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女優・生稲晃子さんにインタビュー。「普通に生きることが、最も尊い生き方」
※本記事は2019年11月に公開した記事の転載となります。
生稲晃子さんは2011年に一度目の乳がんを手術。以降、再発・再手術し、さらに3度目の乳がんで全摘手術を受けました。2015年、ご自身のご病気を公表し、同じ乳がん患者さんに少しでも役に立てば、という思いで講演会などの活動を続けています。9月29日に開催されたピンクリボンシンポジウムへの登壇後、生稲さんにお話をうかがいました。
モモ:
はじめましてモモです。
今日はおつかれさまでした!
生稲さん:
モモちゃん、かわいい〜!
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モモ:
生稲さんはモモのこと、
知っていましたか?
生稲さん:
もちろん、知っています!
モモちゃんに会って、
こうやってお話をするのは、はじめてですけど、
ピンクリボン活動でモモちゃんががんばっている姿は
ずっと見ていたので。
モモ:
ありがとうございます。
とってもうれしいです!
さて、本題の前に、
生稲さんに聞きたいことがあって。
生稲さん:
なんだろう?(笑)
モモ:
生稲さんは幼少期にサッカーチームに所属して、
全国優勝をしたという記事を目にしたんですけど…。
今もサッカーとの関わりはあるんですか?
生稲さん:
全国優勝ではないんですけど…。
モモ:
あ、そうなんですね。
でも、サッカーをされていたなんてビックリです!
生稲さん:
小学校の時、
私は足がめちゃめちゃ早くって。
50メートル6秒8くらいだったかな。
学校の先生に、
「試合の時だけでいいから出てくれないか」って。
モモ:
すごいです!
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生稲さん:
だからサッカー部には所属していなかったけど、
ある大会に出て、それで準優勝だったかな。
だから私ががんばったわけではなく、
友だちがすごかったっていう…(笑)。
モモ:
いえいえ、運動神経よかったんですね!
ちなみにその後もサッカーとの関わりは?
生稲さん:
全然ないですね(笑)。
でも、そんな過去があったものですから、
サッカーのJリーグが発足した時に、
「感想を聞かせてください。」
という取材を受けたことがあって、
今となっては懐かしいな、
っていうことを今思い出しました(笑)。
モモ:
ありがとうございます(笑)
では、今日のシンポジウムに参加されての
今のご感想をお聞かせください。
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生稲さん:
普段の講演会では一人で話をすることが多いのですが、
今日は朝日新聞の科学コーディネーター
高橋真理子さんとの対談形式でした。
高橋さんがうまくリードしてくださったので、
すごくリラックスできたのと、
普段はあまり話さないことまで
お伝えすることができたと思っています。
モモ:
そうなんですね。
生稲さん:
お客さまも真剣に聞いてくださっていて、
すごくいい雰囲気の中で
お話させていただくことができました。
モモ:
生稲さんは、再発や再手術、
全摘手術を乗り越えられてきました。
病気と向き合う姿に、
モモは感銘を受けます。
今は、どのような状態なんですか?
生稲さん:
まず、現在もホルモン療法を続けています。
薬はずっと毎日飲んでいるんですね。
5年で終わるかなって思っていたんですけど、
やはり再発を2回してしまったことにより、
おそらく10年近く薬を飲むことになる感じでいて。
モモ:
そうなんですね。
生稲さん:
ホルモン療法の影響か、
私自身は倦怠感が強く出てしまったり、
ホットフラッシュといって、
急に汗が出てきてしまったり、
というのは日々起きていて、だから今は治療の継続中。
まだまだ気持ちよく
「がんとさよならした!」
という感じでは、ないんです。
モモ:
そんな中、こうやって、みなさんのために
講演活動などを続けられている生稲さんを、
モモは尊敬します。
生稲さん:
いえいえ、そんな。
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生稲さん:
ただやはり家族が「普通」にしてくれている、
私自身も「普通」にしているってことが
すごく楽というか。そこは意識しています。
意識して「普通」に生活しようと。
モモ:
「普通」、ですか?
生稲さん:
治療中ですから、
どうしても気持ちというのは、
ネガティブに向いてしまいがち。
でも「普通に生きていこう」
ということを意識していると、
すごく楽にいられるんです。
モモ:
なるほどですね。
生稲さん:
特別なことをせず、家族と一緒に、
日々を普通に暮らすというのが、
今の私にとっては一番よい
楽な生き方かなって思っていることです。
モモ:
大事な人と「普通」に生きる。
大切なことですね。
生稲さん:
あとは仕事。
ありがたいことに、子育てをしながらでも、
仕事を少しでも続けていられるという環境があり、
すごく自分にとってベストな状態だと思っています。
モモ:
そういえば、
生稲さんの娘さんは中学2年生と伺いました。
でも、子育てって
腹がたつことも多いって言うじゃないですか。
そういう時は、どこの家庭にもあると思うんですが、
やはり娘さんを叱ったり、喧嘩なんかも普通に…。
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生稲さん:
はい、毎日怒っています!(笑)
モモ:
やっぱり!
生稲さん:
モモちゃん、わかりますか?
