過去と未来の繋ぎかた…⑤
~ 過去と未来の繋ぎかた ~
第5話 誰が味方で誰が敵?
姫奈:やっと終わったー
○○:結構、ハードだったね。
咲月:うん、階段の上り下りがしんどかった…
倉庫からの荷物運びを終え、みんなで帰宅する。
??:お~い、みんなー
??:やっときたー
下駄箱に向かうと、見覚えのある2人がたっていた
姫奈:あれ、奈央と茉央だー!
奈央:おそいよー
桜:私たちのこと待ってたの?
茉央:そう、みんなを待ってたんだよー笑
咲月:え、なんで?
奈央:外、雨降ってるよー
茉央:結構、降ってるよー
○○:え?!!ほんとだ!
茉央:みんな、傘持ってるのかなぁーって
姫奈:姫奈はね、置き傘してるー笑
咲月:私は折りたたみ持ってるから。
桜:私はニュースの予報で雨降るの聞いてたから
3人とも各々が傘をだす
そしてみんなの視線が僕に集まる。
奈央:○○くんはー?
○○:あー、持ってきてないや
姫奈:あちゃー、どうする?
桜:○○くん、家はどこ?
○○:えっとねー、あっちのほう笑
ざっくりとした地区を答える
桜:私は○○くんの家とは逆方向…
咲月:私も…
奈央:茉央と2人で送るよー
○○:いやいやいや、大丈夫だよ。走ればなんとかなるよ
茉央:でも次の日、それで風邪引いたら嫌だよ
姫奈:そうそう
咲月:○○くん送ってもらいなよ!
○○:じゃあお言葉に甘えて…
奈央:じゃあ靴、はきかえちゃおー
姫奈:はーい!
カサッ
聞き覚えのある音、見覚えのある感触……
まただ…
また靴の中に紙切れが入っていた
桜:○○くん、どうかしたの?
○○:あ、なんでもないよー!
僕は紙切れをポケットにしまい、みんなと学校をあとにした
奈央:茉央より私の傘のほうが大きいから、私に入ってー
○○:2人ともありがとう。
斜め前から降る雨に打たれる
冨里さんは少し前を歩き、僕を守ってくれていた
そして五百城さんと3人で会話をする
冨里さんとの相合傘…
はたから見たら羨ましいはずなのだが、どこか感じる”違和感”
ポケットに入れている紙切れのせい…?
いや、それじゃない…
茉央:ついたよー!
○○:あ、ほんとだ。ありがとう!!
違和感が何かを探っていたら、あっという間に家についていた
○○:2人のおかげで濡れずにすんだ、って雨やんでる。
奈央:あ、ほんとだー笑
茉央:私たちがいた意味なかったね 笑
○○:いやいやいや、2人のおかげで濡れずにすんだよ、ありがとう!!
奈央:えへへー笑
茉央:褒められちゃったね笑
○○:それじゃあ、また明日!!!
奈央:おつかれさまー!
茉央:ばいばーい!!
門扉をひらき、中に入る
そして玄関のドアをつかもうとした瞬間、
ずっと感じていた違和感に気づく
○○:(なんで家の場所を知ってるんだ…)
みんなにはざっくりとした場所しか伝えていない。
帰宅中は冨里さんが少し前をずっと歩いていて僕は案内をしていない…
背筋が凍っていく
雨?
そうではなく冷や汗だ
冷や汗が つー とたれていく…
恐る恐るゆっくりと後ろに振り返る
○○:いない……
そこにはもう2人はいなかった…
僕はガチャとドアを開け、家に入り鍵をかける
カサッ
自衛本能だろうか、無意識に手をポケットに突っ込む
そして忘れていた紙切れに気づく。
恐怖もあったが興味が勝ち、僕は紙切れを開く…
” 気をつけて
みんな、噓をついている ”
○○:うっ…痛っ……
突然、頭が痛くなる
彩:お兄ちゃん、おかえりー。
居間でくつろいでいたであろう彩がしゃがみ込む僕に気づいた
彩:お兄ちゃん、どうしたの!!!
○○:あ、ごめん…少し頭が痛くて…
彩:だ、大丈夫!!?あや、お水もってくる!!!
○○:ありがとう。
母が仕事でいない中、
妹があちこちをドダバタと音を立て奔走する
そして母がやけ酒するときに使う、どでかいジョッキになみなみと水が入れられ、片手にはバファリンを持っていた
彩:のんで!!!
○○:ありがとう。(水、多すぎる…)
心の中でツッコミをいれつつ、バファリンと水を飲む
彩:お兄ちゃんいなくならないでね…
○○:そんな大げさな…笑
彩:だって……!?(なに…これ?)
10分ほどたっただろうか……
僕は頭痛がおさまり、居間のソファーで落ち着くことにした
○○:ありがとう、彩。だいぶ落ち着いた
彩:よかった。やっぱ頭痛にバファリンだね笑
○○:なんか認めたくないけどそうだね、あと妹の看護のおかげ
彩:えへへ…笑
彩:ねぇ、お兄ちゃん…
○○:うん?
彩:これ…どうしたの…?
” 気をつけて
みんな、噓をついている ”
彩が見せてきたのは、あの ” 紙切れ ” だった
○○:それは…
彩:お兄ちゃんがしゃがみ込んでた時、横に落ちてて…
○○:そっか…実は定期的に下駄箱に入ってるんだ…
彩:だれがいれたの!?
○○:それはわからない。
彩: ……イタズラだよ。こんなの!!
○○:うん…
彩:ぜったい!!!イタズラ!!!!
○○:俺もそう思う…ただ……
彩:ただ…?
さっきの冨里さんと五百城さんがよぎる
なぜ家を知っていたのか…
ただ…この話を妹の彩にすべきなのだろうか…
さっきみたいに、
” 心配 " かけるだけでなく、
” 恐怖 " を与えてしまうかもしれない
○○:いや、イタズラだよな(黙っておこう…)
彩:うん、誰だって嘘ついたことあるもんっ笑 彩だってお兄ちゃんのアイス勝手に食べて食べてないって言ったことあるもん!!笑
○○:え?そんなことあったっけ?
彩: ……忘れてるならいーや笑
○○:おいっ笑
彩:へっへっへっ笑
○○:あ、そうだ!クラスの一ノ瀬さんって人がいてさ、彩のことカワイイって言ってたよ 笑
彩:あー、美空でしょー!!!
○○:呼び捨てかよ笑
彩:だ、だって毎日クラスまで抱きつきにくるし、LINEも毎日「あーや、かわいいねー」って送ってくるし
○○:一ノ瀬さん、なにやってるんだよ 笑
彩:まぁでも、何でも話しちゃうんだよねー笑
○○:なんだ、仲いいじゃん!!笑
彩:べつに!!!よくないもんっ!!!
○○:はいはい。じゃあお兄ちゃんはお風呂入ってきますので 笑
彩:はーい!!!
バスタオルをとり部屋を出る僕
僕がのんきにお風呂に入っているあいだ…
彩:あ、もしもし美空ききたいことがあるんだけど!!
彩:うん、実はお兄ちゃんの下駄箱の中に…
彩は一ノ瀬さんと電話をしていた
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