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〜ここにはないもの〜 #4



7年ぶりの妹との再会は、
少し距離のある挨拶からはじまった


あやめ:久しぶりっ…

〇〇:うん、久しぶり。

あやめ:てっきり帰ってこないのかと思った…

〇〇:まぁ、最初はそのつもりだったんだけどね

あやめ:そう…

〇〇:うん…

あやめ:えっと後ろにいる人が…彼女さん?

〇〇:うん、遠藤さくらさん

さくら:遠藤さくらです。
   あの…この度はご愁傷様でした

あやめ:あ、ご丁寧にありがとうございます。
    〇〇の妹の齋藤あやめです。

さくら:よろしくお願いします…


あやめ:よろしくお願いします。
   家まで結構かかるので、このクルマで…

〇〇:まだ使ってるんだ、この車。

あやめ:うん!お兄ちゃんは運転してくれる?


そういって車のキーを僕に渡してくる妹


あやめ:すみませんがさくらさんは後ろの席に…

さくら:はい。


そういって妹は助手席に座った



ブロロォッ
いかにも年季の入ったエンジン音をならし、
10年以上は使っている我が家の車は発進した

〜ここにはないもの〜 #4




……



〇〇:急性くも膜下出血…

実家に向かう車の中で、僕らは "そのとき" のことを聞いていた

あやめ:うん…それで倒れて、、、

〇〇:それを親父がみつけた

あやめ:うん…すぐに救急車呼んだんだけど、意識不明の状態が続いて…

〇〇:そっか…

あやめ:お葬式とかはもう終わってるから

〇〇:わかった。親父は…

あやめ:普通に生活はしてるよ、でも…

〇〇:でも…?

あやめ:あやの思い過ごしかもしれないけど…やっぱり元気ない気がする

〇〇:まぁ、、、そうだよな…

あやめ:いつもね、寝る前に書斎に入るの…

〇〇:うん…

あやめ:そこでずっと写真眺めてて…

〇〇:写真…?

あやめ:うん、たぶんお母さんの写真だと思う。

〇〇:そうか…

さくら: ……

ちらっとさくらをみる
バックミラーに写るさくらは僕らよりも泣きそうな顔をしていた

このまま、しんみりとした話が家まで続くと思うと、さくらに申し訳なかった


と最初は思っていた…







あやめ:そこでお兄ちゃんと働いてるんですね

さくら:そうです、そうです!

あやめ:よかったぁ笑

さくら:え?

あやめ:ヒモじゃないかと心配してたんです笑

〇〇:おいこら、あやめ!

あやめ:連絡ないからしょうがないじゃーん笑

〇〇:いやまぁ、そうだけど、、

さくら: ふふ…むしろ助けてもらってます笑

心配は無駄だった 笑
2人はあっさりと意気投合し、会話はどんどん弾んでいった


車はナビ通りにどんどん進んでいく。

駅から実家までは昔は車で50分ほどかかる
これでも舗道されてかなり短くなった方である

僕がいた頃なんかはよくわからないウネウネした山道を通らなきゃいけなくて1時間はゆうにかかっていた


あやめ:かわったでしょ?

〇〇:うん…

さくら:結構栄えてるんですね

あやめ:4年前だったかな…となりの市と合併したんですよ、

〇〇:あー…そういえばニュースでみたかも

あやめ:そこから一気に変わったんだよね。

さくら:そうなんですね…

あやめ:ここら辺は特に…

〇〇:栄えることはいいことでしょ

あやめ:うん。あ、止まって。お兄ちゃん!

〇〇:お、おう

さくら:??


言われた通りに車を路肩にいれる 

あやめ: ……

あやめは静かに車から降りて向かい側に渡った
僕らはあやめについていく


そこには

"見晴らし台への入り口"

と書かれた木の看板があり、横には木の階段が続いていた


〇〇:ここか…

あやめ:うん…

〇〇:懐かしいね

さくら:懐かしい?

〇〇:うん、齋藤家の散歩コース!
  見晴らし台までいって折り返してくる。

さくら:そうなんだ!

あやめ:ちがうよ…

さくら:え?

〇〇:うん…どうした?

あやめ:ちがうの…ここなの…



よく見ると、
看板の根元には白い花が置かれていた






#5 ↓

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