過去と未来の繋ぎかた…⑨
アルノ:ごめんなさい…
母:いいの…むしろ本当にありがとうね
彩:私が知ってたら絶対反対したのに…
母:あーや…
アルノ:彩ちゃんもごめんなさい。
彩: ……
あのあと、意識を失った○○は
私が呼んだ救急隊員によって病院へと運ばれた
設楽:私も許可したんです、私の責任でもあります
母:先生……
設楽:中西さんはわざわざ、病院まで訪ねてくれてね…
母:そうだったんですか……
アルノ: ……先生、、○○は…?
設楽:大丈夫。今は寝ているだけだよ。
アルノ:うぅ…よかったぁ
彩: ……
設楽:ただ…
母:ただ……?
設楽:記憶喪失…正確には記憶障害が悪化している可能性もあります。
彩:そんな…
設楽:逆もあり得るので…
母:そうなんですか…
設楽:記憶というのは不思議でふとした事で甦ります。
今回の出来事で良い方向に進むといいのですが…
アルノ:私のせいだ…
彩: ……
母:アルノちゃん、まだわからないから。きっと大丈夫よ。今日はもう帰りなさい……
アルノ:でも……
母:○○には、私が一緒にいるから…
アルノ:はい…本当に、ごめんなさい…
彩: ……
私は病院を出て、とぼとぼと一人で帰る
何もできなかった、むしろ好き勝手にやりたいことやって迷惑をかけた
??:アルノーー!!
誰かに呼ばれた気がして…声がした方へ振り向く
アルノ:彩ちゃん…
彩:私も帰ることになったから…
アルノ:うん…
彩:ねぇ…聞きたいことがあるの…。
アルノ:うん、なに…?
彩:お兄ちゃんは違うって言ってたけど、紙切れ入れたのはほんとにアルノじゃないの?
アルノ:本当に違うよ…
彩: …わかった…疑ってごめんね。
アルノ:いいの…むしろ今日…本当にごめんなさい…
彩: ……
アルノ: ……
彩:たんとーちょくにゅーに言うね!
アルノ:う、うん…
彩:2人って、” 今 ” は付き合ってるの??
アルノ:え?
彩:どうなの!!!
アルノ: 付き合ってないよ。
彩:じゃあ!!今でも、お兄ちゃんのこと好き?
アルノ: ……
彩:あやの目を見て答えて!!
アルノ:好き
彩:あやよりも?
アルノ: …うん。負けたくない……
彩:あやも負けないしっ!!!
アルノ: そ……そうだよね。
彩: ……
アルノ: ……
彩:明日ね……お母さん仕事なんだ…
アルノ:う、うん…
彩:だから学校休んで、お兄ちゃんと一緒にいてあげるの!!じゃなかったら今帰ろうとなんてしないし……
アルノ:そうなんだ…
彩:うらやましいだろぉ!!!
アルノ:うん…○○のこと…よろしくお願いします。
彩: ……
アルノ: ……
彩: ……きていいよ
アルノ:え?
彩:あや、まだ子どもだし、ひ、1人で出来ないこともあるから……
アルノ:ほんと……
彩:うん…まぁ学校休む勇気あるならね……
アルノ: ……彩ちゃん、ありがとう
彩:ふん…お兄ちゃん起きたら、最初に抱きつくのあやだからね
~ 過去と未来の繋ぎかた ~
第9話 もっと早く気づけていたら…
○○とアルノが休んだ月曜の学校
その放課後、女の子たちは教室に集まっていた
咲月:○○くん、アルノと美空以外は集まったね
美空は風邪で学校を”早退”していた
桜:うん。本当にやるんだよね…
いろは: ……
姫奈:やろう…犯人捜し!!!
瑛紗:姫奈は元気いいね…
和:そうだね。
姫奈:うん!紙切れ入れたやつ、絶対見つけてやる!!
いろは:たぶん分かってないんだと思う
姫奈:どういうこと?
奈央:犯人はこのクラスにいる可能性が高いってこと……
姫奈:え?そんな…
いろは:やっぱ気づいてなかったね
茉央:どうする…犯人捜しする…?
瑛紗:私は〇〇くんとアルノのためにも捜すべきだと思う
瑛紗の言葉にみんなが頷く。
咲月:決まりだね!それじゃあ、これをみて!
昨日彩ちゃんにもらったの。
咲月はみんなに彩が撮った写真をみせた
1枚目
これから、よろしくね
2枚目
ダンケシェーン、きいてみてね
3枚目
気を付けて みんな、嘘をついている
4枚目
応援してます
咲月:これが○○くんの下駄箱に入っていた紙切れ
姫奈:これはこわいね…
瑛紗:日付はバラバラなんだよね…?
咲月:うん、そうみたい。
桜:誰がこんなことしたんだろ…
咲月:彩ちゃんが○○くんから聞いたらしいんだけど、、1枚目の時……美空にも同じこと言われてたんだって…
奈央:え?それじゃあ…
茉央:美空が…?
和:そ、それだけで決めつけるのはまだ早いよ…
いろは: ……
桜:でもどうして…こんなことしたのかな?
いろは: ○○くんのこと好きだったんじゃないかな
瑛紗:それでアルノのことを邪魔したくなった…
咲月:そういえば美空って…○○くんのこと、かっこいいって……
…
……
沈黙
みんなの中で美空への疑心がうまれていく
姫奈:ねぇ、いろは!!!!
いろは:え?姫奈、なに…
姫奈:いろは!探しもの見つけるの得意じゃん!!!今回の犯人……わからないの!!?ねぇ、このままじゃクラスが変になっちゃうよ…!!!!
