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八割れちぃとのなれそめ・1
ちぃは2005年4月の雨の肌寒い日に、外で鳴いていた。それまでにも二度ほど見かけていたが、すぐいなくなったり誰かが相手をしていたりで姿が確認できなかった。
その日は本当に寒く、4月とは思えない寒さに震える日だった。しかも雨。娘と帰宅途中、寂しげに鳴く子猫の声が聞こえて気になって二人で探したら、木の陰で雨を避けながら鳴いていた。
娘と二人、しゃがんで「どうしたの?ママいないの?おうちないの?」とその子猫に話しかけると、すかさず鳴きながら娘の膝に乗っかってきた。人懐っこい子だった。雨で震えていた。
もう娘と二人、連れて帰るしかない!と一瞬で決めていた。ツンとすました猫も猫らしいが、甘えん坊の猫というのも魅力的で、膝に乗ってきた瞬間私たちはハートを撃ち抜かれていた。それが例え寒さゆえに暖房器具がわりにされたのだとしても。
その時の子猫は黒と白の(グレーぽく煤けていたが)八割れだと言うことぐらいしか分からないほど、目も鼻も口も風邪でぐしゃぐしゃで顔がよくわからなかった。
顔だちがどんなのかも分からないが、人懐っこい、その特技が彼女自身を助けたのだった。
八割れちぃとのなれそめ・2に続く
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