爪とわたし(アトピーを完治するまで)
痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い
新たに蚊に刺された箇所が痒くて仕方ない。
旦那が痒み止めの薬を塗ってくれたが、全く効いていない。
思えば私の人生、常に痒みが付き纏ってきた。
生まれてすぐにアトピー性皮膚炎を発症し、起きてる時も寝てる時も常に身体を掻きむしっていた。
掻いちゃダメ!って言われても気が狂いそうな痒みが襲ってくる。布団や服には剥がれ落ちた皮膚が溜まる。
起きてる時より睡眠中の方がヒスタミンのせいで痒くなるので、毎日寝不足だった。
包帯を巻いて寝ても、朝になると無くなっているか、残っていた場合も、傷口から滲み出た体液が傷口の上で固まり、痛くて包帯を取れないかのどちらかだった。
掻きむしりすぎて皮膚が薄くなりすぎて、腕を90度くらいしか伸ばせなくなった事もあった。
常に全身ステロイドを塗る毎日なので、痒い上にいつも薬で全身ベタベタしていて、その上から服を着るのが本当に気持ち悪かった。常に不快感が一緒だった。
顔もアトピーだった為、顔も薬でテカっていて、まぶたもいつも赤く腫れていた。
皮膚科に行くのが嫌いだった。毎回同じ意味のない診察のあと、ビニール手袋をはめた無愛想な看護師に、流れ作業の様に事務的に全身に薬を塗られる時間が嫌いだった。
小学生の時に、自分は世界一不細工だから、不細工な人としか結婚出来ないって本気で思ってた。
掻いては流血し、かさぶたが出来て、また掻いての繰り返し
幼稚園の時はいじめにあったし、小学生の時は私の身体を見て、かさぶただらけで気持ち悪いって言ってきた人もいた。
中学生の時は理科室の机にアトピーで気持ち悪いと悪口を書かれた。
本当に自分の事が大嫌いだった。
自己評価は下がる一方だった14歳のある日、鏡を見て不細工な顔の自分を眺めながら、可愛いって言い聞かせた。誰に教わった訳でもなく、なんでそんな事を言おうと思ったのか今でも解らない。鏡をみた時に可愛いって言い聞かせるのが習慣になった。
1年くらい経ったある日、顔のアトピーが治った。そして今まで重い一重だったまぶたが二重になった。赤黒かった肌がどんどん白くなった。
驚いたのが、今まで親からも不細工って言われて生きてきたのに、モモナちゃん可愛いって沢山の人に言われるようになった。
大人になって、身体のアトピーからも解放された。身体のどこも痒くない体験をした時は本当に嬉しかったし、不思議な感覚だった。
今でもたまにストレスが溜まると部分的に痒みが発生することがあるけど、もう一切ステロイドに頼っていない。
30代に突入して、自分の事を大好きになった頃に今の旦那に出会った。
ずっと痒い毎日だったので、爪を伸ばすなんて自殺行為なわけで、いまでも深爪にしているし短くないと落ち着かない。
私はネイルアートとは無縁だと思って過ごしている(純粋に面倒くさいのも大いにある)
ある日、私の爪を見た旦那のママが、透明のネイルを塗ってくれた。
塗らないなら塗らないでいいし、塗られたらキレイで嬉しい
しかし、私は爪が少しでも伸びるとすぐに切るので、それに従い、ネイルが塗られた箇所がどんどん切り落とされていった。
で、もうすぐ爪が全て生まれ変わる!って思っていると新たにママにネイルを塗られる。
その繰り返しで新たに今日3回目のネイルを塗られた。
ママの塗り方は大胆なので、沢山はみ出している。
次のネイルが塗られる頃にはきっと帰国しているので、今回が最後だと思うと少し寂しく感じた。