見出し画像

エリアデザインラボ #7

スクリーンショット 2020-11-15 10.03.29

1.アートとまちづくり

エリアデザインラボ第7回

 エリアデザインラボの第 7 回は、アートとまちづくりについて考えてみました。一般的に「アートとまちづくり」と聞いて最初にイメージするのは、地域アートと呼ばれる、地域の中にアート作品を展示して、鑑賞と観光をセットにした”芸術祭”のようなものではないでしょうか。

 例えば、地方での大きな芸術祭というと瀬戸内国際芸術祭、大地の芸術祭、Reborn-ArtFestival などがあります。これらの芸術祭を実現するためには、たくさんの条件を整えなければなりません。どのような条件かというと、多数の有名アーティストの参画、観光産業との共同、アートに興味のない地元の人との合意形成、作った作品の保存・管理、莫大な初期投資などです。元々アートの文脈がないまちで、同じような芸術祭を開催するのは現実的ではありません。では、自分たちの手でできる、アートとまちの関係性はないのでしょうか?

2.アートとまちを結ぶ

画像6

 私は、栃木県にある宇都宮大学に在学していた頃、足尾町の土地利用の変遷を整理する研究をしていました。大学を卒業して社会人になってから、足尾町のことを調べていたとき、足尾町でアートイベントが開催されることを知りました。そのイベントでは、アーティストと研究者を募集していたので、私は研究者として応募してみたところ、採用していただきました。かつての研究をベースに、自分で絵を描き、文章を書いて絵本を作りました。これは、アートとまちの小さな関係性の構築です。

画像4

 また 、私が2017年に開催した「芸術と技術のあいだ展」という展覧会では、「映像作品を鑑賞後、身近な商品・製品を鑑賞して、作者に話を聞く」という構成にしました。アート作品を鑑賞した後に、身近にあるものを鑑賞してみることで、身近なものへの芸術性に気づくことができると考えたからです。

画像5

 さらに、2020年1月には、アカリで「ふくしま Art & Craft 見本市」というイベントを開催しました。このイベントは、プロの方に限定したBtoBの見本市で、映像作品の鑑賞会から始まり、お互いの作品を展示して自由に見合い、その出会いの中から新しいビジネスや活動の創出につなげることを目的としたものです。
 このイベントに出展してくれた農家さんの1人は、「最初に映像作品を見せられたときは戸惑った。しかし最近その意味がわかった。農家として生きる中でも、ものの見方が、作品の見方と近いし、もしかしたら農家だってアーティストなのかもしれないと考えさせられた。」という感想をいただきました。
 このように、まちとアートを結んでいくことによって、同じまちに暮らす人たちの視点をゆるやかに変えていくことができると考えています。

画像3


3.佐賀建さんのこと

 中学、高校 、大学時代のデッサンや作品を紹介 していただきました。中学から大学卒業に至るまで、様々な画 材やタッ チに挑戦 されていることがわかりました。佐賀さんが影響 を受けた作家として、佐藤允 、ホルスト ・ヤ ンセン、三瀬夏之介 、池田学、アンリ ・ルソー、ジ ェームズ・ アン ソール、 奈良美智、ベン ・シャーン、ジャクソン・ポロック、パウル・クレー、高木正勝を挙げています。
Q) 佐賀さんが学ばれた美術高校について
A) 同級生みんなが絵描きになりたいわけではありませんでした。漫画が好きな人も多かったと思います。美大に入る子はその中でも半分くらいで、企業で働く子もいました。
Q) 構成デッサンとは?
A) 想像力を働かせてモチーフを構成し、色々な視点で描くことです。
Q) 現在ペインターとして活動していることについて
A) 結局絵が自分に一番合っていました。母がデザイン事務所をやっており、兄もそこで働いていて、僕もたまに手伝っています。ただ、僕の興味としては、デザインより表現だったのだと思います。絵について理解のある家族だったことが、絵を描き続けられるモチ ベーションに繋がっています。家族や周りの人のバックアップがあったおかげで、絵を描く道に進むという選択を選びやすかったのかもしれません。

4.グループワーク

 グループワークでは、エリアデザインラボのメンバーと「あなたが感じる身近なアートは?」というテーマで話し合いの時間を設けました。以下の通り、様々な意見が出ました。

・家の基礎となる鉄筋を綺麗に並べ、組みあがったときの光景
・国見町の町役場
・水たまり
・アイシャドウなどのグラデーション
・あんぽがき
・廃墟、空き家
・路線図
・室外機

 次回はモデルの小林愛さんをゲストに迎え、世界の貧困についてお話しを伺ってみます。次回のテーマは、福祉とまちづくりについてです。

ライター:上神田健太
書き起こし:相樂和希

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?