泣きそうになりながら全力で訴える姫奈
いろはは、怪訝そうな顔をしている
いろは:あのさ…
姫奈:な…なに?
いろは:実は…もう1枚あるの…
瑛紗:!?
姫奈:え?なにが?
いろは:ここに集まる前に、○○くんの下駄箱を確認したら紙切れが入ってた
桜:まだあったんだ…
和: え…うそ…?
咲月:なんて書いてあるの?
瑛紗: ……
姫奈:みせて!!
5枚目
” どうしたらいいか、わからない ”
奈央:どうしたらいいか、わからない?
茉央:なにこれ?
桜:よくわからないね…
和:どうして…
咲月:なんかさ…少し違和感あるね…
瑛紗: いろは…これって……
いろは: ……
桜:いろは?
いろは:ねぇいったん、休憩しない?
私、外の空気吸いたいから屋上でもいこうかな……
咲月:うん…1回休憩しよ、私飲み物かってくる
桜:じゃあ私も……
…
……
いろは:ふぅ…
いろはは、屋上で外の空気を吸っていた
こつこつこつ…
誰かが階段を上ってくる音が聞こえる
??:いろは、どうしたの?LINEで屋上にきてって?
いろは:ごめんね…いきなり
??:いいよ…それでなに、話って?
いろは:正直に話してほしくて……
??: ……なにを?
いろは:○○くんの下駄箱に紙切れいれたよね…
いろは: ” 和 ” …。
和:ちょ、ちょっと何言ってるの…
いろは:ちがう?
和:え?よくわからないよ、いろは
いろは:4枚目だけずっと違和感を感じてたの……
和:4枚目?
いろは:3枚目までは邪魔をしてるようにしか見えないのに…4枚目だけは途端に応援…味方になろうとしている
和:そ、それがなに?
いろは:4枚目がいれられたのは、美術室でアルノと瑛紗のやりとりを私たちが見た日。
それを聞いていた私たちが心変わりした…と考えるのとスジが通るの…つまり、その時にいた4人の可能性がたかい…
和:で、でも…それだったら私だと断定できないよね…
いろは:そう…でもあの5枚目で和だと思ったの…
和:なんで?どうしてそんなことがわかるの?
いろは:5枚目の紙切れ、あれ、私がつくったの…
和:え?
いろは:和が一番驚いて5枚目の存在を認めていなかった……それは4枚までしかないと分かっていたから、、だから私は確信したの…和が紙切れを入れたんだって…
和: ……
いろは:最初はやるつもりなかった…けど、あんな姫奈を見たら……
和:しょ…証拠はあるの?
いろは: それは……ない…
和: ……
いろは:だから屋上で個人的に話をしたかったの…
和:いろは……
いろは:なに…?
和:わたしじゃないよ…
帰ろうとする和
いろははうつむきながら叫んだ
いろは:このままじゃ、、美空が犯人になっちゃうよ!!
和: ……
いろは:さっき、みんなが美空のこと疑ってた時、和は美空のこと庇ってた!!美空が犯人になるの嫌なんだよね…
和: ……
いろは:親友の美空なら和が犯人だとわかってると思う
美術室の時…美空は和を心配そうにずっと見てた
和: ……
いろは:美空は " 自分が犯人です " っていうよ!!!
和: ……
いろは:和はいいの?…それでも……
和: ……
和: 私ね…
和は静かにしゃべりはじめた
和:去年の夏…○○くんに告白したことがあるんだ…
○○:ごめん…和。僕、アルノのことが好きなんだ…
和:そういわれちゃった…
いろは:そうだったんだ…
和: 私って○○くんと家が近いでしょ…
いろは:うん…そうだね…
和:誰よりも一緒に帰ったんだけど…気づくのが遅かったんだ…
いろは:遅かった…?…なにに…?
和:これが ” 恋 ” なんだって…
いろは: 和……
和:悔しかったなぁ…なんで敵わないんだろうって…
いろは: ……
和:それを美空に話したら…元気ない時に美空が話しかけてくれて…それで気づいたらどんどん仲良くなって……
いろは:そうだったんだね
和: ……私もそう思う。
いろは:え…?
和:美空優しいから…私のこと庇うと思う…
いろは: うん…
和:私が…○○くんの下駄箱に紙切れをいれました…
いろは: ……
和:ねぇ、いろは…いつ気づいたの?
いろは:紙切れはギリギリまでわからなかったけど、和が○○くんのこと好きなんだろうなぁってのは転校初日に気づいたよ…
和:なんで…?
いろは:席替え…
和:席替え?
いろは:アルノと○○くんが結局、同じ席になった時、和だけ笑ってなかったから…
和:すごいね…いろは……名探偵だよ
いろは:そんなんじゃないよ…私と同じだったからだよ…
和:え?
いろは: 和がね、私と同じ顔してたの…
和:それって…
いろは:私は…告白をする勇気もなかったから…和 すごいよ…
和: …ありがとう。
いろは:ううん…
和:みんなに…謝らなきゃ…
いろは:大丈夫!みんな友達だから許してくれるよ!!
和:ありがとう…いろは
だだだだっ
階段を走って登ってくる音が聞こえてくる
姫奈: 和!!いろは!!!
いろは:??
姫奈が慌てながら屋上に来た
姫奈:○○くんが目を覚ましたって!!!!
和:!!!
いろは:○○くんの記憶は??
姫奈:わからない……今から病院いこっ!!!!!
和たちは全力で病院へと向かった
病院に向かっている最中、和はみんなに全てを話した
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