うれしいです!(笑)
モモ:
そこも「普通」なんですね。
ちょっと安心しました(笑)。
生稲さん:
それ(怒ること)がイコール
普通になっちゃってますけどね(笑)。
テレビで虐待に関するニュースが多いですが、
「次に捕まるのは私だ!」って思うくらい(笑)。
モモ:
え、そんなに!
生稲さん:
でも、最近は取っ組み合いになると、
だんだん私のほうが負けそうになってしまうので、
最近は言葉の言い合いに変わりつつあって(笑)。
そんな感じで日々子供とも戦ってますけども、
まあそれはそれで。
モモ:
取っ組み合い…。
生稲さんのイメージにないです。
生稲さん:
ちょっと大げさに言いました(笑)。
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生稲さん:
でも、どうしてもイライラはするんです。
年齢的にも更年期の年齢なんで。
あと、治療で女性ホルモンを減らしていっているので、
強く更年期の症状が出てしまう時期なのものですから。
いけないことだけど、イライラしてしまうとか、
そういう気持ちの波は、ものすごくあったりします。
モモ:
そうなんですね。
生稲さん:
そういう時に、娘と気が合わないと、
爆発したくなってしまう。
でも、自分では、これは通過点だと思って。
子供の成長の通過点でもあり、
私のがんの闘病の通過点でもあり、って。
モモ:
うんうん。
生稲さん:
まあ、そんな風に、普通に子供を
叱りながら日々暮らしています(笑)。
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モモ:
貴重なプライベートのお話、ありがとうございます!
でも、共感される方、多いと思います!
あと、闘病の中で心に残ったこと、
励みになったことなども
教えていただけますか?
生稲さん:
講演会をはじめ、
いろいろな場所で声をかけてくださる方がいて。
その中には乳がんの方もいらっしゃるし、
私よりももっと辛いだろうな
って思うご病気の方たちもいて。
そんなみなさんが私に、
励ましの言葉をかけてくださることがあるんですが、
それがものすごくうれしい。
モモ:
みなさん優しいですね。
生稲さん:
変な言い方ですけど、仲間がいるんだ、
自分だけじゃないってことが、
すごい励みになるんですね。
モモ:
モモもそう思います。
生稲さん:
私が発する言葉によって、
頑張ろうって思ってくれる人がいたら、
という思いで書いた本が、
『右胸にありがとう そして さようなら』です。
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生稲さん:
その本の最後にも書いたかな、
「私にはみなさんがいてくれる。
みなさんには私がついている。」
というような気持ちを、
いつも私は持って生きているので、
みなさんからの言葉というのが、
本当に頑張る励みなっています。
モモ:
ありがとうございます。
そして生稲さんの言葉も、
みなさんの励みになっていると思います。
生稲さん:
あとはママ友ですね。
公表してから、子どもが小学校一年生の時から
ずっと付き合ってきたママたちが、
「気づかなくてごめんね」って言ってくれて。
隠していて申し訳ないという気持ちと、
ママ友との絆の強さを感じました。
モモ:
そんなこともあったんですね。
生稲さん:
子ども同士は、
もう学校は変わってしまいました。
でも、子どもも親も、
ずっと付き合っていける友達ができたんだなって、
仲間ができたんだなって思いがあって。
そういうことも、
私にとってはすごくありがたいことです。
モモ:
ママ友との絆、嬉しいですね。
では改めまして、
ピンクリボン活動を通して、患者さんや、
そのご家族へのメッセージをお願いします。
生稲さん:
そうですね…。
私はこの病気を経験して、普通に生きることが、
最も尊い生き方なんだって学んだ気がするんですね。
人間って、どうしても年を経ていくと、
いろんな欲が出てきて。
もちろんその欲も生きる上ではとっても大切なもの。
でも、その欲を持つ前に、
今ある自分の全てに感謝をして、
普通に日々を送ることが一番大切なことなんだ
っていうことを教えてもらったような気がするんです。
モモ:
普通に日々を送ること…。
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生稲さん:
病気になったら、
それはとても辛いけれども、
なるようにしかならないんです。
がんが急に消えるわけではないし。
だから、なるようにしかならない
という気持ちを持ちながら、
いつも平常心を保って、普通に穏やかに生きる。
その普通に感謝しながら、
日々生きることが一番の幸せであって、
がんにも打ち勝つパワーになるんじゃないのかな
って思っているんです。
モモ:
ありがとうございます。
ステキな考え方ですね。
生稲さん:
いろんな段階の方がいらっしゃって、
そういう風になかなか思えない人も
たくさんいらっしゃると思うので、
その気持ちはお察しします。
けれども、やっぱり、そんな中でも、
なるべく普通に生きていきましょう、
一緒にがんばりましょう、
ということを伝えたい気持ちが大きいですね。
モモ:
はい、一緒にがんばりましょう!
生稲さん:
今あるものに感謝をして、という風に思ったのは、
自分の右胸を失って初めて思ったこと。
くよくよしても失ったものは戻ってこないわけで、
それよりも、私の体の中に今あるもの、
自分の持っているもの、
そういうものに感謝しながら
日々を生きるということを、
心がけることが大切なのかなって思っています。
モモ:
今日はご登壇直後のお忙しい中、
ステキな話を、本当にありがとうございました!
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