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『 ひとめぼれ 』 Momo's house
あつーい
そう叫びながら少し前をクルクルと回る女の子
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名前は桃子
今日は一緒に新しく住むところを探してる
4年ほど前に付き合って、数ヶ月前プロポーズをした
おそーい
何とも緊張感のない返事がかえってきた
何ヶ月も前から気合いをいれて用意してきたのに
最初はそう思ったけど…
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桃ちゃんが目にしずくをため、
頬を真っ赤にして喜んだのをみて嬉しかった…
そこから両親への挨拶や会社に報告など
あちこち挨拶を参りをしてやっと落ち着いて…
引っ越そうと話になった。
不思議だなぁと思うんだけど…
彼氏彼女のときは気にしなかったのに…
『婚約』
の契りをかわすと部屋が狭く感じるようになった
「ここはとても陽当たりが良好なんですよー」
不動産屋のお姉さんがそう俺たちに声をかけた
何回もいわれる決まり文句ではあるが、
桃ちゃんが、
「陽当たりが良いところ」
といっていたからだと思う。
実際、4件目だけど、どこも陽当たりが良い
見晴らしもよく広々としたリビング
外から照らされる光は暖かさを与えてくれていた
その後、
バスルーム、トイレ、寝室と案内される
ふと後ろを見ると桃子の姿がなかった
〇〇:あれ?ももこー?
声をかけるが返事はない
キョロキョロと探しながらリビングに戻ると、
窓際にちょこんと座り、
外をジッと眺めている桃子がいた。
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〇〇:ももこ、つかれた?
んーん。
首を横に振りながら否定する彼女
視線はふたたび外の景色にもどっていた
光が当たるももこをみると「あの時」を思い出す
ふと横を見ると…
隣で心配そうにする不動産屋のお姉さんがいた
こういう時のことなんだろうなぁとは思うけど…
色んな人から
桃子って分かりにくいときない?
と言われる。
実際…
こんなに分かりやすい子はいない。
私はお姉さんに大丈夫ですよ…と声をかける
そして桃ちゃんにも…
〇〇:ももこ…
んー?
〇〇:ここにしようか…
うん…
不動産屋のお姉さんは、
え?そんなあっさりですか?って顔をしてた笑
ふふ…わかりやすいと思うんだけどなぁ…
僕は苦笑いをしながら鼻をかいた
後から聞いたんだけど、
どうやら桃ちゃんは
この部屋に『 一目惚れ 』だったようだ
光がさしてて、キラキラしてたんだって…
一緒だなぁ と思った
俺も『 一目惚れ 』だったんだよ
光がさしてて、キラキラしてたんだ
それは俺が大園桃子と初めて会った時のこと…
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つづく?