私を助けてくれたのは、〇〇先生と成仏出来ない幽霊でした。 Part4
ガチャ
バタンッ
瑛紗:うわっ、いきなりびっくりした!!そんな勢いよく閉めないでよっ
茉央: ……
瑛紗:え、無視…?
茉央: ……
瑛紗:おーい!急に見えなくなった?笑
私を無視してまおちゃんは屋上の手すりに掴まり片足をあげ、よじ登っていく
瑛紗:え、え、え、ちょっとまって!!!
茉央: ……なに?
瑛紗:!!?(泣いてる…)
茉央: ……
まおちゃんはボロボロと涙を流していた
その顔は可愛らしい笑顔とは真逆で…
流れる涙が夕日に反射して、
まおちゃんの顔は悲しくも光っていました
瑛紗:な、なにがあったの…
茉央:ごめん、てれちゃん
瑛紗:まって…話して、、、
茉央:私もう無理だよ
瑛紗:そんなことないっ…
私の背筋にすっーと汗がたれる
相手はパニック状態
この状況でひと言でも言い間違えたら、、、
瑛紗:(あの時みたいにはさせないっ)
茉央:もうダメなの…
瑛紗:そんなことないよ!!!
茉央:なんで…
瑛紗:私がいるから…だって私たち友達でしょ
茉央: …うん
瑛紗:だったら…
茉央:ねぇ、てれちゃん
瑛紗:なぁに、まおちゃん
茉央:どうして"てれちゃんは幽霊"なの…
瑛紗:え…
茉央:てれちゃんが"現実にいる友達"だったら…
私は何も言えなかった
あぁ…だめだ
私じゃ…まおちゃんを救えない…
なんで私は幽霊なんだよ
瑛紗:た…すけてよ…ッ
茉央:え?
瑛紗:だれか…まおちゃん…を…たすけてよ…ッ
茉央:ごめん、ごめんね…てれちゃん
瑛紗:やだよ…誰かぁ…まおちゃんを助けてよ!!
泣き叫ぶ私
まおちゃんは手すりに跨り今にも飛び降りようとしていた
その時…
〇〇:五百城!!!
彼は現れた
瑛紗:え…なんで…
私には彼が…
"10年ぶりに再会した〇〇"が
"遅れてやって来たヒーロー"に見えました
私を助けてくれたのは、〇〇先生と成仏出来ない幽霊でした。 Part4
〇〇:五百城!!
五百城:〇〇先生…こっちこないで!!!!
〇〇:五百城落ち着いて…一体何があったんだ…
瑛紗:〇〇…
〇〇:危ないから…こっちにおいで
五百城:やだ!!こないでよ…っ!!
〇〇:わかった、そっちには行かない。
瑛紗:〇〇…まおちゃんをたすけて…っ、
〇〇:何があったのかだけ…教えてくれないかな
五百城:うぅ……っ
〇〇:五百城…話して…くれないかな
五百城: ……
瑛紗:まおちゃん…
私の問いにもまおちゃんは首を横に振る
話したらまたイジメられる
まおちゃんの中でその葛藤がいまだに拭えないでいるのだと思う
そんなまおちゃんを見ながら、
〇〇は大きく深呼吸をして再度話しかけていく
〇〇:飛び降りようとしてるんだよな…
茉央: ……
〇〇:わかった…それなら…
茉央:??
〇〇:頭から…だぞ
茉央:え…
瑛紗:〇〇…?
〇〇:人間の身体って丈夫でさ、足から落ちたりすると意外と生き残ったりするんだよ
茉央: ……
〇〇:そして無意識に人間は頭を庇うらしい、死ぬのなら頭を庇うのもダメだ…
瑛紗:ちょっと〇〇…何言ってるの!?
茉央:〇〇先生は私に飛び降りろというんですか…
〇〇:(首をふり)それは違う。
茉央:え、
〇〇:俺はどんなことがあっても五百城の味方だよ。本当は今すぐにでも助けたい…
瑛紗: ……
茉央:じゃあ、どうしてそんなことを言うんですか…
〇〇:それは俺が"五百城の人生の先輩"だから…
茉央:え?それって…
瑛紗: ……
〇〇は何度か小さく頷いていました
多分、自分に覚悟を決めていたんだと思います
〇〇:10年前…俺が学生だったころ…
ここ乃木坂高校の屋上で2人の生徒が転落した
飛び降り自殺をしようとした子を止めに入って足を滑らせ、2人とも落ちてしまったんだ
1人は足から落ち、無意識に手で頭を庇っていたのもあって数箇所の骨折と打撲で済んだ
もう1人は…頭から落ちて頭蓋骨損傷、さらには首の骨も折れていて…即死だった
そして生き残った方が俺だ…
茉央:それって…
まおちゃんが私の方を向く
私は『そうだよ。』と頷きました
〇〇:あの日からずっと後悔して来た
茉央:でも…〇〇先生は助けようとして、、、
〇〇: ……
瑛紗:〇〇…
〇〇:ちがうんだよ、五百城
茉央:??
〇〇:イジメられていて飛び降り自殺をしようとしたのは…俺の方なんだよ
茉央:え…
それは10年前に起きた
誰も救われない事件であった
つづく。
Part5