夏の終わりに聞きたくなる曲「若者のすべて」から思ったこと
相変わらずテレワークの日々。その上、7月中旬に痛めた足の調子もよくならず・・・あっという間に秋になりそう。
夕方に外に出ると、昼間とは違い過ぎる心地よい涼しい風が吹いていて、「夏も終わるんだな」としみじみ思う。
夏の終わりが近くなるこの時期になると、聞きたくなる曲がいくつかある。
そのうちの一曲は、Bank Band「若者のすべて」。
真夏のピークが去った 天気予報士がテレビで言ってた
それでもいまだに街は 落ち着かないような 気がしている
夕方5時のチャイムが 今日はなんだか胸に響いて
「運命」なんて便利な ものでぼんやりさせて
最後の花火に今年もなったな
何年経っても思い出してしまうな
ないかな ないよな きっとね いないよな
会ったら言えるかな まぶた閉じて浮かべているよ
Bank Bandがカバーして歌っていたことで、わたしはこの曲を知った。
テンポよい曲調と心地よい中に感じる切ない歌詞は、桜井さんの曲なのか?と思うほど、彼の声によく合っている。
もちろんそれは合うようにアレンジされているんだけど、そう思ってしまう程、自分のものにしているところは、さすが。
何年もこの曲を聞き続けてきたけど、突然「この曲のオリジナルって?」と思って調べてみたところ、6月のJUJUさんのLIVEで泣きながら聞いた「手紙」を作ったフジファブリックの曲だったのだ。
偶然にちょっと感動して、オリジナルを聞いてみたら、私が知ってるフジファブリックのイメージと何か違う・・・
調べてみたら「フジファブリック」というバンドも色々複雑そうだった。
フジファブリックは今は3人で構成されているバンドだけど、デビューした2004年には5人で構成されていたらしい。
人数がかわっていくのはバンドやグループにはよくあることだけれど、すごく驚いたのは、結成当時からのボーカルだった志村さんが2009年、今から12年も前のことだけど、急逝されたということ。
バンドのボーカリストが亡くなることはかなりの衝撃だし、ボーカル不在になった時点で、活動を継続するというのは、なかなか難しいのではないか。
バンドは無くなって欲しくないけれど、当時のファンの方たちは、きっとそんな風に思っただろう。
何故なら、当時は、志村さんが全ての作詞作曲をしていたという事だから。
現在は当時のギターの山内さんがボーカルを引き継いで、3人でバンドを継続させている。どれくらいの期間を経て、こういう結論になったのか、私は知らない。でも、ものすごい決意だったと想像する。
ボーカリストの存在感ってそうとう強いから、バンドを継続することもだけど、当時の曲を歌い継ぐことも、勇気というのは違うかもしれないけど、はかりきれないほどの大変な覚悟とプレッシャーだったのではないか。
でもきっと山内さんは、そんなことより、フジファブリックを無くしたくない方が、圧倒的に強かったのだろうな。
私の想像だけど、そんな風に思った。
この「若者のすべて」も2007年にリリースされた志村さんが作った曲。
そして今も変わらずにフジファブリックの代表曲の1つ。
フジファブリックには、志村さんが歌う「若者のすべて」と、山内さんの歌う「若者のすべて」が存在している。
山内さんが歌い始めた頃は、志村さんを意識しないわけにはいかなかったと思うし、聞いてるファンもきっと同じだったと思う。
この曲の中には、それぞれ色んな想いがあるのだろう。
でも2種類の「若者のすべて」を持っているフジファブリックは最強だ。
志村さんが出身の富士吉田は、歌詞に出てくる「夕方5時」になると、この曲が流れるそうだ。
小さい頃から聞き続けている子供たちが、いつの日か「どうしてこの曲なのか」「誰が作ったのか」なんて思って、「若者のすべて」に、そして「フジファブリック」に、「志村さん」にたどり着くなんて、なんか素敵すぎる。
子供だけじゃなくて、大人だってそんな人がたくさんいるかもしれない。
しかもさっき知った情報だと、来年からは高校生の音楽の教科書に掲載されるということ。これを高校生がみんなで歌うなんて。
これからも、たくさんの人たちに知られていく曲、バンド、メンバー。
素晴らしい!
亡くなって10年以上たっても、こんな風に日常に起こる事がきっかけで、これからも志村さんのことを知る人たちが大勢いること、なんか胸があつくなってしまう。現にわたしだって、そのうちの一人だ。
いい作品を作る、残すってこういうことなんだね。
話はちょっとそれるけど、JUJUさんがカバーしている「手紙」は、山内さんから志村さんへ捧げた曲とも言われているそうだ。
そんなリンクも少し嬉しくなる。
来年からは、3つの「若者のすべて」を聞くことになりそう。
この曲をしることになったBank Bandバージョンは、私の中のオリジナルとして、志村さんが歌う本家本物のオリジナルは、歌詞通りに真夏のピークが去った感じ、山内さんバージョンは、寂しい中にも優しさが籠ってる感じ。
同じ曲なのに全然違う。
この曲は、他のアーティストもカバーをしているから、聞くのはこれらだけではなくなりそうで、忙しい。
さて。
素晴らしい作品、愛された作品というものは、ずーっ受け継がれ、語り継がれていくとういことを目の当たりして、ついまた三浦春馬くんを思う。
いつか土浦駅の発車メロディに、「Night Diver」がかかったら素敵だな。
そして、今のちびっ子たちが成長したときに「なんでこの曲なの?」って思ったり、Youtubeでたまたま聞いたフルコーラスが「あ、駅でかかっている曲?!」なんてことから、彼の軌跡たどり着く。
毎年4月5日と7月7日は映画館で「天外者」が、終戦記念日あたりには「太陽の子」があたりまえに上映されるようになったら。。。
「なんで毎年この作品はこの日に上映されるの?」とお母さんに聞く子供が増えて、その子たちがいつかふと「ラスト♡シンデレラ」に辿り着いたり。
そんな子供たちが、きっと出てくる気がする。
そして、こんな事をちょっと思ったりするのも、なんか夏の終わりっぽい。