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過去と未来の繋ぎかた…③


転校してから1週間がたった
あの紙切れはイタズラだったのか…真意はわからないが、少なくとも忘れつつあった


クラスの方はというと、

○○:気づいたんだけどさ、僕らの名前って足したら”大中小”じゃない!?笑

大田優男: ……。ほんとだ!!!
中山守夫:す、すげーな、○○!!!笑

○○:めっちゃくだらないけどね笑

大田中山:それな 笑


元々少人数なのもあってか、くだらない話で盛り上がるようになり男同士かなり仲良くなっていた

ただ…


アルノ: ……

隣の席の中西さんは興味がなさそうに、ぼーっと外を眺めることが多かった


中山守夫:そういえばさ、音楽聞くって趣味で言ってたじゃん

○○:うん、いったいった

中山守夫:じゃあさ、乃木坂46って知ってる?

○○:うん、知ってるよ

大田優男:お、おい!
中山守夫:いいから笑 俺は乃木坂のかっきーが好きなんだよ!!

そういって中山くんはかっきーが載っている少年誌をどや顔で見せてくる


○○:かっきー可愛いよね!

中山守夫:そう!めちゃくちゃかわいいのよ!!!!



大田優男:俺はそうだな、、山だな、山下美月!!!


中山守夫:お前、この前はれんたんとか言ってたじゃねーか笑
大田優男:いやいやいや、れんかも良いのよ、いやもうみんなかわいい!!笑

○○:うわ、ずるい笑

中山守夫:開き直りやがった!笑
大田優男:ゆるせ、れんか!笑

○○:さいてーだ!笑


アルノ: …… 

ふざけあっていると、ふと視線を感じて中西さんの方へ向く
そうすると中西さんはプイッとまた窓の外を眺めている

なんなのか、よく分からなかった…
僕の背中に何かついてる?
それとも、、

”この席に何かあるのだろうか?”


大田優男:お~い、○○!!

○○:あ、ごめん。なに!?

中山守夫:乃木坂の曲は聞いたりするの?

○○:あー、うーん…たまにかな。

大田優男:おお、何聞く?何が好き?
中山守夫:俺はね、しいて言うなら…

??:ダンケシェーン

○○:へ?

大田優男:!!?
中山守夫:!!?






~ 過去と未来の繋ぎかた ~
第3話 彼女が好きな歌









ダンケシェーンと答えたのは中西さんだった
予想外の方向からの答えに驚きはしたけど、僕は少しうれしかった

だけど、

ガタンッ
椅子が倒れる音が教室に響く

大田優男:アルノ!!どういうつもりだよ!!!

激怒した大田くんが立ち上がった時に椅子を倒したのだとわかった


アルノ:べつに、、好きな曲言っただけだし…

大田優男:はぁ、ふざけんなよっ!!

中山守夫:ちょ、ちょっと優男おちつけよ!
○○:そ、そうだよ…どうしたの、突然

アルノ: ……

僕はわけがわからず、中山くんと2人で大田くんをおさえていた

何に怒っていたのかは全く分からない、でもあの優しい大田くんの尋常じゃない怒りは何か理由があるのだろうと思っていた


ガラガラッ

秋元:はぁーい!5限やるよー!!

秋元:うん?そこーどうしたのー?

ふと立ち上がる中西さん

秋元:アルノちゃん、どうしたのー?来月の文化祭の出し物決めるよー?

アルノ: ……


立ち上がった彼女は教室を出ていくのであった





……




アルノ:はぁ…

教室を抜け出した私は屋上でため息をついた
なぜ、あんなこと言ったのだろうか……

後悔、先に立たずという言葉があるけど、今の私にピッタリだった


??:悔やんでるの?笑

アルノ:え? て、瑛紗っ!!!


瑛紗:やっほー

アルノ:いやいやいや、5限は?

