タコスパーティーは恋を実らせるか
タコスはホームパーティーにおいてとても魅力的な食べ物だ。具材の彩りとツンと鼻をくすぐるスパイスの風味が食欲をそそる上、手巻き寿司のようにテーブルを囲んだ仲間と共にワイワイ楽しく食べられる。具材の種類は特に決まっておらず、その日のメンツ、その日の気分によってアレンジを利かせられるのも嬉しい。まさにパーティー向けのメニューだと言える。
先日、ももねこがTwitterで公開している『マシュマロ』の窓口に、以下のようなメッセージが届いた。
マシュマロ主さん:私、タコスパーティーがすごく憧れなんです!ぜひ今度タコスの具材レシピ簡単に教えてくださーい♡あわよくば片思い中の彼とタコパするぞーーーー!!おーーー!!
引用元:マシュマロ
なるほど、そういうことならタコスについてまとめようじゃないか。レシピと言えるほどのものではないが、今まで幾度となくタコスを食卓に載せてきた私たちだからこそ伝えられることがきっとあるはずだ。
タコス、基本の3点セット
大まかに言うと、タコスは以下に挙げる3つのパーツで成立する。
皮
メインの具材(肉や魚)
生の葉野菜、時にはフルーツ等
先ほども述べたとおり、タコスの具材には決まりがない。さまざまな店舗でさまざまなタコスを食べた経験から言うと、本当に自由だ。牛肉の塊、豚肉のミンチ、鶏肉のスライス、ホルモン、揚げた魚、パイナップル、サボテン……こうして思い出すだけでも多岐に亘る。
味つけだってそれぞれユニークなものになっている。コリアンダーの効いたサルサソースが王道だとは思うが、コリアンダーが苦手な人は抜いてしまえばいいし、生トマトが苦手な人はいっそケチャップ味にしてもいいと思う。バターソースやサワークリームも大活躍する。
ササッと作って美味しく食べる、『いつものタコス』
ホームパーティーでタコスをメニューに加えるなら、クセの少ない食材を選ぶのが無難だろう。また、品数を増やすことを考えると調理もできるだけシンプルな方がいい。(上の画像では寿司を買い足すというお手軽の極みを採用)そもそもタコスの「タコ」は軽食という意味らしいし、今回は手軽に用意できる『DUCK WORKS製いつものタコス』をご紹介するとしよう。
タコスは皮選びから始まる
タコスの皮は、私が知るかぎりでも3種類ある。
トルティーヤ
おそらく、最もポピュラーなものがこれだ。トウモロコシの粉を薄く焼いた皮で、独特の風味がある。写真のように小麦粉で作られたフラワートルティーヤというものもあって、これはあんまりクセがない。手巻き寿司のように具材を包んで食べられるので、比較的食べやすい形状だと言える。柔らかい歯ざわりがお好みならこれがおすすめ。
タコシェル
私たちDUCK WORKSがよく使うのがこれだ。トウモロコシの粉でできた、 名前のごとくタコスの殻と言えるようなパリッパリの皮。 見てのとおり柔軟性はなく、具材を挟む空間が限られている上に、1パックに数枚は「どこに挟むねん」と思うくらい閉じているものが入っている。そういうものは潔く割って具材を挟むといい。ピザ生地はクラストタイプを選ぶ、という人はこれが好きだと思う。
トルティーヤボート
トルティーヤをボート型に成型した画期的な品。初めて見たときは、好奇心から購入せざるを得なかった。具材を載せやすく、もちろん食べやすい。見た目もかわいいのでパーティーにはもってこいではなかろうか。底の方などに少し厚い部分があり多少の粉っぽさを感じるかもしれないが、それも愛嬌か。
メインはミンチ肉を使え!
