHOCK』の幕引きが素晴らしいものになることを祈ろう。

追記:劇中で出てくる新聞記事のコウイチの写真が、20代の時の光一さん
   の写真なのはなぜなんだろう・・・。コウイチの設定年齢が27歳 
   だから?髪型とヘアメイクが「The・平成」という感じで現在の光    一さんとのかけ離れ具合に思わず驚いた。






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