瑛紗:そっくりそのまま返すけど 笑

アルノ:うっ…

私と同じように教室を抜け出した瑛紗が私の横にきてくれた

瑛紗:私、アルノより成績いいし…

アルノ:うっ…

瑛紗:アルノみたいに空気読まない、あんな発言しないもん笑

アルノ:もうやめて…私のHP0だから……

瑛紗:笑笑 

アルノ:もう…自分が嫌になる

瑛紗:まぁ…アルノの気持ち、わからなくはないよ

アルノ:ほんと…?

瑛紗:でも ”何も知らない” ○○くんが可哀想だなぁ
  クラスの争いごとに知らずに巻き込まれてさ…。

アルノ:それは……そうだよね…

瑛紗: …ねぇ

アルノ:??

瑛紗:もう少し素直になってみたら…どうかな…?

アルノ:素直に…?

瑛紗:気にするな…とは言わないけどさ。

アルノ:うん…



瑛紗:誰も ”あの事件” をアルノのせいだなんて思ってないよ…



アルノ: ……

瑛紗:あ、ごめん…

アルノ:ううん、ありがとう…瑛紗。

瑛紗:ぜんぜん…


アルノ: ……
瑛紗: ……


アルノ: …ねぇ、てれさ……

瑛紗:うん?なあに?






アルノ:  ”戻ってくる" かな……






瑛紗: ……大丈夫。戻ってくるよ…






アルノ:そうだよね……ありがと





私と瑛紗は屋上で沈んでいく夕陽をじっとながめていた

私は素直になっていいのだろうか…
何度も何度もオレンジ色の景色を見ながら自問自答をする


私は何かをもらいたくて、何かにすがりたくて、
ぎゅっ…と瑛紗の手を無言で握り続けた







……





瑛紗:ただいまーー!


6限が終わったころ
教室を抜け出していた中西さんと池田さんが戻ってきた

みんなが2人に集まっていく


咲月:心配したよ、アルノ、瑛紗

姫奈:ズル休みずるーい笑

いろは:いやいや、そういうのじゃないでしょ!!

美空:大丈夫…?無理してない?

アルノ:うん、大丈夫。

和:ならよかった…

瑛紗:アルノ…

アルノ:うん、わかってる…


コツコツコツ…

中西さんは僕らの方へ来る


アルノ:さっきは…ごめんなさい。

大田優男:あ、いや…俺の方こそ熱くなってごめん。

アルノ:中山に小川くんもごめんね

中山守夫:俺らは大丈夫だよ
○○:うん、とりあえず仲直りできて良かったよ。

アルノ:うん、ありがとう!

○○:!?

僕はこの時、はじめて中西さんの笑った顔をみた気がした


茉央:あ、アルノ~瑛紗~!

アルノ:うん?どうしたの?

奈央:文化祭の出し物きまったよー!!笑

瑛紗:なにになったの?

桜:私たちのクラスは…”メイド”喫茶…。


落ち込む女性陣
その中には喜んでいる女の子もいた、まぁいいだしっぺの2人だ


アルノ:メイド喫茶!!?

咲月:そう…

アルノ:はぁ、やだやだ!!絶対やだ!!!
   ちょっと私、真夏先生に文句いってくる!!

教室を走り去る中西さん


奈央:やっぱこうなったね笑

茉央:うん、アルノは怒ると思った笑

いろは:アルノはこうでなきゃね笑

美空:がんばれー真夏先生!!笑
姫奈:そうだ!!アルノになんか負けるなー!!笑


咲月:あー、メイド喫茶やりたい2人が真夏先生応援してる笑


全員:笑笑



クラスに活気と笑顔が戻り、みんなは帰りはじめた
中西さんを待とうか悩んだが僕もみんなと別れを告げ帰ることにした


カサッ


また靴の中に紙切れが入っていた


不気味に思いながらも折りたたまれた紙をひらく




” ダンケシェーン、きいてみてね ”




とだけ書かれていた






4話はこちら


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