【真珠湾攻撃】陥れられた日本17
⭕マッカラム・メモは開戦の呼水になったのか
アーサー・マッカラム(マコーラム)の1940年10月7日付のメモ。スティネットによると、彼が国立公文書館(ナショナル・アーカイブス)で1995年1月24日に発見したもので、直属上司の海軍情報部長(ウォルター・S・アンダーソン大佐)にあてたもので、「太平洋地域の情勢評価と米国がとるべき行動についての勧告」とタイトルがある。
太平洋、特にシンガポールなど、太平洋における英軍基地を利用するため英国と同盟ないし、協定を結ぶ。
蘭印にある基地の使用、補給物資の調達についてオランダ政府と協定を結ぶ。
潜水艦二個隊を極東に派遣する。
合衆国ハワイ艦隊の主力を引き続き駐留させる。
英国と共同し、日本に対し全面禁輸し、米国内の日本資産凍結を実施する。
これらの行動を実施すれば日本は対米戦に突入するだろうと結論しているが、これには米国が日本に対して絶対優位にあり、その気になれば日本を完膚なきまでに叩き潰せるだろうという、思い上がりがあった。
マッカラム・メモの送付先は、大統領直属の2名の軍事顧問(上記アンダーソン大佐、ノック大佐)であり、そのうちのノック大佐は明確に「貴官の行動方針に同意する」と裏書して、アンダーソン大佐に回覧したとスティネットは言う。なおマッカラムの献策は歴史的には何らかの形ですべて実行に移された。
このスティネットの主張に対して、秦郁彦は「改めて検証すればレヴェルの高い文書でもなく、「ルーズベルト政権によって裁可された『対日開戦促進計画』の文書」(『欺瞞の日』に対する中西輝政評)でもない。しかも彼は中間管理職であり、上に作戦部次長、作戦部長、情報部長、戦争計画部長もいて、ルーズベルトまでこのメモがいくなど、普通では考えられないことである。スティネットがいうような確実な証拠はない」と反論している。