過去と未来の繋ぎかた…④
出逢えたこと それが運命
別れること それも運命
交わる線
離れる線
過去と未来 今までありがとう
僕はあれからダンケシェーンをよく聞くようになった
ただ紙切れに従ったわけではなく、不可解な出来事を解決してくれるのかもと思ったからだ。
アルノ:ねぇ、聞いてる?
○○:あ、中西さんどうしたの?
アルノ:マーカー忘れたから貸してくれない?
○○:はい、どうぞ
アルノ:ありがとう
隣の中西さんとは前よりも普通に会話をするようになった
とはいえ、
下駄箱に入れられる紙切れもそうだが、
元々、空席だった ” この席 ” がなんなのか?誰が座っていたのか?
そして中西さんがこの席を見る理由、表情はなんなのか…
それを今日、僕は知ることになる
~ 過去と未来の繋ぎかた ~
第4話 僕を見る理由
秋元:はぁーい、ホームルームやるよー!!
チャイムがなり、秋元先生が入ってくる
秋元:今日はね、文化祭の実行委員を決めまーす!!
○○:あれ?それって…中西さんじゃなかったっけ?
秋元:お、○○くん正解 笑 メイド喫茶になってアルノちゃんに先生、めちゃくちゃ文句言われました笑
アルノ:本当にやりたくない!!!
秋元:あの時、いなかったアルノちゃんが悪い笑
アルノ:うっ
メイド喫茶をやりたいっ!と言ったのは一ノ瀬さんと岡本さんの2人、そしてもう一人、結構乗り気の人がいて…
それが秋元先生だったりする笑
秋元:それで文化祭の実行委員は各クラス男女1人ずつなのね、だからあと1人募集しようと思いまーす!!
秋元:まぁ私たちのクラスは男の子が少ないので女の子2人でもいいんだけど…う~ん…とりあえずやりたい人いるかな?
和: …私、やろうかな……
秋元:和ちゃんありがとう!でも…買い出しをあったりするから、力持ちの男の子がいいなぁ
ちらっ、ちらっとこっちを見てくる秋元先生
なるほど…笑
どうやら僕にやらせたいようだ
新しいクラスにも慣れ始め、さらに馴染めさせるために何か委員につかせる
担任としてうまくやってるつもりなのだろう。
○○:あ、じゃあ僕やりましょうか?
秋元:あー、○○くん!!ほんと!!?ありがとー!!
○○:(わ、わかりやすすぎるっ笑)
嬉しそうに、そしてわざとらしく喜ぶ秋元先生
へへーっ、上手くいったーと心の声がダダ漏れだ
秋元:和ちゃん、ありがとー!今回は○○くんにお願いするね!
和: ……はい、わかりました
秋元:アルノちゃん、ちゃんと○○くんに教えてあげてねー!
アルノ:はーい! ……ねぇ?
○○:うん?
大きく返事をした後にアルノは小さな声で話しかけてきた?
アルノ:本当にいいの?
○○:うん、大丈夫!それに前の学校でも文化祭の実行委員だった気がする笑
アルノ:そうなんだ…。ならいいんだ、よろしくね!
僕はこうしてアルノと来月に行う文化祭の実行委員になった
…
……
キーンコーンカーンコーン
その日最後の授業の終わりを告げるチャイムがなる
帰り支度はじめる僕に川﨑さんたちが声をかけてきた
桜:○○くん…
○○:うん?どうしたの、川﨑さん
桜:先生に頼まれて荷物を倉庫から移動させなくちゃいけなくて……
姫奈:手伝ってくれないかな?
○○:わかった、手伝うよ!
咲月:帰ろうとしてたのにごめんね。
○○:大丈夫だよ!
桜:ありがとう。
姫奈:これで鬼に金づちだね!!
全員: ……
姫奈:え?みんなどうしたの?
○○:えっと、それを言うなら鬼に金棒じゃないかな…笑
姫奈:そ、、そうともいうよね!!
咲月:いや!!それしか言わないからっ!!笑笑
そんなやり取りをしながら、僕らはみんなで倉庫から荷物を運んだ
姫奈:○○くんは学校にはもう慣れた?
○○:そうだね、だいぶ慣れたかも
桜:よかった。私たちも心配してたから…
咲月:もしまだ分からないことがあったら、何でも聞いてね!!
○○:えっと、、なんでも?
咲月:え、あ…うん笑 答えられることだったら…
○○:じゃあ、1こだけいいかな…
桜:うん、いいよ。
おしとやかな笑顔でほほ笑む川﨑さん
菅原さんは質問に少し警戒している様子、岡本さんは何でも来い!といわんばかりにドヤ顔をして僕の質問を待っていた
少し気まずい気持ちもあったが、僕はあの席のことを聞いてみることにした
○○:あのさ、僕が座っていた席って…どんな人?
桜:!!
咲月:やっぱり…
○○:?
咲月:なんかその質問が来るんじゃないかなぁって…
○○:あ、もし言いづらいことだったら、大丈夫だから。
桜:うーん…どうしよ…
しばしの沈黙…
予想はしていたが気まずい空気がただよう
姫奈:話そうよ。
咲月:ちょ、ちょっと姫奈!!
桜: ……
姫奈:だって話さない方がおかしいよ!!
桜:そうだね…姫奈の言う通りだと思う。
咲月:桜まで…
姫奈:あの席の人はね、いなくなっちゃったんだ…
○○:え?、いなくなった…
桜:うん…
○○:転校したってこと…?
姫奈:それは…
咲月:突然、いなくなっちゃったの…
桜:咲月…
○○:そうだったんだ…それでその人は中西さんと仲が良かった…?
咲月:そう…
姫奈:アルノとその人は付き合っていたから…
○○:え、、、
桜:だから私たちもショックだけど、アルノが1番ショックだったと思う…
○○:だから僕が隣の席に座るときに…
桜:うん、そうだと思う…
初めて隣の席に座るときの中西さんの ” え? ” って無意識に出た発言を思い出す
○○:そうだったんだ…
ようやく点と点が線に繋がる
不可解な出来事、違和感が理解そして納得へと変わっていく
姫奈:アルノじゃないけど…あの時はごめんね。
咲月:露骨に嫌がられてると思ったよね。
○○:確かに驚いたけど、今は理由知れたから大丈夫。
姫奈:でもさ、アルノは○○くんのこと嫌いじゃないと思う!!!
桜:わかる!仲良いよね!!
咲月:笑顔も前よりかなり見るようになったもん!!
○○:そうなんだ、ならよかった…
姫奈:アルノはね、尖ったところがあるけど、それがカワイイから 笑
桜:○○くん、アルノをよろしくね…
○○:あ、うん。ありがとう。話してくれて…
時折、僕が感じていた中西さんの視線、そしてその時の表情
それは僕にではなく、” いなくなった彼氏 "に向けられていたんだ…
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