108.秘すれば花 [蟹座18度]
ゼスプリゴールドキウイは、開いてしまった傷口を閉じるため、真夜中にこっそりと現場に向かった。
この傷口は、無知な無法者たちの手によって、何度もこじ開けられてきた。その度に、補修工事に向かうのがゼスプリゴールドキウイたちだった。もちろん無報酬だ。
現場には、すでに仲間のゼスプリゴールドキウイたちが集まっていた。その輪に加わり、挨拶もそこそこに、粛々と補修を進めた。
無法者たちの間では、この口を開けば、すべての問題が解決し、地上に永遠の天国が訪れる、などという噂が囁かれている。そんな噂にまるで根拠はないのだが、信じられているため、こじ開けられてしまうのだ。
真夜中、誰の目にもつかないように、ゼスプリゴールドキウイたちは補修工事を進める。
無法者たちはこじ開け、ゼスプリゴールドキウイたちは閉じる。
それだけのことだ。