小さな世界でも、生きていく。
いま、わたしが好きなもののひとつに、『ぬい撮り』というものがある。
ぬいぐるみを撮影するものなのだが、撮り方は様々だ。
オシャレなカフェのメニューと一緒に撮ったり、また、旅行先の景色の中での撮影など、どの写真もぬいぐるみが生きているようで可愛い。
自分で、撮影用の小さなセットを作る方もいる。
わたしは、SNSでぬい撮りを目にしてから、なんて楽しそうなんだろう!と感動して、自分もやってみたくなった。
それから、大好きなキャラクターのぬいぐるみを集め、洋服を着せたり、バッグに忍ばせて外出先に連れていったりするようになった。
でも、実際に撮るのは、簡単ではない。
まず、人目が気になるので、人が少ない時でないとバッグから出せない。
そして、なるべく人目に触れないように、素早く撮影しなければいけない。
あまりにも条件が悪ければ、まったく撮影しないこともある。
むしろ、撮らないことのほうが多い。
こういったぬい撮りに、理解のある人ばかりではないだろうから、不快にさせることもあるかもしれない、と思い、同じように楽しめる人がいるとき以外は、少し控えている。
その『不快な気持ちになる人』は、とても近くにいた。
先日、テレビにぬい撮りをしている男性が出演していた。
テーマパークでぬいぐるみを撮影した写真が紹介されていて、あまりにも素敵だったのでめちゃくちゃ感動してしまった。
男性でぬい撮りをしている方もいるんだなぁ・・・と驚いたけれど、なんだか少し嬉しかった。
職場で、その番組が話題になった。
一人の女性が、
「あのぬいぐるみ撮影してる人さぁ~」
と言ったので、ちょっと食いぎみに
「あっ、わたしもやるんだ~♪」
と言ってしまった。
すると、
「えっ・・・」
と、その場にいる人がみんな固まった。
わたしは、
「スイーツと撮ったりするよ」
と言った。
また別の女性が、
「え・・・やめなよ~」
とわたしに言ってきた。
引いてるんだろうな、とわかるくらいの声色で。
「あっ・・・ま、まぁ、女の子はいいよ~」
と、さっき話を切り出した人が焦るように言った。
そして、
「でもさ、オッサンがぬいぐるみ撮ってるとか、キモ~」
と続けた。
なんでだろう。
誰にも迷惑かけていないのに。
そのぬいぐるみが好きなだけ。
そのキャラクターが好きなだけ。
楽しい思い出を残したいだけなんだよ。
好きなんだもん、いいじゃないか。
キモいと思われるのは、しかたないかもしれない。
わたしたちだって、それをわかっていないわけじゃない。
けれど、やめろと言われても、絶対やめない。
こちらは、マナーを守って、自分の趣味を楽しんでいるんだから、キモいなら放っておいてほしい。
ぬいぐるみでもドールでも、愛が溢れる写真を目にするのは、とても嬉しいし、とても憧れる。
これからも、そんな素敵な作品を観たいと思うし、わたしもたくさん撮影したいと思う。
理解してくれる人もいるんだから、その人たちと共有できればいい。
小さな世界でも、生きていく。
毎日を楽しもう。
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