肉を切らずに済む。これは大したことがないように見えて、実はとても効率がいい。一人暮らしの小さなキッチン、しかもまだお互いのことをよくわかっていない間柄である片想いの彼と分担しながら調理するなら、『火を使う係』『包丁を使う係』に分かれるのがオススメだ。 彼に葉野菜を洗ったり千切ったりしてもらいつつ、あなたは数多の調味料を駆使しながら肉を炒める……こうすることでお互いの領域がコンロ前とシンク前に自然と分かれるので、お互いの動作がぶつかるといったようなイラつく場面を減らすことができる。
ミンチと合わせてタマネギとキノコ(種類は何でもいい)をみじん切りにして炒めると、風味とボリュームが出ることもお伝えしておく。これは彼が家に来る前に下ごしらえしておいてもいいし、あなたの部屋に慣れるためのインターバルを彼に与えるきっかけとして使ってもいい。「女の子らしい部屋だね~」「ありがと(笑)あたし、先に野菜切っちゃうからちょっとくつろいでて~お茶出すし~」とやればいい。何やこれめっちゃそわそわするタイミングやんけ。
刺激的な彼なら、いっそスパイシーに
味つけは以下を参考にしていただきたい。
缶詰のトマト水煮(角切りが便利)
トマトケチャップ
赤ワイン
コンソメ(顆粒が便利)
ナンプラー or 塩
スイートチリソース or 醤油と砂糖
チリパウダー
ガーリックパウダー(スイートチリソースにガーリックが入っている場合は不要)
クミン
タコスは異国の香りあってこその料理だと私は思う。無難にいくなら、ケチャップ+塩+醤油+砂糖だけのノンスパイスタコスで問題ないが、せっかくタコスを選んだのなら、そしてタコスごとあなたを愛してくれそうな彼ならば、がっつりスパイシーに作ってほしい。
スパイスを揃えるのが面倒な場合は、『タコキット』なるセットを買うといい。タコシェルとシーズニングがセットになっているので、小難しいことを考えなくても美味しいタコスが作れる。ただしこのシーズニングはゴリッゴリにスパイシーなので、苦手な場合はお気をつけて……
葉野菜は風味と歯ざわりを重視
もちろん、キャベツやレタスなどのおなじみの葉野菜だけでも十分美味しい。ここにもうひとクセ加えるべく、ベビーリーフやセロリを加えるのがDUCK WORKS流である。先ほども書いたが、タコスは異国の香りを楽しむ料理だ。それならばいっそ、葉野菜も含めてクセとクセのぶつかり合いを心ゆくまで楽しみたいじゃないか。
特にセロリはいい。嫌いでなければぜひ入れてほしい。歯ざわりシャキシャキ、パンチのある香りが残す清涼感……クドくなりがちなメインの具材をうまくサポートしてくれるに違いない。
トッピングこそ自由に!個性豊かに!
タコスはトッピング次第でさまざまな表情に変わる。できるならバラエティ豊かにトッピングを用意して、「この組み合わせ、“勝ち”だわ」「ここにこうすれば……あとはわかるな?」と、それぞれの推しとも呼べる組み合わせを探し当てては互いにプレゼンしあうのが醍醐味のひとつだと言える。
私のおすすめトッピングは以下のとおりだ。
ハラペーニョソース
ハラペーニョピクルス
アボカド(ワカモレにしても良し!)
ゆず果汁
レモン果汁
アーモンドクランチ
シュレッドチーズ
クリームチーズ
レーズン
オレンジピール
今夜だけは、タコスを自由の象徴として捉えてみてはどうだろう。「え!?」と思うようなものこそ、新しい喜びを提示してくれるかもしれない。
メインの具材は多めに作ろう、美味しいナチョスができるから
メインの具材をトルティーヤチップスに載せ、シュレッドチーズをかける。それからレンジで少し温める。これだけで最高のおつまみができあがる!正直、「さっきまで食べてたタコスとおんなじ味だよね」って話だが、それでも構わない。ビールが進む食べものに一切の罪はない……どうせなら、食べて、飲んで、ふたりで酔っぱらっちゃって、ほんの少しお酒のせいにして、距離感を誤ってみてもいいんじゃないかい。
まとめ
タコスはとても自由で、とてもユニークで、とても幸せなものだということをおわかりいただけただろうか。タコスの皮は、何でも受け入れてくれる聖母のような存在……それだけを信じて、心の赴くままにタコスを楽しめばそれでいい。
さて、ここで表題に戻ろう。『タコスパーティーは恋を実らせるか』……正直なところ、タコスは片思いの彼と食べるメニューとしては少々難があると私は考える。要は、蟹と一緒だ。食べることに集中力が向く、口の周りや手がとにかく汚れる。最悪、脂ののった肉汁があごの下まで垂れることもある。
逆に言えば、タコスを一緒に楽しめる相手はもはやかなりの仲良しだと言っても差し支えないだろう。あなたと彼がタコスを通して「あんな顔もこんな顔も笑って許せる仲良し」になれることを願ってやまない。
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