ロックダウンの代償は大きい。。。
最近「ニューノーマル」という言葉をよく耳にすると思います。こちらスペインでももれなく”Nueva Normalidad”(新しい通常)という言葉が用いられています。わざわざ「新しい」を加えているのは、「もはや以前のような日常は戻ってこない」ことを強調しているのは言わずもがなですね。
さて、ここ数日「(本来の)ノーマル」を取り戻さねば、ということを書き続けているのですが、このテーマは各新聞のニュースサイトでも取り上げられていました。私の私見は以下をご参照ください↓
今日5月2日から、全ての世代の人々が外に出て散歩や運動ができるようになったのですが、テレビのニュースなどを見る限り、くっきり2パターンの人種に分かれているようです。そして、いずれのパターンも決して「ノーマル」ではない。。。
1つ目のパターンは、とにかく外に出て運動したい人々。これは元々スポーツをする人だけにとどまらず、普段特に運動を習慣にしていない人たちも便乗している感満載で、ある意味異常な光景。。。街頭インタビューで「街がスポーツマン(ウーマン)で溢れている」と言っている人もいました。
2つ目のパターンは、「今のところ家からは出ない」派の人々。これは「今日急いで外に出る必要はないよね」という人から「外に出るのはまだ怖いなあ」という人まで様々なのですが、私が言及していた問題とリンクする部分も多く、また、様々なニュースサイトでこぞって取り上げられた問題でもあります。
「家にいることの方が居心地が良くなってしまって、通常モードに戻るのが大変になっている」状態を、私は勝手に「ロックダウン症候群」と名付けていましたが、スペインのニュースサイトでは”El Síndrome de la Cabaña(山小屋症候群)”という言葉が使われていました。
私ももれなくこの状態に陥っていると思われますが、私の場合は「外に出るとソーシャルディスタンスやら、マスクやら、いろいろ気を使うから面倒くさいなー、お家にいる方が断然楽だよねー」という典型的な自堕落パターンに陥っているだけなので、いざ仕事が再開すれば、最初の1週間こそしんどいものの、そのうち慣れるだろうと楽観視していたりします。おそらくほとんどの人がこのパターンに当てはまると思われます。
問題は、外に出ることが既に恐怖になっている人々です。これは単に感染することへの恐怖ということだけではなく、何週間もの間、ある意味閉じ込められる形で家にいることを余儀なくされたことで、外に出ること自体に恐怖を感じてしまい、通常の生活に戻ることが困難な精神状態に陥ってしまっている人々のことです。例えば、外へのゴミ出しさえままならないとか、スーパーに入った途端恐怖で泣き出してしまうとか。これは世代を問わず表れている現象のようで、ロックダウンが長期化すればするほど深刻化する、と精神科医も危惧しています。
小さい子供たちが、コロナウイルスを「モンスター」のように捉えてしまって外に出かけるのが怖くなっていること。高齢者の死亡率・重症化率がこれだけ高い中で、高齢者が「コロナに感染したら死ぬかもしれない」と恐れて外出を避けてしまうこと。これらに関しては当然の現象だと思われますが(もちろんケアは必要です)、長期間家の中で過ごすことを余儀なくされると、若者や普通の大人の精神も蝕んでしまうのかと思うと、今回のロックダウンの代償は本当に大きいものになってしまったと思います。
経済の立て直しももちろん最重要案件ですが、まずは人々が「ノーマル」な状態を取り戻さないことには始まらないのでは?と思う次第です。
* 冒頭の写真は、Calle de Colón という大通りで街の商業エリアの中心地。アパレルショップやEl Corte Inglés というデパートなどが立ち並ぶエリアですが、もちろん人通りは少ない。ちなみに、今日は外出制限緩和に便乗して違うエリアを探索してきたので、こちらに関してはまた後ほど書こうと思っています。